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米上院で同性婚保障法の採決に進むための動議を賛成多数で可決、制定に前進

 米連邦上院は11月16日、同性婚の権利を保障する法案の採決に進むための動議を賛成多数で可決しました。LGBTQの権利擁護に積極的な民主党系の全議員50人に加えて、野党・共和党からも12人が賛成し、可決に必要な60票を超えました。


 米国では2015年の連邦最高裁判決で、全米で同性婚の権利(婚姻の平等)が認められましたが、トランプ政権下で定員9人のうち6人を保守派の判事が占めるようになった連邦最高裁が今年6月、人工中絶を米連邦レベルの権利として認める1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆し、また、最高裁のクラレンス・トーマス判事が「次はグリスウォルド(避妊の権利)、ローレンス(同性間の性行為の権利)、オーバーグフェル(同性婚の権利)だ」と述べたことから、同性婚の権利が覆されかねないと懸念されていました。そのため、連邦議会で民主党が中心になり、判例が覆った場合でも同性婚の権利を保障する連邦法の制定を進めてきました。
 同性婚の権利を擁護する「Respect for Marriage Act(結婚尊重法)」法案は、連邦政府が同性婚が合法な州での同性カップルの婚姻を認め、カップルが他州に移動した場合も婚姻は有効だと認める規定を設けています。もし最高裁で同性婚の権利が覆された場合、保守的な州では州法で同性婚が禁止される可能性がありますが、リベラル的な州での同性婚の権利を守ることで最低限の保障を担保しています。法案には、異なる人種間の結婚についても同様の保障規定を設け、結婚を「一人の男性と一人の女性の結合」と定義した結婚保護法(1996年制定)の無効化も盛り込まれました。
 この法案は今年7月、米下院本会議で賛成多数で可決されていました。

 今後、この法案が成立するためには、11月中にも予定される上院での最終的な採決で可決した後、民主党が多数派となっている下院での可決とバイデン大統領の署名が必要になります。先日の中間選挙の結果、下院では2023年1月から共和党が多数となってしまうため、バイデン大統領率いる民主党は法制定を急いでいます。
 今回、法制定に向けて大きなハードルを越えたバイデン大統領は、声明で「愛に性別は関係ない。米国民には愛する人と結婚する権利があるべきだ」と述べ、歓迎しました。
 「結婚尊重法」が無事に採択され、同性婚の権利が守られることを祈ります。


 
 なお、同性婚(婚姻平等)といえば、日本では「結婚の自由をすべての人に」訴訟が進行中ですが、札幌、大阪に次いで11月30日14時、いよいよ東京地裁で判決が下されます。おそらく抽選になるかと思いますが、傍聴して応援したいという方は、こちらのスレッドをご覧ください(傍聴券交付情報は裁判が近くなったらこちらに掲載されます)
 米国やブラジルなど多くの国で、最高裁判決によって同性婚(婚姻の平等)が認められてきました。日本もそうで、11月30日の東京地裁判決は、最終的に最高裁で同性婚(婚姻の平等)が認められることが望まれる「結婚の自由をすべての人に」訴訟の一つの節目です。LGBTQコミュニティの歴史に刻まれる日となるでしょう。
 


参考記事:
同性婚保障法、米上院で制定に前進 バイデン氏「愛に性別関係ない」
https://mainichi.jp/articles/20221117/k00/00m/030/097000c

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