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元日本一女子ボクサーの菊池真琴さんがレズビアンであることをカミングアウト
アマチュアボクシングの日本女子ウエルター級元チャンピオンで、東京五輪出場を目指していた菊池真琴さん(東京・山木ジム所属)が、レズビアンであることをカムアウトしました。
菊池さんは大分県出身。小学生のころ、好きになった女の子の話を母親にすると「異常なことだから、人に言ってはだめ」と釘をさされたといいます。剣道に夢中になり、隣県の強豪、熊本・阿蘇高に進み、試合などの交流で、他校に女性どうしで交際する選手がいるのを知ったそうですが、チームメートが非難するのを聞いて「自分は隠しておくしかない」と思ったそうです。親しい友人にカムアウトしたり、女性と交際することができたのは、東海大に進学してからでした。
大学卒業後、警察官、人力車の車夫、刑務官、映像編集、林業など仕事を転々としながら再挑戦を繰り返すなかで、5年前、剣道から転向し、ボクシングで東京五輪に出ようと思い立ちました。2018年には全日本女子選手権ウエルター級で優勝、しかし翌年の同選手権決勝で敗れ、五輪への道は絶たれました。次の目標をプロの世界一に定め、米ラスベガスでの試合を夢見ています。
現在は8月のプロデビュー戦に向けて都内のジムで練習中です。元女子バレー選手の滝沢ななえさん、サッカーの下山田志帆さん、ラグビー女子日本代表の村上愛梨さんと、女子アスリートのカミングアウトが続いているなか、一人でも多くの当事者がカムアウトし、力を合わせて悩んでいる当事者を助けたいと考えたそうです。
菊池さんによると、ボクシング女子の世界にも、性自認が男性である方やレズビアンの方がいらっしゃるそうです。菊池さんは東京五輪を目指すために選手選考で不利にならないよう、公にはしていませんでしたが、他の選手に知られ、無視された時期もあったといいます。プロ転向を機に、スポンサーとして支援を求める企業に本当の性的指向を伝えることにしましたが、露骨にホモフォビアを示されたり、配慮のない性的な質問をされたりすることがあるそうです。
「嫌なことを言われると、伝えなければよかったと後悔する。でもそういうときは、『性的少数者を支援していると発信することで、社会的な評価が上がり、人材獲得の面でもメリットがあります』と伝えることにしている」
最近、自分がレズビアンだと伝えた相手から、「実は私もそう」と言ってもらえたそうです。「すごく喜んでもらえて、今まで隠してきたことや、好きになった人のことを、あふれ出すように話してくれた。プロアスリートとしてみんなに見てもらえる私が、本当の自分のことを伝えることで、喜んでくれる人がいるかもしれないと思った」。その体験もカミングアウトを後押ししたといいます。
菊池さんは自身のTwitterで「私たちが当たり前に生きていける未来の為の一端を担えたら嬉しいです」とコメントしています。
本当に勇気のある、意義のあるカミングアウト、心からの拍手を贈りたいです。
参考記事:
元日本一女子ボクサー告白 五輪のため隠した本当の自分(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASP6J63Q1P62UTQP020.html