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【同性パートナーシップ証明制度】青森県が2月7日から導入、和歌山県橋本市も10月から
青森県は、法律上は結婚できない同性のカップルなどを結婚に相当する関係として認める「パートナーシップ宣誓制度」を2月7日から導入することを発表しました。都道府県単位での制度導入は東北初、全国でも6例目です。
2月4日、青森県の三村知事が記者会見で、1日付で「青森県パートナーシップ宣誓制度」の要綱を制定したことを明らかにしました。
申請は二人とも成年で(ということは、4月からは18歳でも申請可能になります)、いずれか一方が県内に住んでいるか県内への転入を予定していることなどが要件となっています。今月7日から申請を受け付けます。宣誓する方は事前に予約したうえで県庁を訪れ、職員の前で署名することになりますが、プライバシーに配慮して別室が用意されます。
制度に法的な効力はありませんが、二人の関係を証明する宣誓受領証(パートナーシップ証明書)の提示によって世帯向けの県営住宅に入居できるようにしたり、パートナーが手術をする際に同意書にサインできるようにしたりすることなどを検討しています。県は制度開始と同じタイミングでの提供を目指していましたが、県青少年・男女共同参画課は、民法で定める親族の定義の解釈などが壁になっているとして「引き続き各部局と慎重に検討していきたい」と述べるにとどめました。
三村知事は「制度をきっかけに性的マイノリティの人たちが社会の中で自分らしく暮らしていけるようにしたい」と述べました。
8年前から青森レインボーパレードを開催してきた岡田実穂さんは会見で、「思ったより早く制度ができたが、早く導入するために、医療や住居の問題など内容が追いついていないのではないかと感じました」「制度創設をうれしいと思う当事者がいるだろうと思う一方で、いま失われている権利を取り戻せる制度であってほしいと思って要望したが、反映されておらず、驚きを隠せません」「制度を作った以上は県民を含め日本中からどんな制度になるか見られます。当事者がこの街で生きていてよかったと思えるような制度のパッケージとして作られていくようにと願っています」と語りました。
岡田美穂さんは、パートナーの宇佐美翔子さんとともに、2014年に同性カップルとして初めて公に市役所に婚姻届を提出して社会に一石を投じ、青森の街でレインボーパレードを立ち上げ、「故郷を帰れる街にしたい」と訴え、同性パートナーシップ証明制度の創設を求めてきました。残念ながら翔子さんは昨年9月末、制度の実現を見ることなくこの世を去りました。SNS上には「青森県の制度導入は素晴らしいことだが、あと半年早く実現してくれたら…」という声も上がっていました。
和歌山県で初めて、橋本市が今年10月から「同性パートナーシップ宣誓証明制度」を導入することを発表しました。2025年度までの導入を目標としていましたが、前倒ししたものです。
市は制度実施に向け、「あらゆる人権を尊重する」とした2006年制定の「市人権尊重の社会づくり条例」に基づき、要綱を策定しました。市人権・男女共同推進室によると、パートナーシップ宣誓を行ない、宣誓書受領証(パートナーシップ証明書)を交付された二人は、「賃貸住宅入居時や、医師から病状の説明を受けるときなどにパートナーの証明となることが想定される」としています。制度については今後、リーフレットを作成し、市広報紙にも掲載するなどして住民に周知していくそうです。
実は橋本市は、早くからLGBT支援に取り組んでいる自治体で、2014年にはマスコットキャラクターの「はしぼう」がレインボーフラッグを持って市の公式サイトに登場、2015年にはLGBT支援宣言を発するとともに、職員向けのLGBT研修を実施し、市の男女共同参画推進条例に「性的指向及び性自認による差別を行なってはならない」との文言を採用しています。
(なお、和歌山では今年3月、初めてのパレードが開催されます。→レインボーフェスタ和歌山公式サイト)
東京都は新年度に「同性パートナーシップ制度」を導入する予定ですが、このたび、オンラインで届出を受理する仕組みを取り入れることが明らかになりました(システム構築費として新年度予算案に4000万円を計上するそうです)。全国の同性パートナーシップ証明制度の多くは、県庁や市役所に出向き、職員の前で宣誓を行ない、その場で証明書を交付してもらうという手続きになっていて、オンラインで手続きできるのは希少です。手続きの簡便化のほか、性的指向などが意図しない形で第三者に伝わることを不安視する当事者の心理的負担を軽減するためでもあるそうです。
同制度導入によって、同性カップルも家族として公営住宅に入居したり、病院で診療情報を共有したりすることが認められる模様です。都は広く都民から届出を受け、公的にパートナーであると証明することによって、生活上の困り事の改善につなげるとしています。
対象者や手続きなどの基本的な考え方を今年度中にまとめる方針で、導入済みの区市などと連携し、どんな場面で制度を使うか具体的に検討していきます。
「自治体にパートナーシップ制度を求める会」世話人の鈴木賢明治大教授は、「役所で同性カップルと宣誓することに抵抗感がある当事者のハードルを下げるメリットがある」「パートナーシップ制度は、同性婚が認められるまでの暫定的なものだ。早く同性婚を実現してほしい」と語りました。
神奈川県平塚市は1月26日の記者会見で、4月1日から「パートナーシップ宣誓制度」を開始すると発表しました。
同制度により、今まで家族にしか認められていなかった市営住宅への入居申請、同居申請、承継申請が認められます。
また、市は現在、生活基盤に関わるサービスとの連携を進めるため、平塚市を含む湘南エリア3市2町の不動産業者で構成される(公社)宅地建物取引業協会湘南中支部へ、民間住宅における制度の理解について協力を要請しているそうです。
落合克宏市長は、「宣誓された方が自分らしく活躍されることを応援するとともに、市民や事業者に対する理解促進を図っていく」と展望しました。
市人権・男女共同参画課は、「救急搬送時の情報提供などにおいて、パートナーが親族と同等の対応ができるよう、市民病院への要請なども視野に入れている。サービスの拡充は、制度開始後も他市の先行事例を参考に進める」と話しました。
それから、2月1日、千葉県市川市で「パートナーシップ・ファミリーシップ届出制度」がスタートし、3組のカップルに村越祐民市長から受理証明書が手渡されました。
証明書を交付されたカップルは、「二人だけでなくて、家族という単位で子どもも含めたところで支援をしていってもらえれば、すごく幸せな自治体、地域になるのかなと感じている」と語りました。
村越市長は、「差別や不合理な取扱いがないよう、しっかり周知していきたいと考えている。そういう意味で、(ファミリーシップの)家族の皆さんもしっかり市としてサポートしていって、市内の多様性社会をしっかり進めていきたい」と述べました。
市川市では同性パートナーシップ証明制度の導入に向けて、2021年5月から推進協議会を設置し、検討を進めてきましたが、その結果、県内では初めて、お互いの未成年の子どもも家族と同等に認めるファミリーシップ制度も含めるかたちで制度を創設しました。同制度によって市営住宅への入居などが可能になるほか、今後、公的サービスの対象を広げる方針です。
参考記事:
東北で初 県が「パートナーシップ宣誓制度」導入(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/20220204/6080015183.html
県がパートナーシップ宣誓制度を創設(青森テレビ)
https://www.atv.jp/news/?id=00012473
東北では初 青森県がパ-トナーシップ宣誓制度を創設(青森朝日放送)
https://www.aba-net.com/news/news-36594.html
青森県、パートナーシップ宣誓制度(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79886870U2A200C2L01000
パートナーシップ制度7日から導入/青森県(東奥日報)
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/859656
橋本市が「同性パートナーシップ」 前倒し、10月導入 県内初/和歌山(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20220203/ddl/k30/040/324000c
同性パートナーシップの届け出、オンラインで受理 東京都が新年度から 心理的負担の軽減図る(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/157842
パートナーシップ制度 4月から宣誓認証開始へ(タウンニュース)
https://www.townnews.co.jp/0605/2022/02/03/611449.html
「お互いの子どもを含めて家族」市川市が千葉県内初のパートナーシップ制度を施行(千葉テレビ)
https://www.chiba-tv.com/plus/detail/20220260606