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大阪府茨木市が同性カップルの公正証書作成費用を助成へ

 大阪府茨木市は2月22日、パートナーシップ宣誓をした同性カップルが公正証書を取得する際、作成費用を助成(補助金を支給)することを発表しました。

 茨木市人権・男女共生課によると、補助の対象となるのは「任意後見契約公正証書」と「合意契約公正証書」。この2つの公正証書を作成するには6万円程度かかりますが、5万円を上限に今夏から助成する方針です。制度の詳細はこれから決めるそうです。
 金融機関によっては二人が連帯して住宅ローンを借りる際、公正証書の提出を求める場合もあるため、市が公正証書取得を助成することにしたものです。
 福岡洋一市長は「行政として、ほかの方と同じように暮らせるよう可能な限り施策を展開する」と語っています。
 NPO法人虹色ダイバーシティの村木真紀代表は、「住宅を取得しにくい課題は実際にある。解決の一助となる政策だと思う」とコメントしています。

 茨木市は、同性パートナーシップ証明制度こそ導入していないものの(大阪府で2020年から始まったこともあって、市として独自には導入していないのでしょう)、市の公式サイトに「性の多様性について」というページを設けたりリーフレットを作成したりして市民への啓発を行なっているほか、当事者と支援者が集える「いばらきにじいろスペース」というコミュニティスペースを月に一度開設したり、相談窓口を設けたりというLGBTQ支援施策を実施してきました。

 なお、同性カップルの公正証書取得への助成は、同性パートナーシップ証明書の取得に公正証書の提出が必要な東京都渋谷区においてすでに実施されています(茨木市と同様、任意後見契約公正証書と合意契約公正証書の取得について5万円を補助するものです)が、大阪府では初となります。渋谷区の場合、「婚姻届に費用はかからないのに同性パートナーシップ証明には何万円もかかるのは不平等ではないか」といった声が上がっていたこともあっての施策だったと思いますが、茨木市の場合は、民間の住宅ローンの利用について、同性カップルには(法律婚の異性カップルにはかからない)公正証書作成という負担が生じてしまうことに鑑み、「(法律婚の夫婦と)同じように暮らせるように可能な限り施策を展開する」との趣旨で助成を決めたもので、同性であるがゆえに被る不利益を少しでも解消しようとする平等への取組みであると言えます。
 

 先日の世田谷区の災害弔慰金災害義援金、那覇市の市職員への扶養手当の支給、中城村の同性カップルの挙式への助成などもそうですが、今回の茨木市の施策も、ここまでやってくれるのか…との感謝の念に堪えませんし、自治体がやれることがまだこんなにあったのか…との感慨も禁じえません。同性パートナーシップ証明書発行からさらに先に進んで、婚姻制度から排除され、不利益を被っている同性カップルを少しでも異性婚と平等に扱おうとする施策が、このように全国で展開されていること、本当に素晴らしいです。
 
 
参考記事:
大阪・茨木市、同性カップルの公正証書作成費を補助 上限5万円(朝日新聞デジタル)
https://digital.asahi.com/articles/ASQ2R6WR7Q2QPTIL020.html

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