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車いすバスケットボール女子英国代表のロビン・ラヴ選手「LGBTの障害者がメインストリームに受け容れられたのは素晴らしいこと」
東京パラリンピックに出場している、車いすバスケットボール女子英国代表のロビン・ラヴ選手をフィーチャーしたBBCの「To be LGBT, disabled and be accepted was awesome」という記事の日本語訳が出ていました。ロビン・ラヴ選手は昨年、同じチームのローリー・ウィリアムズ選手と婚約したと発表し、たくさんの祝福のメッセージを受け取ったそうです。彼女は「LGBTの障害者がメインストリームに受け容れられたのは素晴らしいこと」と語っています。
ロビン・ラヴ選手は、2012年ロンドン・パラリンピックまでは、車いすバスケットボールをはじめ障害者スポーツというものがどんなものか、まったく知らなかったといいます。
彼女は下肢に関節拘縮症の影響がありますが、スコットランドで過ごした子ども時代は、いつも健常者と競っていたそうです。
「若い頃は『障害者じゃない』と言っていました。でも私が本当に言いたかったのは、『あなたは障害者をわかっていない。私は何もできないわけじゃない。事実、私はあなたより優れている』ということでした」
しかし今は、より多くの子どもたちがもっと早くパラスポーツのことを知るべきだと強く感じています。彼女は当初、車いすバスケットボールは常に車いすを使っている人たちだけの競技だと思っていたそうです。
「生まれてからずっとスポーツをやってきて、とても得意でした。学校の体育は上級クラスで、大好きでした。体育教師になりたいと思っていたのに、パラスポーツのことは22歳でテレビで見るまで知りませんでした。そうしたことが、どれほど多くの人に起きているでしょうか」
パラリンピックで活躍するようになるまでの間、彼女はLGBTQのロールモデルと思える人物をほとんど目にすることがなく、まして自分と同じだと感じる人は皆無だったといいます。
ラヴ選手は、東京パラリンピックに出場している過去最多のLGBTQ選手たちの1人です。この増加は、いくつかの競技で態度が変化していることを示しています。LGBTQアスリートにとって、問題なく自分自身でいられるかどうかは置かれた環境によって左右されると、ラヴ選手は考えています。
ラヴ選手とパートナーのローリー・ウィリアムズ選手は昨年、ソーシャルメディアで婚約を発表しました。ポジティブなメッセージがたくさん寄せられました。
「幸いないことに、ここ数年、スポーツ界でカムアウトする人が増えています。(英ホッケー選手の)ヘレンとケイト・リチャードソン=ウォルシュもそうです。私たちはあの二人から、自分自身であることについて多くを学びました。ミーガン・ラピノーとスー・バードからもです」
「でも多くの人にとって、簡単なことではありません。いつの日か、誰にとっても簡単なことになるよう願っています。私は、それが何であろうとありのままでいることが100%大丈夫なチームと、プログラムに参加しています。そのことをとてもありがたく思っています」
「私たちの婚約が話題になったことは、感激でした。私たちは5年間一緒にいましたが、情報をあまり表に出していませんでした」
「情報を共有するのは楽しいと、私たちは気づいたんだと思います。サッカーチームには、敵チームや別競技の選手が対象である場合も含め、恋愛関係にある女性選手たちがたくさんいます。(でも)クィアの障害者の選手で、そのことをOUTし、PRIDEを持っている選手は、そう多くはいません」
「LGBTの障害者であることがメインストリームに受け容れられたことは、私たちのコミュニティにとって素晴らしいことだったと思います。本当にスゴいことでした」
ラヴ選手とウィリアムズ選手は一緒に暮らしています。そして昨年、パラリンピック延期を知らせるメールを受け取ってすぐ、ラブラドールの子犬を迎え入れました。「運よくウィスキーを見つけました。彼女は私たちの人生を明るくしています。非常に困難になりえた、そして実際にそうなった1年に、たくさんの喜びをもたらしました」
東京パラリンピックで彼女たち英国女子チームは、リオ大会の4位を上回る成績を残すと決意を固めていました。今回は、ついにメダルに手が届くかと期待されていましたが、予選リーグでカナダ、日本、ドイツに3連敗し、オーストラリアには勝って、何とか本選に進み、8月31日の準々決勝は中国に敗退。9月2日の7~8位決定戦でスペインと対戦することになりました。
予選リーグが始まる前、ラヴ選手は「これまでの実績からすれば、パラリンピックでメダルを取るなんて夢にも思いませんでした。ぜひメダルを手に入れたい」と語っていました。「ミーガン・ラピノーだったと思いますが、オリンピックで銅メダルを勝ち取った時に『銅ではない、ローズゴールドだ』と言いました。正直言って、私はどんなメダルでも誇りに感じます」
先日は、オープンリー・ゲイのリー・ピアソン選手が金メダルを獲得したというニュースをお伝えしましたが、その後も毎日新聞に「東京パラリンピック 馬術 「多様性の尊重を」 英のレジェンド、20歳でゲイ公表」という記事が掲載されるなど、LGBTQのパラリンピアンをフィーチャーする日本語記事がこうしてコンスタントに上がっています。
5年前のリオ五輪や、3年前の平昌五輪の時は、こうした記事は数えるくらいしかありませんでしたが、東京2020大会ではLGBTQアスリート関連の記事が本当に目立っています。このドラスティックな変化は、東京で開催されているから自ずとメディアの注目度も高まるということだけでなく、やはりLGBTQに対する世間のまなざしの変化を物語っています(一部のトランスジェンダー選手に対するネガティブな記事以外は、概ね好意的です)
こうした変化がもたらされたことには、プライドハウス東京の活動や、滝沢ななえさんや下山田志帆さんをはじめカムアウトするアスリートが続々と現れたことが大きく影響していると思います。そしてもっと広く、全国でプライドイベントを開催してきた方や、たくさんの団体や活動家の方々、日々SNSなどで声を上げている当事者の方々、アライの方々の活動のおかげでもあると思います。世間がこのように変わってきたこと自体が、私たちのコミュニティの勝利(ある意味、金メダル)と言えるのではないでしょうか。
参考記事:
【東京パラ】 LGBTQ選手の大会にかける思い 車いすバスケ英女子(BBC)
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-58398686