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パラリンピックで36名の「チームLGBTQ」が活躍、メダルの総数は25個に上りました
Outsportsの調べによると、東京パラリンピックには36名のLGBTQアスリートが参加しました。この36名を一つのチームと見なすと、世界で29番めに多い選手団になります。「チームLGBTQ」は最終的に金10銀11銅4の25個のメダルを獲得しました。同様に一つのチームと見なすと、世界15位になります。五輪に続き、選手数としてもメダル数としても史上最多記録を更新したパラリンピックとなりました。
馬術競技英国代表で今大会唯一のゲイの選手であるリー・ピアソン選手が金メダルを獲得したことや(閉会式の英国旗入場の際にもリー・ピアソン選手の「もしあなたの子が障害を持っていても、同性愛者であっても、愛が勝たなければならないと思います」という言葉が紹介されていました)、車いすバスケットボール女子英国代表のロビン・ラヴ選手&ローリー・ウィリアムズ選手が婚約している同性カップルであることはすでにお伝えした通りです。
こちらの記事では、競泳女子100m自由形と50m背泳ぎ(運動機能障害のクラス)に出場したブラジルのエデニア・ノゲイラ=ガルシア選手と、シッティングバレー女子米国代表(金メダルに輝きました)の一員であるモニーク・マシューズ選手の声が紹介されていました。
「レズビアンであること、そして障害者であることは、目に見えないという汚名を背負うことになり、二重の困難を伴います」(エデニア・ノゲイラ=ガルシア選手)
「ほとんどの人は私たちが障がい者ということにインスピレーションを受けて、LGBTQということは無視されてしまう。けれど私たちの全部を見てほしいと思っています。だからこそ、今回、前回のパラリンピックよりも多く選手がカミングアウトできたことをうれしく思います。どんどんこれが増えていくことを願っています」(モニーク・マシューズ選手)
そのほかにも、いくつかの「史上初」の活躍がありました。
ボート英国代表のローレン・ロールズ選手は、パートナーのローレンス・ホイットニー選手とともに混合PR2ダブルスカルで金メダルに輝きましたが、OUTパラリンピアンとして初めてパラリンピック・世界選手権・欧州選手権の3大会で金メダルを獲得した選手となったそうです。
また、女子陸上100mT34で銅メダルに輝いたオーストラリアのロビン・ランバード選は、ノンバイナリーであることをOUTしている選手として初のパラリンピック・メダリストとなりました。
プライドハウス東京は、大会期間中、LGBTQアスリートの試合のスケジュールを日々、詳細に伝え、応援してきました。閉会式の後、Twitterでプライド・ハウス東京に足を運ぶことができなかったアスリートのメッセージを提供してくれたAthleteAllyやGLAAD、また、アスリートへのアプローチにご協力いただいた在京大使館の皆様にも謝辞を述べ、また、「ご協力、ご支援、ご参画いただきました全ての方々に、この場を借りて、心からの感謝をお伝えします」とコメントしていました。
新宿のプライドハウス東京レガシーは、LGBTQセンターとして今後も様々な支援活動を行なっていきます(9月からは暮らしの相談、法律相談、キャリア相談なども実施するそうです)
一方、松岡宗嗣さんは、Yahoo!の記事で、政府与党が「多様性と調和」を掲げる東京2020大会を推進しながら、実際はLGBTQの権利を認める気などなかったことが明らかになったと指摘しています(LGBT新法を通さなかっただけでなく与党議員から差別発言が相次ぎ、謝罪や撤回も一切ないままですからね…)
緊急事態宣言下であるにもかかわらず多くの反対を押し切って開催されたこと(実際に感染爆発が起き、入院先が見つからないまま亡くなった方もいたこと)、LGBTQのことだけでなくそもそも人権に関する意識の低さが露呈してしまったことなど、日本社会の問題点がいろいろ浮き彫りになったことは確かでしょう。
よかったことがあるとすれば、海外から大勢の(史上最多の)OUTアスリートが来日したことや、そうしたアスリートがLGBTQとしてのPRIDEに裏打ちされた素晴らしいコメントを発したことが、ニュースとして世間に届けられたということでしょう(トランス女性選手への心ない言葉や、ルールに基づく出場であるにもかかわらず批判する報道もあったという点は本当に残念でしたが…)。世界はすでにこうなっている、ということが事実として伝わったと思いますし、人々の意識を変えることにつながったはずです。日本選手団には残念ながらカミングアウトできる方がいらっしゃいませんでしたが、きっと今後、日本のスポーツ界ももっとLGBTQインクルーシブに変わっていき、選手がカミングアウトしやすくなる環境が整っていくのではないでしょうか(杉山文野さんもJOC理事に就任したので、その活躍に期待します)
また、東ちづるさんが手がけた公式プログラムの映像作品「MAZEKOZEアイランドツアー」に大勢のLGBTQが出演したことや、パラリンピック開会式にはるな愛さんはじめ複数のLGBTQパフォーマーが出演して盛り上げたことも、よかったですよね。
今後もきっと、オリパラがLGBTQにとってどうだったのか?をめぐって様々な意見が出されると思います。もう何年か経った後、日本のLGBTQの歴史における東京2020大会の位置づけが定まってくるのではないでしょうか。
ともあれ、数年にわたって東京2020大会におけるLGBTQのインクルージョンの向上のために尽力してきたプライドハウス東京のみなさんをはじめ、キャストやスタッフ、ボランティアなどで協力してこられたすべての方々に、おつかれさまでした、と申し上げたいと思います。
参考記事:
Team LGBTQ ends Tokyo Paralympics in 15th place in medal count(Outsports)
https://www.outsports.com/paralympics/2021/8/25/22641472/medal-count-paralympics-tokyo-team-lgbtq-ranking
東京からパリへ 広げたい3つの可能性 東京パラリンピック(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/sports/story/22422/index.html
This out Paralympian won gold, and made history in the process(Outsports)
https://www.outsports.com/2021/8/30/22648985/lauren-rowles-laurence-whiteley-paralympics-gold
Robyn Lambird becomes first ever out non-binary Paralympics medalist(Outsports)
https://www.outsports.com/paralympics/2021/8/29/22646935/robyn-lambird-2020-summer-paralympics-nonbinary-bronze-medal-lgbtq-australia-wheelchair-racing