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オープンリー・ゲイのレオ・バラッカー氏が再びアイルランド首相となりました

 アイルランドで12月17日、オープンリー・ゲイのレオ・バラッカー氏が再び首相に就任しました。


 レオ・バラッカー氏は2015年、保健相(厚生大臣)を務めていた時にアイルランドの閣僚として初めてゲイであることをカミングアウトし、同性婚推進を訴えました(同年5月、アイルランドは世界で初めて国民投票で憲法を改正して同性婚を認める国になりました)。そして2017年に与党・統一アイルランド党の党首に選ばれ、同国初のオープンリー・ゲイの首相となりました(インド系の人物としても初、移民の子孫としても初、また、アイルランド史上最年少の首相でもありました)。そこから2020年まで首相を務めましたが、2020年2月の選挙で敗れ、第3党にとどまり、6月、第1党となった共和党や緑の党とともに連立政権を組むことで合意し、その一環として共和党党首であるミホル・マーティンが首相となり、バラッカーは副首相になりました。この合意では、2022年末に首相を交代するということになっていたため、マーティン氏が辞任し、下院がバラッカー氏を新首相に選出し、バラッカー氏が再び首相に就任したものです。
 なお、バラッカー氏は政界入りする前は医師として働いていましたが、2020年の新型コロナウイルスのパンデミックに伴う人手不足の状況に鑑み、同年4月、一人の医師として新型コロナウイルス対応に追われる医療現場の手助けに回っています(実に立派な方ですね)
 
 2年半ぶりに首相に返り咲いたレオ・バラッカー氏は議会で、住宅問題や、英国とEU間で摩擦が続く英領北アイルランドの国境問題の解決に取り組むと強調しました。

 なお、今年10月に就任したばかりの英国のリシ・スナク首相もインド系の方で、歴史的つながりの深い両国でそろってインド系のリーダーが誕生したことに対し、BBCは「歴史的に興味深い節目」だと報じました。
 
 アイルランドはかつて(ジェームズ・ジョイスやU2などの作品にも描かれているように)紛争の問題もあり、欧州の最貧困の一つと見なされてた国でしたが、現在は一人当たりGDPが世界第3位の裕福な国になっています(バラッカー氏のもとで右肩上がりに成長しています)(ちなみに世界1位はルクセンブルクで、やはりオープンリー・ゲイのグザヴィエ・ベッテル氏が首相を務めています)。そんなアイルランドでバラッカー氏が首相に再選されたというニュースは、同性愛者、移民の子であっても一国のリーダーとして国を立派に導くことができるということを雄弁に物語るもので、世界中のたくさんの方たちに勇気を与えそうです。
 
 
参考記事:
バラッカー氏が再び首相に アイルランド、政権内合意(共同通信)
https://nordot.app/977007008372965376
アイルランド首相にバラッカー氏(時事通信)
https://news.livedoor.com/article/detail/23395789/
アイルランド新首相にバラッカー氏 インド系、同性愛者を公言(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20221219/k00/00m/030/034000c
英国とそろってインド系リーダー、アイルランド新首相にバラッカー氏(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20221218-OYT1T50116/
アイルランド、バラッカー氏が再び首相に 連立合意に基づき交代(ロイター)
https://jp.reuters.com/article/ireland-politics-idJPKBN2T300P

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