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　同性カップルが内縁関係を解消した後の財産分与請求権について近く初の司法判断が下されますとのニュースでお伝えしていた横浜家裁の審判が下り、財産分与の前提となる内縁関係を同性間で認めることは現行法の解釈上困難だとして申し立てを却下しました。申立てを行なった女性は「判断に大変失望した。 私たちはただ異性カップルと同じ権利を求めている」と語っているほか、専門家やLGBTQコミュニティからも批判の声が上がっています。

　
　弁護人によると、申立てを行なったドイツ人の女性は日本国籍の女性と平成25年からおよそ6年間にわたって日本で生活をしたあと関係を解消し、別居したということです。そして、二人の間には内縁関係が成立しているとしたうえ、同性間での分与を否定するのは「性的指向という自ら選択する余地のない理由で不利益を及ぼしており、憲法違反だ」として、夫婦や内縁関係にある男女が別れた場合と同様に財産分与が認められるべきだと訴えていました。
　この訴えに対して横浜家庭裁判所は「日本の法律は婚姻および離婚の当事者を『夫婦』または『父母』と規定するなど異性間でのみ認めていることは明らかだ」などとしたうえで「婚姻の実質的要件を欠く場合にまで内縁の夫婦関係と認め、婚姻に関する規程を適用するのは現行の法律の解釈上困難だ」と述べ、申し立てを却下しました。高谷英司裁判官は、ドイツで離婚していない点も挙げ、「ドイツ法で婚姻が成立しており、内縁ではない」とも述べました。

　同性カップルの権利の保護をめぐっては、昨年3月に最高裁が、同性カップルも婚姻に準じた関係（内縁関係）であり法的保護の対象になると認めています。

　女性は「判断に大変失望しました。 私たちはただ異性カップルと同じ権利を求めています」とのコメントを発表しました。
　代理人の小豆沢史絵弁護士は「憲法の問題に触れず、結論ありきの不誠実な審判」だとして即時抗告する方針です。「実態として婚姻に準ずる関係にあったのは疑う余地がありません。極めて不当です」

　家族法が専門で性的マイノリティの問題に詳しい早稲田大学法学学術院の棚村政行教授は「内縁の意思や生活実態があったかどうかではなく、現行法上同性カップルの関係は婚姻に準じて保護される夫婦関係にも内縁関係にもなりえないと門前払いをした判断と言える。世界的には同性カップルの権利を認める国が増えるなか、日本の法整備の動きは鈍い。法律に規定されていない同性カップルは裁判所が認めなければ救えない。形式的な判断をした家裁は司法の役割を放棄した」「日本でも異性のカップルと同じように関係が破綻してトラブルになった際の解決法をどうするのか考えていく必要がある」と批判しています。
　
　同性パートナーを扶養認定しなかった道と地方職員共済組合に損害賠償を求める「SOGIハラ訴訟」を昨年6月、札幌地裁に起こした元北海道職員の佐々木カヲルさんは「不合理な差別」と憤ります。佐々木さんは札幌市のパートナーシップ制度を利用し、住民票上も同一世帯だったにもかかわらず「社会的な合意の形成が必要」などとして手当を支給されませんでした。「内縁の実態があっても認めてくれない。公の機関こそリーダーシップを発揮し、差別を解消するべきです」

　SNS上でもLGBTQ+Allyの方々から批判の声が上がっています。
「なんでこうも度々踏みにじられないといけないのかなぁ…。司法がこの体たらくなら、一体私たち当事者はどうしろと」
「法律婚していなくても"男女"であれば保護され、それ以外は排除。いつまで続くのか」
「こういう紛争を避けるためにも同性婚が必要」
「あまりにも形式的すぎる判断」
「「憲法違反だ」という訴えに対して、「現行法上、解釈は困難」という審判は、答えになっていない」
「「ドイツ法で婚姻が成立しており、内縁ではない」から財産分与を認めないという理屈はおかしい」
「法制度上は他人なのが「内縁」じゃないの？」
「世の中パートナーシップ条例ができたりしてて、もはや門前払いできるような状況ではないと思うけど。この裁判官大丈夫？」
「同性婚後進国露呈の恥ずかしさ」
「バレンタインデーにこの判決？」
　
　即時抗告とのことで、裁判はまだ続くそうですので、引き続き見守っていきましょう。

　

参考記事：
同性カップルの内縁関係認めず 財産分与申し立て却下 横浜家裁（NHK）
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220214/k10013483831000.html
同性カップルの財産分与　横浜家裁が内縁関係認めず（テレビ神奈川）
https://www.tvk-yokohama.com/tvknews/news1.php#0035170
同性同士の「内縁」認めず　破局後、横浜家裁（共同通信）
https://nordot.app/865809946812563456?c=39546741839462401
同性の内縁認めず　横浜家裁　破局後の財産分与申し立てを却下（東京新聞）
https://www.tokyo-np.co.jp/article/160210
横浜家裁の判断に当事者憤り「性的少数者への理解後退」　同性の内縁間の財産分与巡る家事審判（東京新聞）
https://www.tokyo-np.co.jp/article/160219