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「work with Pride 2022」にラーム・エマニュエル駐日大使が登壇しました
LGBTQ+も働きやすい職場環境づくりについて考えるカンファレンス「work with Pride 2022」が経団連会館・国際会議場で11月10日(木)、3年ぶりにリアル開催されました。「企業と同性婚」「企業とトランスジェンダー」という有意義なトークセッションが行なわれ、PRIDE指標では過去最多となる838の企業・団体が認定を受けるなどして、たいへん実りあるカンファレンスとなりました。
(なお、会の最後に、2023年度から「work with Pride」を一般社団法人とすること、PRIDE指標の審査を有償化すること(応募企業から審査料をいただく)、実行委員会の参画企業を幅広く募集、というアナウンスがありました。PRIDE指標2023についてのオンライン説明会が来年1月18日(水)13:30〜に実施されます)
カンファレンスの模様はあらためて詳細にレポートいたしますが、会の冒頭、ラーム・エマニュエル駐日大使が登場し、お話した、その内容がとても素晴らしかったので、ニュースとして先にお伝えします。
ラーム・エマニュエル氏は、クリントン政権の大統領上級顧問を経て2003~2009年に下院議員をつとめ、2009〜2010年にはオバマ前大統領の首席補佐官となり、2011〜2019年にはシカゴ市長をつとめました。米国でLGBTQの権利保障がどのように実現してきたかを見届けてきた方であり、シカゴ市長として同性パートナーを持つ市職員や公務員の待遇の平等化を実現し、イリノイ州での同性婚実現につなげた方でもあります。エマニュエル氏はバイデン政権下で駐日大使に指名され、今年1月から着任し、4月のTRP2022のパレードも歩いています。
11月1日、東京都で「パートナーシップ宣誓制度」がスタートした日には、「平等への大きな一歩です。本日、東京都は同性カップルに初めてパートナーシップ証明書を発行し、歴史を刻みました。この特別な瞬間を目の当たりできたことを誇りに思います。愛する人と一緒にいる権利は人権である――そう信じるすべての人たちと私たちは共にあります。#自分らしく」とTwitterで祝辞を寄せていました。
今回、事前の告知等は特になかったものの、急遽(サプライズで)ラーム・エマニュエル駐日大使が登場し、ご挨拶しました。
「私たちは皆、必要じゃない人なんて誰もいない。社会に貢献できる。世界にはウクライナのことなどたくさんの課題がある。愛する二人の権利もその一つ」と語り、シカゴ市長の時代に市職員をはじめあらゆる公務員にドメスティックパートナー制度として異性婚と平等な福利厚生を認め、数年後にイリノイ州で同性婚が認められたということや、シカゴ市長は予算も多いし大企業のCEOのようなものだとして、政府は法律を変えろと言うのは容易いが、皆さんがどのような企業文化を醸成し、社会に働きかけていくかということも大事だと激励しました。そして、プライベートな話として、結婚式の付添人の一人がゲイの方だったことを紹介し、愛する人と家族になりたい、愛し合ってお互いを大切にしたいという気持ちの尊さは同性も異性も変わらない、愛を見つけた友人は何も間違ってない、と語り、感動を与えました。
続いて「work with Pride 2022」実行委員会の事務局を務める認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ松中代表が登場し、エマニュエル大使と対談しました。
ーー日本の企業も米国と同じように進んでいるとすると、米国の企業がどういうことを推進してきたかということが参考になると思いますので、教えていただけますか?
決して真っ直ぐな旅ではなかった。企業によっても異なるし、たくさんの闘いがあった。米国にはグローバル企業も多く、人材獲得の競争が激しい。ゲイだからとかそんなこと言ってられない。そうやって婚姻平等、福利厚生の平等を実現してきた。
ーー社会変革において企業が果たす役割はどのようなことでしょうか?
企業のリーダーは株主だけでなく社会に対する責任もある。2015年に婚姻平等が達成され、企業も福利厚生に関して同性異性問わない対応をするようになった。この変化を元に戻そうとする企業はなかった。6年ほど前、LGBTQの権利に制限をかける州法をつくろうとしたノースカロライナ州に対して、NBAがオールスター戦の開催地を変更したり、企業も事業撤退して抗議した。
ーーここにお集まりいただいたような企業の皆さんのおかげもあって日本社会もずいぶん変わってきましたが、いまは階段の踊り場にいるような感じで…ジレンマを感じています。何か企業でできるプラクティスがあれば教えてください。
止まっているのではなく、次に登って行くためのエネルギーを補給しているのだと思う。歴史は決して直線には進まない。米国ではレーガン政権下でエイズのことが無視され、たくさんの方が犠牲になった。クリントンが大統領になるとホワイトハウスにLGBTQを呼んでエイズ対策について話しあった。カミングアウトした人を政府職員に迎えた。1997年に初めて(CEIを策定したり、婚姻平等を推進するなどしてきた米国最大の団体)ヒューマン・ライツ・キャンペーンのイベントに登壇した。オバマ政権では、LGBTQも従軍できるようになり、婚姻平等も達成された。紆余曲折ある旅だったが、決して止まってはいない。地方自治体の変化、企業の変化も必要だ。いま、東京都が変わった。名古屋ももうすぐだ。企業はどうですか? 最初に手を挙げるのはどこ? 目標を見失わないようにやっていきましょう。
たいへん素晴らしいお話でした。有意義な時間を過ごすことができました。
会場からも、大きな拍手が贈られていました。