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オープンリー・ゲイの閣僚であるピート・ブティジェッジ運輸長官と夫・チャスティンが2児の親になりました
米国初のオープンリー・ゲイの閣僚であるピート・ブティジェッジ運輸長官は4日、夫のチャスティンさんと共に、娘と息子を迎えたことを発表しました。
TwitterとInstagramに投稿された写真には、病院の一室とみられる場所で二人が乳児を一人ずつ抱き、笑みを交わす姿が写っています。
投稿には「チャスティンも私も、親になると公表してからたくさんの温かい言葉をいたきき、感謝の気持ちでいっぱいです。ペネロペ・ローズとジョセフ・オーガストを家族に迎えることができて、うれしく思います」というコメントが記されています。
二人は先月、「私たちは親になった喜びを共有できて、とても幸せだ」とツイートしていました。
「プロセスはまだ終わっていない」
「私たちは人々の愛やサポート、そしてプライバシーの尊重に感謝している」
どのように子どもを授かったかの詳細は明らかにしていませんでしが、チャスティンさんは7月、『ワシントン・ポスト』紙に対して養子縁組を試みていると語っていました。二人は1年前から養子縁組を目指していて、産みの親の選択に基づいて出生前の子を養子に迎える候補者のリストに登録する手続きを行なっていたそうです。
このツイートに、ジル・バイデン大統領夫人は「お二人ともおめでとう。子育てにようこそ」とコメント、ハーランド内務長官も「親になったことは私の人生最大の喜びのひとつ」と書き込み、祝福の言葉を贈っていました。
ブティジェッジ氏が4日に投稿した家族写真には、わずか数時間で数十万件の「いいね」がつきました。子を持つユーザーの中には、ジョークを交えた祝福のメッセージや、わが子の写真で返信する人も多く見られました。
Chasten and I are beyond thankful for all the kind wishes since first sharing the news that we’re becoming parents. We are delighted to welcome Penelope Rose and Joseph August Buttigieg to our family. pic.twitter.com/kS89gb11Ax
— Pete Buttigieg (@PeteButtigieg) September 4, 2021
インディアナ州のサウスベンドという小さな町に生まれ育ち、ハーバード大学で歴史の学位を取得し、ローズ奨学生として英オックスフォード大学に留学、29歳の若さで市長に当選したピート・ブティジェッジは、「神童」の異名をとります。米海軍予備役で、市長の役職を休職してアフガニスタンに従軍した経験も持ちます。中規模都市のサウスベンドを復興したことで、ミレニアル世代の支持を厚くしました。そんなブティジェッジは2015年、「地方でセクシュアリティゆえに苦悩している学生にとって、オープンリー・ゲイの市長は、ちゃんと自分が生きていく場所が用意されているというメッセージになる」と語り、『サウスベンド・トリビューン』紙でカムアウトしました。2018年には教師のチャスティンさんと同性婚しました。
そして2019年1月、米大統領選に民主党から出馬すると表明し、史上初のオープンリー・ゲイのアメリカ大統領になるかもしれない人物と目されるようになりました。そして昨年2月の大統領選民主党指名候補者選びの初戦であるアイオワ州で勝利し、躍進を見せました。9歳のゲイの男の子が「あなたのように勇敢になりたい」とアドバイスを求め、人々の胸を打つ場面もありました。ついにアメリカにゲイの大統領が誕生するかもしれないとの希望を感じさるような、新しい世代の多様性志向を象徴するような候補でした。その後、選挙戦から撤退し、バイデン氏支持に回っていましたが、初戦で勝ったこともあり、いわゆる「泡沫候補」ではない、重要な候補者の一人として記憶されることになりました。
大統領戦に勝利したバイデン氏は、そんなブティジェッジを運輸長官に起用することを発表し、今年2月に上院で承認され、LGBTQとして初の閣僚が誕生しました。バイデン政権における「歴史的な初の人物」の一人であり、多様性を象徴する人物です。
2018年に結婚していたピート&チャスティンが、大統領選から撤退して時間に余裕ができたとき、子どもを家族に迎えようと思ったのは、自然な成り行きかもしれません。ブティジェッジ氏は、オープンリー・ゲイの市長として悩める地方の当事者を勇気づけ、ゲイだって大統領になれるチャンスがあるということを身を以て示し、今度は、新しい家族を迎えた(Chosen Family)幸せいっぱいなゲイカップルの姿を示すことで(しかも現職の閣僚として)、多くのLGBTQに希望を与えたのです。ピート・ブティジェッジは、「ゲイだって金メダリストになれる」と語ったトム・デイリーのように、恐れずチャレンジし、少しずつ可能性を切り開き、幸せな笑顔を見せることで希望を与えてきました。いつかきっと、史上初のゲイの大統領になる日が来ると思います。
参考記事:
同性愛公表の米長官、2児の親に(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021090500282
同性愛公表のブティジェッジ米運輸長官、男児と女児の親に(AFP)
https://www.afpbb.com/articles/-/3364861
同性愛公言で注目の米運輸長官が「子育て開始宣言」で話題に(Forbes JAPAN)
https://forbesjapan.com/articles/detail/42897
ブティジェッジ米運輸長官と同性パートナーが養子迎える(CNN)
https://www.cnn.co.jp/usa/35175389.html