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【同性婚訴訟】国が「同性カップルには"社会的承認"がないから結婚は認められなくてよい」との驚きの主張を展開、原告側は「差別を容認し、今後も差別的状況の継続を表明しているに等しい」と反論しました

 2月9日、「結婚の自由をすべての人に」東京1次訴訟の期日(口頭弁論)が開かれ、国の言い分に対して寺原弁護士が意見陳述(反論)を行ないましたが、国側から、同性カップルには"社会的承認"がない(社会は異性カップルと同性カップルを同等の関係と認めていない)のだから結婚が認められなくても問題ないとする驚きの主張がなされ、寺原真弁護士は「同性カップルが差別や偏見に直面しがちなのは結婚が認められていないためであり、原因と結果が逆」「差別を容認し、今後も差別的状況を継続させていくことを表明しているに等しく、極めて不当だ」と訴えました。

 
 「Marriage For All Japan」YouTube公式チャンネルの動画「'22.2.9 東京一次訴訟期日報告会」の中で、今日の口頭弁論の概要がわかりやすく報告されています。
 今回、原告側は、国の「同性カップルは結婚できないけど、一緒にいられるからいいじゃないか、遺言などの制度を使えるじゃないか」という言い分に対して、「同性カップルは婚姻の権利を侵害されている」「異性カップルは結婚できるが同性カップルはできないというのは差別であり、平等違反である」と反論する主張の証拠を提出しました。その中には3つの学者の意見書も含まれています。鹿児島大学の大野先生は「憲法14条「法の下の平等」に反する」と、宝塚大学の日高先生は「同性愛者の自殺未遂リスクが高い」「マイノリティの置かれている状況を理解してほしい」と、憲法学の澁谷先生は「憲法24条「婚姻の自由」に反する」との意見を述べたそうです。
 それから、今回意見陳述を行なった原告団の寺原弁護士から、国の主張とその反論について説明がありました。
 国の「結婚の目的は子を産み育てることである」との言い分に対し、寺原弁護士が「子を産み育てていない異性カップルも結婚できるのに同性カップルにだけそれを要求するのは差別でありダブルスタンダードだ」と反論すると、国側は少し意見を変えて、「結婚できる人の範囲は「生物学的な自然生殖可能性」で決まる(生物学的な男女である)」との主張を展開しました。寺原弁護士は、「この訴訟で問われているのは「なぜ異性カップルにだけ婚姻が認められるのか」ということなのに、国は「異性カップルであるから結婚が認められる」という自らの主張を単に結論として言っているに過ぎない。論理破綻である」と反論しました。
 すると国側は、新たに「同性カップルには"社会的承認"がない」「社会は異性カップルと同性カップルを同等の関係と認めていない。だから、結婚が認められなくても問題ない」との主張を展開。寺原弁護士は「目を疑った」といいます。「同性カップルは婚姻が認められていないことで様々な差別や偏見に直面してきた。社会から認められていないとすれば、まさに国がそういうメッセージを発してきたからだ」「原因と結果が逆であり、論理的に破綻している」「しかも国は、現状を問題視していない。今ある差別を容認し、今後も差別的現状を継続するという宣言である」として強く抗議しました。
 
 ハフィントンポストの記事によると、原告の一人である小野春さんは、「こんな無茶苦茶な主張が通っていいのか、日本はそんなことを通してしまう国じゃないでしょと思います。(裁判所は)人権の砦なので、おかしいことはおかしいという判決を言い渡してほしい」と語りました。
 同様に原告の一人である大江千束さんは、「結婚の自由をすべての人に」訴訟が始まってからの3年間も職場の無理解や差別に苦しんできたといいます。大江さんは、長年のパートナーである小川葉子さんと同じ職場で働いていて、従業員は、配偶者の親族が亡くなった時には慶弔休暇を取得できますが、大江さんの親御さんが亡くなった際、小川さんは慶弔休暇ではなく有給休暇を使うよう告げられたそうです。また、裁判の原告になることについても「目立つことは良くない」と釘を刺されたといいます。「ありとあらゆるところに、無理解や差別、偏見がはびこっているということを実感した3年間でもありました。権利獲得の一つとして、同性婚ができるように頑張っていきたいと改めて思いました」 

 国は"社会的承認"がないと主張していますが、昨年3月の世論調査で同性婚を「認めるべき」との回答が65%(若年層では86%)という結果が出ていますし、同年4月の電通「LGBTQ+調査2020」では同性婚への賛成が82.2%に上っており、"社会的承認"がないとの主張は事実としても誤りだと言えそうです。
 
 SNS上では、LGBTQ+Allyの方々から怒りのコメントが続々と上がっています。


 今日の裁判を傍聴していた方々によると、寺原弁護士の反論には、東京地裁の池原桃子裁判長も大きく頷いていたとのこと。次回、5月30日が東京訴訟一審での最後の期日となる可能性があり、判決が近づいてきた(今年の夏か秋頃?)と見られているそうですが、ぜひ、昨年の札幌地裁判決のように、真っ当な判断をしてくださることを願います。
 
 

参考記事:
同性婚訴訟 国の「同性カップルには社会的承認がない」は「差別を容認している」と原告側が主張(日テレNEWS24)
https://news.ntv.co.jp/category/society/1bb61824ec9f4d3ead71c47477ec094b
「同性カップルと異性カップルは同等と見られていない」国が新たに主張【同性婚訴訟】(ハフィントンポスト)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/same-sex-marriage-trial-tokyo1-9_jp_62021961e4b0725faace9c42

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