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モデル/俳優の中山咲月さんがトランスジェンダーでありアセクシュアルであることをカミングアウト

 モデル/俳優の中山咲月さんが16日、トランスジェンダーであり無性愛者(アセクシュアル)であることをカムアウトしました。9月に初のフォトエッセイ『無性愛』を発売するそうです。

 
「皆さんに、改めて報告したいことがあります。自分、中山咲月は、トランスジェンダーです。今まで女性役を演じたこともありますが、女性として認識されることは辛く、性別という枠を越えて俳優業をやらせていただきたいと心に決めました」 
「トランスジェンダーというと、『じゃあ女性が好きなの?』と聞かれることがありますが、自分はこれにプラスして無性愛者(asexual)の特性も持っています」
「自分ですら扱いにくい性別ですが、無性愛者のセカイを、人に伝え、知ってもらいたい。そんなふうに思い、このフォトエッセイを出版させていただく運びになりました。性別の枠を超え、人間・中山咲月としてご覧いただけたら、こんな幸せなことはありません」

 フォトエッセイ『無性愛』の表紙には、「中性的じゃ足りない。 もう男でいさせてください。」とのコピー。そして、公式サイトには、中山さんの「この本の出版が決まったとき、こんなに自由に表現させてもらえるなら、自分のことをすべて包み隠さず話してしまおう、と決めました。この本を通して、中山咲月のこと、自分が男性として認識して欲しいと思っていること、そして無性愛のことを少しでも知ってもらえたら嬉しいです」というコメントが掲載されています。

 
 中山咲月さんは2011年のファッション誌『ピチレモン』オーディションでグランプリを受賞し、専属モデルとして活動をスタートし、2012年、Eテレの教養バラエティ番組『すイエんサー』に出演、2018年10月クールの『中学聖日記』(TBS)で連続ドラマに初出演・俳優デビュー、この頃からメンズライクなファッションで「ジェンダーレス女子」として注目を集め、初出演の映画『ヌヌ子の聖★戦 ~HARAJUKU STORY~』では男性の役を務めました。2020年には『仮面ライダー ゼロワン』に亡(なき)というノンバイナリーなキャラクターで出演しました。

 2018年のORICONの記事「“ジェンダーレス女子”中山咲月、悩んだ10代「過去を黒歴史にしたくない」」では、「私からすれば“好きなファッションをしている”だけで、皆好きなファッションをしているじゃないですか。私もその1人なんです。当時、“ジェンダーレス女子”という言葉がなかったから、ということもありますが、それによって私も自分がなんのジャンルなのか、どういうポジションにいるのか、悩んでいた時期もあります。きっと、中学時代の私のように、自分のジャンルやポジションに悩んでいる人はたくさんいると思います。自身の性別で悩んでいる方もいらっしゃるかもしれない。私はそういう方に“大丈夫だよ”って、私の“存在”で示したい。そういう方々の背中を押せる人間になれたら嬉しく思います」と語っています。
 
 2019年には自身のblogで、アセクシュアルであることや、性表現が男性に寄っていることをカムアウトしています。
「自分の性がやっとはっきりしてきて
 核心に近づいたと思いました
 戸籍上性別は女性
 容姿や服装は男性的なものを好む
 恋愛は無性愛」

 また、今年2月にはTwitterで「トランスジェンダーです」と発言しましたが、すぐに削除し、その後、blogで、トランスジェンダーだと言うのが「怖い」と、「できれば言いたくない」という本音を語っていました。
 
 性自認だけでなく性的指向についてもマイノリティであるということで、性に関して人一倍複雑な悩みを抱え、葛藤していたことが、これまでの発言からもうかがえます。また、トランスジェンダーであるとのアイデンティティを持つに至ったものの、モデル/俳優という職業の関係もあり、世間の(一部の)人からバッシングを受けたりする恐れから公表がためらわれたという本音も語られていました。そんな中山さんは今回、フォトエッセイの発売に際し、そうした不安も吹っ切って、正々堂々とカムアウトすることを決意したのです。その勇気に、PRIDEに拍手を贈ります。

 
無性愛
中山咲月/ワニブックス/2,800円+税

 

 

参考記事:
『仮面ライダー ゼロワン』亡役・中山咲月、トランスジェンダー&無性愛者を告白 フォトエッセイ発売(クランクイン!)
https://www.crank-in.net/news/92877/1

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