NEWS

　10月29日（土）、20回目を迎える台湾同志遊行（Taiwan LGBT Pride）」が開催されました。あいにくの雨となったものの、少なくとも12万人が台北市政府前広場から出発し、市内中心部を行進しました。

　
　台湾では2020年、世界中のあらゆるパレードが中止となるなか、（IT大臣のオードリー・タン氏のおかげもあってコロナの封じ込めに成功したおかげで）例年通りパレードが開催され、約13万人が参加し、世界最大のパレードになりました。しかし、昨年はオンライン開催となり、今年は2年ぶりのリアル開催となりました。台湾同志遊行（Taiwan LGBT Pride）」（以下、台北プライド）は2003年から開催されていますので、今年で20回目を数えます。

　28日（金）には西門でトランスマーチが開催されました（行くことはできないながらも、東京トランスマーチを主催するTransGenderJapanがフラッグを送り、現地の方が旗を掲げて歩いてくださったそうです→こちらにその様子の画像が上がっています）

　29日（土）はあいにくの雨模様となりましたが（台北のパレードは2008年9月に台風に見舞われたこともあり、現在のように時期を10月末にずらし、おかげで雨とはほとんど無縁だったのですが…今回は残念でした）、台北市政府前広場には大勢の人たちが集まり、内外からのパレード参加申込みは200団体を超えたといいます。
　今年の台北プライドは、台北市政府前広場→仁愛路→敦化南路→忠孝東路→国父紀念館→台北市政府前広場というルートと、台北市政府前広場→光復南路→信義路→敦化南路→仁愛路→台北市政府前広場という2つのルートに分かれて行進しました。過去最大の20万人が参加した2019年は総統府広場（凱達格蘭大道）まで約5.5kmを歩いたので、それに比べると短め（無理なく歩ける距離）でした。
　参加者のみなさんは、傘をさしたり、雨合羽を着たりしながら2年ぶりのパレードに参加しました。途中から雨もやみ、歩きやすくなったそうです。
　
　パレード後の集会では、『台湾同性婚法の誕生: アジアLGBTQ+燈台への歴程』の著者、鈴木賢明治大教授がスピーチし、台湾がアジアで初めて婚姻平等を認めた国になったことを称えながら、日本でも婚姻平等を求める訴訟を行なっていることや、人口カバー率6割を超える自治体が同性パートナーシップ証明制度を導入していることなどを紹介し、来年4月に東京レインボープライドで会いましょう、と語りました。
　
　
　今年はキーウプライドが初めて台北プライドに参加したこともニュースになりました。
　台湾に留学中の韓国系ウクライナ人の男性は中央社の取材に対し、「今年はロシアによる侵攻を受けたことで首都キーウでパレードができなかった、台湾で参加できたことは非常に大きな意義がある」と語りました。彼はウクライナでまだ同性婚が認められていないことに言及しつつ、同性婚を支持する声が高まっていること、政府が戦時中の臨時的な措置として同性のパートナーでも遺体の確認ができるよう動いていることを紹介していました。
　
　台湾の蔡英文総統は今年もFacebookで台北プライドの開催にあたってコメントを寄せ、20回目となったことを祝しながら「初開催時に街に出て権利を訴えた人々は20年後、台湾がアジアで最初に同性婚の合法化を実現させるなんて想像できなかっただろう」「今では結婚の選択は多くの人々にとって日常のことになった」と述べました。そのうえで、このような変化と進歩を遂げられたのは多くの人々の努力のおかげだ、台湾の民主主義と市民社会にも感謝したいと述べました。
　
　プライドウィーク中、台北市政府（市庁舎）1階正面玄関には、オランダのアーティストが制作した作品（スカートが同性間の性行為を違法とする国々の国旗で縫われていて、その国で非犯罪化が達成されたらレインボーフラッグに付け替えられるんだそう）が展示されていました。
　また、台北のおしゃれな最新カルチャースポット「松山文創園区」では、台北プライドの20年を回顧する展覧会も開催されていました。
　

　
　　
　
参考記事：
台北でLGBTパレード＝20年迎え回顧展も（AFP=時事通信）
https://www.afpbb.com/articles/-/3431403
LGBTプライド、雨の中12万人参加 ウクライナの団体も／台湾（中央社フォーカス台湾）
https://japan.focustaiwan.tw/society/202210300004
台湾で性的少数者らパレード　アジア初の同性婚法制化、国際結婚に壁（朝日新聞）
https://digital.asahi.com/articles/ASQBY658XQBYUHBI01G.html