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【東京五輪】MISIAさんが五輪開会式にレインボーカラーの衣装で登場し、LGBTQへエールを送りました
MISIAさんが、五輪開会式でもレインボーカラーのドレスで国歌を熱唱し、感動を呼びました。2019年末の紅白でドラァグクイーンを登場させ、レインボーフラッグを掲げたのに続き、また一つ、LGBTQコミュニティへの支援のメッセージとなる素晴らしいパフォーマンスを見せ、金字塔を打ち立てました。
20時18分、フリルをふんだんに使った純白の、裾の部分がレインボーカラーになっている美しいドレスで登場したMISIAさんは、パワフルに、圧倒的な歌唱力で、国歌を歌い上げました。衣装を手がけたのは世界的に評価されているオープンリー・ゲイのデザイナー、トモ・コイズミさんです。
MISIAさんが、このドレスにどのようなメッセージを込めていたかは明らかでしょう。全国のお茶の間のみならず世界中のLGBTQの人たちが、これはLGBTQへのエールだと受け止めたはずです。テレビの前で思わず歓声をあげた方、手を叩いて「素敵!」と叫んだ方…そんなリアクションが眼に浮かぶようです。
レディ・ガガは「スーパーボウル」でアメリカ国歌を(とてもゲイテイストな衣装で)歌いましたが、その時よりもMISIAさんのほうがまっすぐに、LGBTQコミュニティ支援を表現していたのではないでしょうか。
プライドハウス東京レガシーで開会式の中継を観ていた松中権さんは、NHKに対して「直前までいろんなことがあり複雑な気持ちで開会式を迎えたが、あの衣装を見て希望を感じました。まだまだ性的マイノリティへの差別が残る日本が、この大会でどう変わっていくのか岐路に立たされていると思います。大会を契機に理解が進み、考えが変わる人が増えてほしいです」と語っていました。
一方、JOC理事の杉山文野さんは「開会式が終了した今の気持ちを一言でいうと「複雑」です。何がどう複雑なのかまだうまく言語化できないので、整理して改めて書きたいと思います」とコメントしています。
複雑な気持ちを抱いていた方は非常に多いと思います。
開会式にかかわるアーティストの人たちが過去の虐待や差別事件を咎められて辞任に追い込まれたこと、25年以上日本の音楽界に貢献してきたラティール・シーさんが「なんでここにアフリカ人が?ってなる」という理由で一方的に開会式の出演をキャンセルされたことなど、直前に次々と人権問題が噴出しました。
LGBTQに関しても、こちらの記事にあるように、「LGBT法案の成立を阻止せよ」などと主張している公益財団法人「国家基本問題研究所」の評議員であり、杉田水脈氏の「生産性がない同性愛の人達に皆さんの税金を使って支援をする。どこにそういう大義名分があるんですか」との発言に「正論ですよ」と同調していたすぎやまこういち氏が起用されたことが波紋を呼んでいます。
五輪憲章には「性的指向による差別を禁じる」と明記され、今大会も「多様性と調和(Unity in Diversity)」をスローガンに掲げていましたが、LGBT新法も実現せず…開会式自体も「多様性に重点」を置いたコンセプトだと説明されていますが、この有様…「多様性が聞いて呆れる」と感じていた方は少なくなかったと思います。
(それでなくても東京都の感染者が1日2000人に届こうとするなか、感染防止策がボロボロであることが明らかになり、医療も逼迫…という「命に関わる問題」として、五輪自体の中止が叫ばれています)
このような状況のなかでも、MISIAさんは、個人の裁量の範囲で精一杯、LGBTQ支援のメッセージを込めてくれました。そのパフォーマンスは、一筋の希望の光のように、多くの人たちを勇気づけてくれたはずです。感謝の気持ちとともに、拍手を贈ります。
参考記事:
オリンピック開会式 MISIAさん 虹色衣装に当事者から喜びの声(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210724/k10013156431000.html
MISIAさん国歌独唱 五輪開会式、レインボーカラーの衣装に込めた思い(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/118827