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世田谷区が4月から同性パートナーにも災害弔慰金を支給する新制度の運用を開始
東京都世田谷区は4月から、自然災害で亡くなった住民の同性パートナーにも平等に災害弔慰金を支給する新制度の運用を開始します。2019年に上川あや区議が議会で初めて問い、区が検討の意向を示していたものです。
災害弔慰金は、(暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波その他の)自然災害が原因で死亡したと認定された人の遺族に、500万円を上限に弔慰金を支給する制度です(生計維持者が死亡した場合は500万円、その他の場合は250万円の弔慰金を支給)。実施主体は市区町村で、都道府県と市区町村が4分の1ずつ、残りを国が負担します。災害から一定期間が経った後に死亡した場合でも、避難生活での疲労やストレスが原因であるという因果関係が認定されれば、その遺族も支給対象になります。
災害弔慰金制度は法律上の夫婦だけでなく事実婚関係にある異性パートナーも対象としていますが、同性パートナーは対象外とされてきました。上川区議はこうした状況が差別的であるとして、世田谷区が性的指向による差別を禁じた条例を施行していることを踏まえ、改善を求めていました。区議会で工藤誠危機管理室長は「同性パートナーであること、生計を一つにしていたことの確認など課題があるが、それらを整理し支給制度を検討していく」と回答していました。
世田谷区は、災害弔慰金の同性パートナーへの支給について検討を重ね、新たに区の要綱として定め、この4月1日から施行することになりました。2月2日の区議会の委員会で区側から報告されました(毎日新聞で報道されました)
新たに制定された要綱は、災害によって死亡した区民の同性パートナーを対象とし、支給額は現行の災害弔慰金制度と同じになっています。具体的に支給対象となる同性パートナーは、世田谷区で同性パートナーシップ宣誓を行なった人と、公正証書によってパートナーシップ関係が確認できる人とされています。
上記で述べたように、現行の災害弔慰金制度の財源は市区町村と都道府県が4分の1ずつ、残り半分を国が負担することになっていますが、国の災害弔慰金の支給等に関する法律では同性パートナーが対象とされていないため、現行制度に基づいて都や国に財源の負担を求めるのではなく、制度を新設し、財源は区が全て賄うことにしたそうです。
上川区議は毎日新聞の取材に対し、「区独自の取組みで実質的な平等を保障できる。法律や国によって認められないからと諦めるのではなく、どこの自治体でも応用できるはず」と語りました。
世田谷区は、同性パートナーシップ証明制度を(要綱で定める「世田谷方式」で)最初に施行した自治体であり、区の職員の互助会で同性パートナーにも結婚祝い金を支給するようにしたのも全国で初めてですし、今回の災害弔慰金の件もそうです。そこには常に、上川あや区議の尽力がありました。本当に感謝しかありません。頭が下がります。
参考記事:
世田谷区、同性パートナーに災害弔慰金を支給へ 4月から新制度(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20220202/k00/00m/040/243000c