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台北の裁判所が、性別適合手術なしで性別変更を認める判決を下しました

 性別違和の診断書は提出したものの性別適合手術を受けていないトランス女性がID上の性別の変更を認めるよう求めていた裁判で、台北高等行政裁判所は24日、彼女の訴えを支持し、性別変更を認めるよう戸政事務所(戸籍を扱う国の役所)に命じる判決を下しました。


 フォーカス台湾によると、「小E」と自称するトランス女性が2019年10月、桃園の大渓区戸政事務所にIDに記載される性別の変更を申請したのを拒否したことから、裁判を起こしました。
 戸政事務所の対応は、内務省が2008年に出した「ID上の性別の変更は性別違和の診断と性別適合手術を証明する書類を提出しなければ認められない」とする決定に基づいています。
 小Eさんは、2ヵ所の精神科から性自認が女性であるとの診断書を得て提出していましたが、性別適合手術の証明書は提出しませんでした。
 彼女は大渓区戸政事務所を管轄する桃園市政府に訴えましたが、認められず、昨年、裁判所に訴えることを決意しました。
 
 今回の判決は、台北高等行政裁判所は、社会秩序や公共の福祉を害さないかぎり、あらゆる自由と権利が保障されると謳う憲法を参照しています。同裁判所はまた、法の下で人々の権利に関するいかなる制限も提供されえないとする過去の憲法解釈を参照しています。
 それゆえ、ID上の性別の記載を変えることに関する事柄は基本的な人権にかかわるため、憲法を遵守することが求められると説諭するものです。
 さらに、小Eさんが精神科の診断書や、彼女が長い間女性であると自認してきたエビデンスを提出したので、裁判所は彼女の権利を擁護する義務があるとも付け加えました。
 一方で裁判所は、内務省が出した通達は他の地域ではまだ生きているのだから、台湾の立法院(国会)でこの権利が守られることを保障するような新しい法を整備することを推奨しました。

 台湾では2012年に総統府の人権諮問委員会で、トランスジェンダーがID上の性別変更を申請する際の要件から性別適合手術を外すよう求める意見が出され(詳細はこちら)、2014年には内務省が(2008年の通達をひっくり返し)性別適合手術はもう要らなくなるだろうと発表しましたが(詳細はこちら)、まだ実現していなかったようです。
 
 台湾における同性婚の実現の立役者であるLGBTQ団体「台湾伴侶権益推動連盟」は24日、今回の判決が画期的であるということ、そして桃園市が控訴せずに判決に従うよう求めるコメントを出しました。

 
 国際社会では、欧米の多くの国で性別適合手術を受けなくても法的性別変更が認められるようになっているだけでなく、医師の診断書も不要とする国も10ヵ国に上っています(詳細はこちら)。アジアでは(同性婚と同様)この分野でも法整備が遅れていますが、台湾が(同性婚と同様)アジア初となりそうです。
 
  
参考記事:
Taiwan court rules to allow trans woman's ID card gender change request(Focus Taiwan)
https://focustaiwan.tw/society/202109240019

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