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三重県議会が「議員の政治倫理に関する条例」改正案を可決、小林県議による同性カップルへの人権侵害について対応を協議する超党派会議が提案

 三重県議会議員がSNS上の差別的な投稿に対して「いいね」を押すなど人権侵害を助長するような行為をすることを禁止する「議員の政治倫理に関する条例」改正案が、20日の県議会本会議で全会一致で可決されました。
 県議会議員が、ネットも含めて「不当な差別、いじめ、虐待、プライバシーの侵害、誹謗中傷」などの人権侵害を行なうことを禁止するほか、SNS上の差別的な投稿に対して「いいね」を押すなど「第三者の行なった侵害行為に対する賛成の意見の表明」も、人権侵害を助長する「侵害行為の扇動」として禁止する内容です。違反した疑いのある議員については、原則、公開で行われる政治倫理審査会で審査し、議員辞職などの勧告や役職の辞任を決めることができると定めています。
 都道府県レベルの政治倫理条例で、人権侵害行為の禁止規定を盛り込んだのは全国初とみられています。
 
 昨年3月、小林貴虎県議(自民党)が伊賀市のゲイカップルの住所を無断で公開した問題を受け、小林県議の人権侵害行為への処遇を話し合うために各会派の代表が参加するプロジェクト会議が県議会内に設けられましたが、同会議が1年半にわたって検討を重ね、今年11月に改正案を提出したものです(全6会派にまたがる議員8人が提案したかたちです)
 小林県議は同性カップルを誹謗中傷するTwitter投稿に「いいね」を押したり、今年10月にはTwitterで「国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸から」などと投稿していたことも問題視されていました。
 プロジェクト会議の小島智子座長は、「議員がより厳しく自らを律していくことを県民に約束するための条例改正だ」と語っています。
(なお、県議会では小林県議に対する辞職勧告案も提出されましたが、1票差で否決されています)
 
 ネットにおける人権侵害などに詳しい大阪公立大の明戸隆浩准教授(社会学)は、「議員は影響力があり、公的な責任を負う存在だ。差別投稿に『いいね』をすれば、本人の意図にかかわらず社会に拡散され、それが差別の扇動に当たる。SNSの特性や議員がより厳しく処罰されなければならないということが考慮された条例だ」と述べています。
 
 
 辞職勧告案は採択されなかったものの、今回、全会派が参加するプロジェクト会議で話し合いが進められた結果、県議会議員による(もちろんLGBTQへの誹謗中傷や差別なども想定した)人権侵害を明確に禁止し、具体的な罰則規定も盛り込んだ条例案がまとめられ、満場一致で採択されたことは、(全国で頻出しているような)議員によるLGBTQ差別発言を防ぐ意味でも重要な役割を果たすことになりますし、人権侵害に当たるような問題行動を放置せず、議会がきちんと動いたという意味でも素晴らしく、様々な意味で評価に値する、意義深い採択だったと言えるでしょう。
(ちなみに三重県議会は2016年、「性的少数者に対する差別の解消と共生社会を実現するための法整備を求める意見書」を全会一致で可決しています。なんと先進的なことでしょう)
 
 


参考記事:
差別的投稿に「いいね」禁止 三重県議会「議員の政治倫理に関する条例」改正案可決(三重テレビ放送)
https://www.mietv.com/news/prenews.html?article=4
県議の差別投稿禁止条例を可決 三重、「いいね」もダメ(共同通信)
https://www.47news.jp/8715171.html
差別助長する「いいね」禁止 三重県議会、条例改正案可決(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15507833.html
SNSの差別投稿に「いいね」も禁止 三重県議会が条例改正へ(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20221025/k00/00m/040/253000c
三重県議会 議員の差別投稿「いいね」禁止条例案(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20221028/3000025618.html

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