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製薬企業5社がLGBTQ+啓発アライアンス「Pharma for PRIDE」を設立、「誰もが安心して働ける職場や業界を実現するために」

 アストラゼネカ、サノフィ、アレクシオンファーマ、アッヴィ、アラガン・ジャパンという外資系製薬企業5社が12月8日、LGBTQ+啓発アライアンス「Pharma for PRIDE」を設立し、合同勉強会を開催しました。「誰もが安心して働ける職場や業界を実現するためにLGBTQ+に対する正しい理解の促進と、社会への発信を共同で行なう」とのことです。

 
 同日開催された勉強会は、性的マイノリティの方が見かけ上の性別を前提に恋愛に関する質問をされた時の気持ちや、アウティングを耳にした時の対応などを基に、職場において個人の違いを尊重したコミュニケーションの必要性を考えるものでした。例えばレズビアンの女性に対し、職場で同僚や上司が「彼氏はいるの?」「結婚は考えているのか?」と尋ねるケースについて、参加者から「パートナーはいるの?と尋ねる」「そもそも聞かない」「相手が話しやすいように自分の話をする」などのコメントが寄せられました。これに対し、同性のパートナーと一緒に暮らしている参加者は、「当事者にとってあるあるの質問だ。仮に『いない』と答えても、『誰か紹介するよ』という流れになりかねないし、『いる』と答えれば、そこからの話は嘘をつく必要があり、本当のことを言えない罪悪感や、コミュニケーションを避けてしまうという悪循環につながる」と指摘し、「異性愛前提で話が進むと言い出しにくいので、パートナーという表現や『つきあっている人はいるの?』というような聞き方をしてもらえると心理的な安全性が上がる」と答えていました。
 事務局の一人は、「会社で一人ひとりが100%の力を出していくためにも、性的指向によって当事者を傷つけることや、パフォーマンスを下げるようなことはあってはいけない」と強調しました。

 勉強会は、アストラゼネカ、サノフィ、アレクシオンファーマの3社が参加した6月に続き、2回目の開催で、今回は新たにアッヴィ、アラガン・ジャパンの2社が加わり、計約900人が参加したそうです。なお、12月4日~10日は、法務省と全国人権擁護委員連合会が定める人権週間に当たり、8日に開催したのはそういう意味もあるようです。

 製薬企業では近年、LGBTQ+に関する理解や支援の動きが活発化していて、PRIDE指標2022では14社がゴールドに認定されました。「Pharma for PRIDE」は、「性的マイノリティの当事者は、人口の10%を占めるとのデータもあり、積極的に意見を取り入れるべき存在だと感じている。同業他社の視点を加えた相乗効果によって、医薬品業界内でさらに多様性を尊重する機運が広がることを期待したい」とコメントしています。今後、アライアンスや合同勉強会に参加する製薬企業を拡大するほか、将来的には業界の垣根を超えて取組みを進めていく意義を社会に発信していくことを目指すそうです。


 同じ業種で、会社の垣根を超えてLGBTQ支援に取り組んでいるケースとしては、何と言っても金融業界の「LGBTファイナンス」がさきがけとしてよく知られています。まだ一般企業でLGBTQ支援の取組みがほとんど見られなかった2006年という早い時期に設立され、東京のプライドパレードや東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(現レインボー・リール東京)に協賛し、多大な貢献をしてきたほか、2018年の在日米国商工会議所(ACCJ)による婚姻平等実現の提言に賛同したり、当事者学生向けセミナーなどのイベントを主催したり、様々な活動をしてきました。
 LGBTファイナンスも初めは外資系金融企業が中心でしたが、今では野村證券やみずほ銀行などの国内企業も参加しています。「Pharma for PRIDE」も今後、外資系に限らず幅広い製薬企業が結集し、LGBTQコミュニティへの支援など、意義ある活動を展開していくのではないかと期待されます。
 
 


参考記事:
製薬企業5社が「Pharma for PRIDE」を設立 性的マイノリティへの理解深める(ミクスOnline)
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=74066


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