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ドラマ『ドラゴン桜』でのゲイのキャラクターの描き方に問題があったとして批判を浴びています
5月2日に放送されたドラマ『ドラゴン桜』(TBS系)第2話でゲイのキャラクターの描き方に問題があったとして批判を浴びています。
『ドラゴン桜』は、元暴走族で弁護士の桜木建二(阿部寛さん)が、偏差値36の高校の生徒を東京大学合格へ導くまでを描いたドラマです。2005年に放送された前作から16年が経過し、「今の時代の日曜劇場でやるべきエッセンス」を入れたドラマオリジナルの展開が予定されています。
今年4月から放送されている第2シリーズの第1話では、桜木を学園に呼びよせることに反対していた理事長・龍野久美子(江口のりこさん)に頭の上がらなかった校長・奥田義明(山崎銀之丞さん)が、突如賛成派となっていましたが、第2話でその真相が明かされます。不信に感じた龍野は、校長が急に意見を変えた理由を探り、「理事会で私を裏切った理由はこれ?」と、奥田がタンクトップ姿のマッチョな男性の二の腕に(女性のように)抱きつきながら通りを歩いている写真を見せます。続けて龍野は「あなた、ゲイ?」と問い、動揺する奥田に対し、「バカね。あなたどの時代を生きてるの? 今はLGBTは当たり前。多様性の時代よ」「私たち教育者はそれを子どもたちに教えていく立場でしょう。なのに恥ずかしがって、隠して、おまけに脅されてバカじゃない。堂々としてなさい。堂々と」と諭します。しかし、奥田は「桜木先生に突かれているのはそこではない」と打ち明け、龍野は「まさか、買ったの?」と問い詰めます。すると奥田は「お金に困っていると言うので、お小遣い程度を…」と釈明、それを聞いた龍野はテーブルの上にあったカップを払い飛ばし、「この大馬鹿もの! 二度とやめなさい。誤解されるようなことを」と声を荒げます。
奥田はナヨナヨとしたキャラクターで、ドラマ終盤では桜木に恋していることも明らかにされます。こうしたゲイの描き方に違和感を覚えた視聴者は少なくなく、SNS上では「ゲイの先生の描き方もオネエ描写であるうえ、買春を匂わせるとはあまりにも軽率」「多様性として入れとけばいっか~みたいな安易な脚本と演出はやめた方がいい」「雑な描き方するなら出さない方がいい気がする」「非常に迷惑な差別表現です。ステレオタイプを視聴者に植えつける表現は極めて不適切であり番組の打ち切りと謝罪を求めます」「TBS、どのツラ下げてSDGs WEEKとかやってんだか……」といった批判的な声が上がっています。
ちなみに、原作の漫画では、奥田が賛成に意見を変えたのは「初めて東大合格者を出した時の記念写真を見て心を動かされたから」でしたが、今回のドラマでは「校長がゲイで、男性を"買春"した写真で桜木に脅された」という改変がなされています。
SNSで、またwezzyなどの記事で指摘されているように、原作のストーリーを変えてまで、わざわざ校長を「オネエ」で「性に奔放な」「惚れやすい」ゲイとして描き出したことは、製作陣のゲイに対する無理解や偏見の表れであり、これを観たLGBTQやアライの視聴者がどう感じるかということに思いが至っていないと言えるのではないでしょうか。
たしかに「今はLGBTは当たり前。多様性の時代よ」「堂々としてなさい」といったセリフには(当事者の方のなかにも)グッときた、という方もいらっしゃいますが、SNSでは「多様性の時代なんだから!って、とってつけたようなセリフが余計に痛い」「カムアウトは当人の自由意志に委ねるべきであり、他者が“解放せよ!”と言うのはその人が当事者のことを何ら考えていないということです」「あまりにデリカシーなくてドン引きした」といった声も上がっています。現実の社会ではほとんどの当事者がカムアウトできておらず、それは世間にまだまだ差別的な言動があふれていて安心できないからであり、「保毛尾田保毛男」と同様、こうしたゲイを「ネタ」として消費するようなテレビ番組こそが、カムアウトしづらさに加担しているのだという意見もあります。
SDGsやジェンダー平等、LGBTQ支援が当然のこととして叫ばれる2021年の今、LGBTQを取り上げるのであれば、脚本や演出、プロデュースに携わる方(製作陣)は、信頼できる当事者の意見を聞くとか、LGBTQ研修を受けるなどして、当事者を傷つけないような配慮をすることが求められるのではないでしょうか。
参考記事:
「ドラゴン桜」でのゲイの描き方が物議 「ステレオタイプの再生産」「雑な描き方するなら出さない方がいい」(wezzy)
https://wezz-y.com/archives/90266
阿部寛『ドラゴン桜』LGBT描写へ批判! 時代遅れな脚本に「あまりにも軽率」(まいじつ)
https://myjitsu.jp/archives/278747