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極右団体の襲撃でトビリシ・プライドが中止に追い込まれた翌日、ジョージアの国会議事堂前に7000人の市民が集結し、LGBTQへの連帯を表明しました
ジョージア(グルジア)の首都・トビリシでは、7月1日からプライド・フェスティバルが開催され(EU大使が事務所を表敬訪問するなどしています)、5日にはパレードが予定されていましたが、極右グループがプライドの事務所を襲撃し、パレード参加者や旅行者、ジャーナリストにまで暴行を加え(数十人が負傷)、中止に追い込みました。警察は乱闘を止めることをせず、誰も逮捕しませんでした。
この暴行事件のことはすぐさま世界に報道され、人権団体や20ヵ国の大使館が非難声明を発しましたが、イラクリ・ガリバシヴィリ首相は、LGBTQは「ジョージアの大部分では受け容れられない」と述べ、LGBTQコミュニティを責める始末…。
しかし翌日、7000人もの市民がジョージアの国会議事堂前に集まり、LGBTQへの連帯を示しました。
EUのフラッグとレインボーフラッグを振って、人々は腕を組み、極右集団の暴力を非難しました。警察は非常線を張って、彼らを守りました。彼らは元気づけられ、口笛を鳴らし、200人の極右集団が近くで行なっていたデモを遮断するようにレインボーカラーのスプレーで万華鏡のように彩りました。彼らは「ジョージアにヘイトの居場所はない」と訴えました。
プライドのディレクター、Giorgia Tabagari氏は「このアンセム、フラッグ、そしてこの国は、私たちのものだ! 私たちは何もあきらめない!」とツイートしました。
Truly historic moment for #Georgia's queer movement. Right in front of Parliament.
— Giorgi Tabagari (@Tabagari) July 6, 2021
This anthem, flag and country itself belong to us too! and we are not gonna give up on any of it!
#TbilisiPride21 is now over and can't express how happy I am now. We made it! pic.twitter.com/SLroxA1Q4A
教会の権威が強く、政治にも影響力を及ぼしているジョージアでは、LGBTQは長年タブーとされてきました。先月には、教会がプライドは「重大な罪」だと述べていました。
政府が冷ややかにLGBTQを保護する法制度を展開するのと合わせて、LGBTQは罵倒や暴力のターゲットとされてきました。
2019年に初開催されたトビリシ・プライドも、初回から妨害を受けています。
ジョージア国立舞踏団を舞台に、若き男性ダンサーたちの恋も描き、カンヌ国際映画祭でクィア・パルム賞も受賞した映画『ダンサー そして私たちは踊った』がジョージアでプレミア上映された際も、極右グループが上映に抗議して映画館に突入しようとするなど、空前の騒動となりました。
今回、在グルジアの20ヵ国の大使館が暴行事件が起こった直後に共同で発表した声明は、以下の通りです。
「私たちは、今日の市民活動家やコミュニティのメンバー、ジャーナリストへの暴力的な攻撃を非難する。政府の指導者や宗教関係者がこれを非難しなかったことにも。
平和的なパレードへの参加は、ジョージアの憲法に保障された人権だ。
暴力は許されない。問答無用だ。
暴力を扇動したり、脅迫したり、暴力に関与した者は、ジョージアの警察の安全保障の努力を妨害するものである。彼らは法に則り、告訴されるべきだ。
私たちは、ジョージアのリーダーたちと警察に、速やかに憲法上の権利と表現・集会の自由を執行すること、ジャーナリストの報道の自由を守ること、公に暴力を非難することを要求する」
この声明にはオーストリア、ブルガリア、エストニア、EU、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシア、アイルランド、イスラエル、イタリア、ラトヴィア、リトアニア、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、英国、国連、米国が賛同していますが、日本の名前はありません。これに対して、社民党が、以下のような談話を発表しています。
「社会民主党はこのLGBTQIA+当事者、支援者、並びにジャーナリストに対する差別・暴力に抗議すると共に、Tbilisi Prideへの連帯を表明する」
「日本政府には立憲主義と民主主義を重んじ、LGBTQIA+当事者が差別なく生きられる社会をめざす仲間として、在ジョージア日本大使館の名においてこの共同声明に賛同し、ジョージア政府に然るべき対応を執るよう呼びかけることを強く求める」
「トビリシでの出来事は日本社会にとって対岸の火事ではない。街頭でのヘイトスピーチやSNS、ネット掲示板への差別的投稿に代表されるように、様々なマイノリティに対する暴力は日本社会にも確かに存在している。先の通常国会での入管法改悪法案やLGBT新法をめぐる議論の内外で外国人やLGBTQIA+当事者への差別・誹謗中傷を含む言説がが吹き荒れたことは記憶に新しい。LGBTQIA+当事者をはじめ総ての人が差別に晒されることなく安全に生きられる社会を実現することをめざし、社会民主党はLGBT差別禁止法および同法と人権3法にとっての基本法に位置づく包括的差別禁止法の成立にむけて全力を尽くす」
参考記事:
Thousands protest in Georgia after terrifying, far-right violence cancelled Tbilisi Pride(Pink News)
https://www.pinknews.co.uk/2021/07/07/tbilisi-pride-georgia-protest/