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『ジャングル・クルーズ』でディズニー映画初のゲイのカミングアウトのシーンが登場、演じたジャック・ホワイトホールは「誇りに思う」
7月29日から劇場公開が始まったディズニーの最新作『ジャングル・クルーズ』で、主人公である植物博士リリー・ホートンの弟、マクレガー・ホートンがゲイであることをカムアウトするシーンがあり、それを演じたジャック・ホワイトホールが「誇りに思っている」と語りました。
『ジャングル・クルーズ』はディズニーランドの人気アトラクション(みなさん乗ったことがあるのでは?)を実写映画化した作品で、ディズニー・ファンを中心に、世界的に注目を集めそうな映画です。アマゾンのジャングルの奥深くに「“奇跡の花”を手にした者は永遠の命を手にする」という不老不死の伝説があり、植物博士リリー・ホートン(エミリー・ブラント)が、現地を知り尽くしたクルーズツアーの船長フランク・ウルフ(ドウェイン・ジョンソン)を旅の相棒に選び、アマゾン探検に出かけるというストーリー。
姉を助けるためにジャングルへの冒険に付き添うマクレガーは、フランク・ウルフ(ドウェイン・ジョンソン)に「これまで3人の女性と婚約したものの、自分の関心事は他のところにあったことから解消した」と語る、フランクは「他のところ」に乾杯」といってグラスを上げる、というシーンで、マクレガーのカミングアウトが描かれているそうです。
2017年の『美女と野獣』でもル・フウがゲイであるという設定でした(劇中ではほのめかし程度でした)が、登場人物が自らセクシュアリティについて語ったのは(ピクサー作品を除けば)ディズニー映画として初ではないでしょうか。
ジャック・ホワイトホールは日本ではあまり知られていないと思いますが、英国の俳優/コメディアン/プレゼンター/ライターで、英米のドラマや映画に多数出演しています。今回のマクレガーのカミングアウトのシーンについて『バラエティ』誌に、こう語っています。
「本当に良く書かれたシーンだと思うよ。僕たちはその場面について考えたし、話もした。観客が楽しめるシーンであることを願う。あの時、僕たちがした仕事がとても誇りに思えたよ」
ジャックはオーディションの際、マクレガー役がゲイという設定だったことは知らなかったそうですが、カミングアウトについて「誇りに思う」と言えるほど真剣に取り組んだということです。
実は『ジャングルクルーズ』にゲイのキャラクターが登場することは3年前から話題になっていました。
関係者は「ゲイが社会に受け入れられていない19世紀を舞台とする本作の脚本は、大きなターニングポイントになる」と語っていたそうですが、一方で、このゲイの人物が「男らしくなく、ナヨナヨとした愉快なキャラクター」として設定されていたこと、演じるのがストレートの俳優・コメディアンのジャック・ホワイトホールだったということで、批判的な声が上がっていました。
オープンリー・ゲイの司会者/コメディアンであるジェームズ・バールは、「LGBTQ+の人々にとって非常に大きな出来事にとても興奮しています。ジャック・ホワイトホールは最高。でも友人であるゲイの俳優たちが“ゲイっぽい”という理由でストレートの役を演じられないなかで、ゲイの役にゲイじゃない俳優がキャスティングされるのは腹立たしい」とコメントしていました(ジェームズ・バールは『君の名前で僕を呼んで』のティモシー・シャラメや『イミテーション・ゲーム』のベネディクト・カンバーバッチの例を挙げながら、「素晴らしいストレートの俳優がゲイを演じることが問題だという訳ではない」とも述べているそうです)
同じくオープンリー・ゲイの俳優/モデル/活動家のオマル・シャリフ・Jr.は、「本気か? 史上初めての、意義深いゲイの役柄を、ストレートの白人がステレオタイプを引きずったまま演じるって? 失敗しろ! この船は沈むべきだ」とコメントしていました。
おそらくこうした批判にも耳を傾け、ジャック・ホワイトホールや監督、スタッフらは慎重に議論を重ね、カミングアウトのシーンを撮ったのでしょうし、決して”ナヨナヨとした愉快なキャラクター”にはなっていないと思います。
スカーレット・ヨハンソンの件でクローズアップされたように(特にトランスジェンダーについて)LGBTQの役は当事者が演じるべき、という声がハリウッドでも大きくなり、『POSE』が見事にそれを証明して見せた、という流れになっているなか、今回の『ジャングル・クルーズ』のカミングアウトのシーンがたいへんなプレッシャーに晒されたことは確かでしょう。それでもゲイを登場させたいという制作サイドの思いは汲んでもよいのではないでしょうか。
参考記事:
『ジャングル・クルーズ』のジャック・ホワイトホール、カミングアウトのシーンは「誇り」。(VOGUE JAPAN)
https://www.vogue.co.jp/celebrity/article/jack-whitehall-proud-of-coming-out-scene-in-jungle-cruise
ディズニー実写映画『ジャングルクルーズ』にゲイのキャラクターが登場か ― 真相不明も、キャスティングと設定に早くも批判起こる(RIVER)
https://theriver.jp/jungle-cruise-gay-report/