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東京都が性的マイノリティ関連施策を公表し、意見募集を行なっています
東京都男女平等参画推進総合計画(素案)が公表され、パブリックコメントの募集が始まりました。「パートナーシップ制度」の導入をはじめ、性的マイノリティ関連の施策が示されています。
東京都は、本年1月の東京都男女平等参画審議会の答申を踏まえ、「東京都男女平等参画推進総合計画(素案)」(計画期間:令和4年度から令和8年度まで)を取りまとめました。都民の皆様から御意見を募集し(締切は3月4日)、今後、民間団体の取組も併せて掲載し、本年3月末を目途に計画を改定する予定だそうです。
性的マイノリティ関連の施策については、「第2部 女性活躍推進計画」の「第3章・多様な人々の安心な暮らしに向けた支援(PDF)」の「5 性的少数者への支援」の章でご確認いただけます。
・「現状・課題」として、人権尊重条例を制定し、性的指向・性自認を理由とする不当な差別の解消ならびに啓発等の推進を図ると明記したこと、「基本的人権が尊重される社会を守るため、性的少数者であることを理由に差別が行われたりすることのないよう、啓発活動に取り組む必要がある」こと、「性的少数者の不安や悩みに対応し、差別などを受けた場合に備えた適切な相談対応に取り組む必要がある」、「パートナーシップ制度について、多様な性に関する都民理解の促進につながることから、都においても制度の導入が求められる」と述べられています。
・「取組の方向性」として、「性的少数者への偏見や差別が人権侵害であることを周知するため、啓発に取り組むとともに、相談にも適切に対応していきます」と述べられています。
・「施策」としては、「パートナーシップ制度の導入」「都立高校における制服の自由選択化の推進」「性自認及び性的指向に関する企業研修」「交流の場・機会提供事業」「普及啓発の推進」「男女平等参画に関する総合相談」「人権問題に関する相談」「性自認及び性的指向に関する相談」が挙げられています。(上記の表の通りです)
・「都民・事業者の取組」として、「性的少数者への偏見や差別をなくし、全ての人々の人権が尊重される社会の実現を目指していきます」と述べられています。
2000年に東京都が人権施策推進指針の策定にあたり、同性愛者からヒアリングを行ない、性的マイノリティ(同性愛者、性同一性障害の当事者や〜)の人権についての提言がなされたにもかかわらず、指針の骨子案から「同性愛者」が消され、コミュニティ内で問題視され(騒動となり)、たくさんのパブリックコメントが都に届けられ、最終的に「また、近年、同性愛者をめぐって、さまざまな問題が提起されています」という文言が入ったという出来事がありましたが(こちらに詳しく書かれています)、20年の時を経て、東京都がLGBTQ差別の解消を図る人権尊重条例を制定し、このように、同性パートナーシップ証明制度をはじめとする様々なLGBTQ施策を打ち出すまでになったことには、感慨を禁じえません。
しかし、この素案では、都営住宅への同性カップルの入居や、同性パートナーを持つ都職員への待遇の平等化という、非常に重要なイシューについては触れられていません。
また、上川あや世田谷区議も指摘しているように、「第3部 配偶者暴力対策基本計画」のなかで、男性のDV被害者やトランスジェンダーなどの性的マイノリティの被害者の支援について、一言も書かれていません(現状、男性DV被害者の相談に乗るのは都の役割。男性DV被害者や性的マイノリティDV被害者にはシェルターも存在しません)
こうした点について、ぜひ再考し、性的マイノリティへの待遇の平等を実現していただけるよう、パブリックコメントを送ってみませんか?(専用フォームはこちら)
先日の青森県のケースでも浮き彫りになりましたが、同性パートナーシップ証明制度は、ただ証明書を発行すればよいというものではなく、その根幹にあるのは、現状、結婚が認められないがゆえに、扶養や配偶者控除や相続や遺族年金などの制度的恩恵を受けられず、ひどい場合は死に目にも会えず、共有財産を親族に持って行かれ…様々な不利益を被っている同性カップルに対して、いかに奪われた諸権利を回復し、平等に近づけていくかということです。(その点、世田谷区は、いかに平等を実現するかというところで、自治体としてできるあらゆる取組みを実践してきたと言えます)
東京都の同性パートナーシップ証明制度も、「多様な性に関する都民理解の促進につながるから」というよりも、結婚できない同性カップルに対して少しでも異性婚と平等な待遇を保証しようとする(構造的差別を解消する)制度であるという視点で再考されるとよいのではないでしょうか。