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那覇市が4月から同性パートナーシップ証明制度を拡充し、コロナ傷病手当金の支給や、パートナーが同性である市職員への扶養手当の支給を開始します

那覇市が4月から同性パートナーシップ証明制度を拡充し、コロナ傷病手当金の支給や、パートナーが同性である市職員への扶養手当の支給を開始します

 沖縄県那覇市は4月から「那覇市パートナーシップ登録」の関連施策を拡充し、同性パートナーが新型コロナウイルス感染症で亡くなった場合、傷病手当金相当額を支給することとしました。併せて「ファミリーシップ制度」も2022年度内に導入する予定です。
 
 「那覇市パートナーシップ登録」制度は「性の多様性を尊重する都市・なは」宣言の理念に基づき、戸籍上の性別が同じである二人が互いを人生のパートナーとするパートナーシップ登録を行い、証明書を交付する制度です。
 琉球新報によると、2月16日に開かれた市議会2月定例会代表質問で那覇市仲本達彦総務部長が古堅茂治市議(共産)に答えるかたちで、4月(2022年度)から同制度を様々に拡充することを表明しました。
・国民健康保険被保険者と同居し、生計を共にするパートナーシップ登録者に対し、もしパートナーが新型コロナウイルス感染症で亡くなった場合、市独自に傷病手当金相当額を支給します。傷病手当金は病気などで働けなくなり、給料がもらえなくなった人に支給されるもので、本人が死亡した場合は法定相続人に支給されますが、同性パートナーは法定相続人になれないため、COVID-19で国保被保険者が死亡した事例に限定して、那覇市が独自に相当額を支給します。
・パートナーが同性である市職員を結婚休暇や介護休暇などの対象に含め、扶養手当などの算定で配偶者と同様に扱う運用も4月から始めます。同制度は原則、カップル双方が市民であることが条件ですが、市職員が市外に住んでいることもあるため、扶養手当などの運用は登録者以外も含めるそうです。
・パートナーの子など近親者も家族として登録する「ファミリーシップ制度」も2022年度内に導入する予定です。パートナーの子らが病気をしたとき、家族として病院から説明を受けやすくなる効果などが期待されます。
・これまで同性カップルが対象でしたが、戸籍上は異性の性的マイノリティのカップルに広げるよう見直しを進めます。

 傷病手当金は、病気やけがで働けなくなり、給料がもらえなくなった人に現金が支給される制度で(給与の2/3を支給)、コロナ感染で働けなくなった場合も対象ですが、もし本人が死亡した場合は配偶者など相続人に支給されます。ただし、自営業者らが加入する国民健康保険にはない制度であるため、コロナ対策として特例で国が給付分を全額負担し、各自治体が条例改正して適用されることになりました。本人が死亡した場合は法定相続人に支給されますが、現行法では同性パートナーは法定相続人になれないため、たとえパートナーがCOVID-19で亡くなっても、手当金を受け取ることができない(パートナーを喪ったうえに国からの差別に嘆く)という悲劇に見舞われます。そんな不条理、不平等を解消するために、2021年2月、世田谷区が全国に先駆けて同性パートナーへのコロナ傷病手当金の支給を実現しました。那覇市がこれに続き、全国で2例目となりました。他の自治体もこれに続いていただけることを願います。

 それから那覇市は今回、同性パートナーを持つ市職員に、異性婚の職員と同様の算定で扶養手当を独自に支給するとしています。これは(現在、元北海道職員の方が扶養手当を同性カップルに支給しなかったのは「法の下の平等」を定めた憲法に違反するとして裁判を行なっていますが)全国でも初めてのケースだと見られます。画期的です。
 
 那覇市は2015年、全国で2番目にLGBT支援宣言(「性の多様性を尊重する都市・なは」宣言)を発して本格的にLGBTQ施策に取り組みはじめ、2016年7月には全国で5番目に同性パートナーシップ証明制度を導入し、同月開催のピンクドット沖縄で第1号カップルに城間市長自らが証明書を授与するなどして感動を与えました(ピンクドット沖縄には初回から後援し、城間市長はほぼ毎回、来場してご挨拶してくださっています)。今回、同性カップルが被っている不平等を少しでも解消しようと(また、コロナ禍で日頃からの生きづらさがさらに深刻になりがちな性的マイノリティを支援しようと)いう思いで、さらにこのように画期的な制度拡充を実現してくれました。本当に素晴らしいです。拍手!

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 それから、栃木県鹿沼市は2月16日、「パートナーシップ宣誓制度」を拡充し、「市パートナー&ファミリーシップ宣誓制度」として4月から運用開始することを市議会全員協議会で明らかにしました。栃木県としては初の取組みで、母子健康手帳交付などの行政サービスのほか、医療機関でパートナーの子どもの病状説明を受けられるようになったりすることが想定されます。市は「多様な家族の在り方を支援したい」としています。

 鹿沼市は2019年6月、栃木県で初めて「パートナーシップ宣誓制度」を導入。今年1月時点で4組のカップルが宣誓を行なっているそうです。
 新たに導入する「ファミリーシップ制度」は、過去に子どもをもうけて現在は同性パートナーとともに育てているような方や、養子や里子を育てているカップルに対して、同居する子どもも家族として公認するもので、保育施設に通う子どもをお迎えする際に親だと証明できたり、医療機関で子どもが入院や手術を受ける際の同意書の提出が可能になったりということが想定されます。
 こうした運用を可能にするためには民間の協力が必要で、市は事業者や各種団体などに制度への理解を呼びかけ、提供可能なサービスの拡大を図りたい考えです。
 市は新制度の詳細を定めた要綱を3月中に策定します。
 佐藤信市長は「多くの市民に趣旨を理解していただき、学校教育現場などでの差別排除にも力を入れたい」と語っています。
 
 
 

参考記事:
パートナー制度拡充へ ファミリーシップ制度も導入予定 那覇市(琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1472035.html

性的少数者カップル、パートナーの子も「家族」に 栃木県内で初、鹿沼市が制度導入(下野新聞)
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/555640

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