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甲南大の学生がトランス女性への人権侵害をなくそうと啓発動画を制作しました
神戸市の甲南大学の学生が、トランスジェンダーへの偏見やSNSでの悪質な投稿による人権侵害を防ぐために啓発動画を制作しました。学生は「見た人が身近な人権問題に気づくきっかけを提供できれば」と語っています。
「寄り添う言葉・引き裂く言葉~SNSで排除されるトランス女性」と題されたこの動画を製作したのは甲南大学文学部社会学科の学生有志5人です。人権侵害の解消に取り組む大阪府府民文化部人権擁護課が甲南大に動画製作を提案し、ジェンダー問題に関心を持つ学生たちが社会学科講師・関めぐみさんの指導を受けながら、台本作成や出演、撮影、編集などを全て行ない、仕上げたものです。
2月28日、大学内の会場とオンラインで動画の披露試写会が開かれ、あわせておよそ70人が参加しました。
約15分の動画では、大学の女性用トイレを使用したトランス女性の学生が「身体が男なのに女子トイレに入るな」などとSNSに投稿され、思い悩む様子が描かれています。そのうえで、SNSでの誹謗中傷や差別的な書込みは重大な人権侵害であり、投稿前に傷つく人がいないかどうか、どんな影響をもたらすかをよく考えるよう呼びかけています。
脚本などを担当した甲南大学4年の田中優奈さんは「トランスジェンダーの当事者とそうでない方がお互いを理解し合い、本人が望む性別で生きることができる世の中の促進につながればと思います」と語りました。
性社会・文化史(ジェンダー/セクシュアリティの歴史)研究者でトランス女性の三橋順子さんはご自身のblogで、「短いドラマだが、リアリティがあり、とても、よくできていた」と評しています。
今後は、中学生・高校生・大学生向けの教材として展開・活用していくそうです。
(一般公開はされないようですが、ぜひ観てみたいですね)
なお、甲南大文学部社会学科関ゼミでは昨年7月、同大学に通うトランス女性の方に経験や悩みを聞いて、当事者の方が求めている情報は何かを整理し、学内の制度や設備について話し合い、多目的トイレを中心としたトイレマップを作成しています(詳細はこちら)。素晴らしい取組みですね。
参考記事:
甲南大の学生がトランスジェンダーへの偏見なくそうと動画制作(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20220228/2020017271.html
トランスジェンダーへの差別、大学生がミニドラマに 甲南大生「SNSでの攻撃、残酷さ描いた」(神戸新聞)
https://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/202203/0015099253.shtml