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ハンガリーのブダペストで開催されたプライドパレードに過去最大の3万人が参加し、反LGBTQ法に抗議しました
ハンガリーの首都ブダペストで24日、プライドパレードが開催され、過去最高の約3万人が参加し、反LGBTQ法に抗議しました。
ブダペストのプライドパレードが本格的に始まったのは2007年からで(2003年〜2006年はごく少数で歩き、アンチゲイのグループに妨害されてきたそうです)、参加者はこれまで最大でも2万人前後でした。それが今回、一気に3万人に膨れ上がったのは、オルバン政権が制定し、EUからも非難されている(法的手続きが始まっている)反LGBTQ法への抗議の気持ちの表れと見られます。
主催団体は声明で、「今年のパレードはLGBTQの運動を祝うと同時に、性的マイノリティに対する差別的な法律と政府に抗議するために開催します」と述べました。
ドイツの政治家で欧州議会議員を務めるテリー・ライントケ氏が、行進開始前のスピーチで「欧州の目はブダペストに向けられています」と述べました。
3万人の参加者たちはドナウ川にかかる自由橋を渡り、市街地を行進しました。
パレードの参加者はCNNのインタビューに対し、「単なる行進ではない。ハンガリーが欧州の仲間として平等を示せるかという問題だ」「LGBTQだけでなくマイノリティ全体が攻撃を受けていることに抗議する」と語っています。
また、別の参加者はAP通信に対し、「今年の行進はこれまでとは異なります」「政府は差別を推進し、性的マイノリティを片隅に追いやりました。私は事態がさらに悪化した場合、ハンガリーを離れるつもりです」と語っています。
オルバン首相は21日、性的指向関連の教育の是非を問う国民投票を実施すると発表しました。「学校教育の中で性的指向に関するトピック(授業など)を取り入れる必要があるかどうか」「学校教育の中で性別適合手術に関するトピックを取り入れる必要があるかどうか」という2つの質問になるそうですが、これに対しても「誘導的な設問だ」との批判の声が上がっているそうです。
パレードの主催団体は、「国民投票はLGBTQに対する憎しみと差別を扇動する政府のパフォーマンスであり、実施すること自体が間違いだ」と非難しました。「多くの参加者が国を離れるかもしれないと言っています。一部は来年の議会選挙前にハンガリーを離れる予定です。国民投票の結果によっては、さらに多くの人が国を離れることになるでしょう」
現地メディアによると、野党の関係者も集会に参加したそうで、その中には、来年の総選挙でオルバン首相に挑戦するブダペストのカラチョニ・ゲルゲイ市長も含まれていたそうです。
カーネギー国際平和財団上級研究員のダニエル・ベアー氏によると、オルバン政権は「今や崖っぷちに追いやられている」「末期段階」であるといい、オルバンは「腐敗したいじめっ子」として政界を去ることになりそうだ、と見られています。カラチョニ・ゲルゲイ市長は若く、楽天的で、EU加盟国としてハンガリーに活気ある未来が約束されるよう情熱を注いでいて、気候変動、教育、スキルアップや不平等といった自分と同世代の問題に精通しており、「オルバンとは驚くほど対照的」だそうです。
参考記事:
“反LGBT”法施行のハンガリーで3万人が抗議の行進(KSB瀬戸内海放送)
https://news.ksb.co.jp/ann/article/14402950
3万人規模のプライドマーチ、LGBT新法に抗議 ハンガリー首都(CNN)
https://www.cnn.co.jp/world/35174299.html
ハンガリー 政府の差別的な法律に反対するゲイプライドパレードが開催された(九州/鹿児島情報サイト)
https://kagonma-info.com/c0019/hungary-gay-pride-parade-lgbt/
少数派「いじめ」の強化で、権力にしがみつくハンガリーの「独裁者」(ニューズウィーク日本版)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/07/post-96755_2.php