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台湾とマカオの同性カップルが同性婚訴訟で勝訴、婚姻届を受理するよう求める判決が下りました

 婚姻届の受理を拒まれていた台湾人とマカオ籍の男性カップルが台北市中正区の戸政事務所(戸籍業務を担当する役所)を相手取り、処分を取り消すよう求めていた訴訟で、台北高等行政法院(高裁)は6日、原告のマカオ籍男性は台湾に定住しているため中華民国の法律が適用されると認め、戸政事務所に婚姻届を受理するよう求める判決を下しました。台湾の裁判所が国際同性婚に関して婚姻届の受理を命じる判決を下したのは初めてのことです。
 

 訴訟を起こしたのは、台湾のドキュメンタリー映画『愛で家族に〜同性婚への道のり』でもフィーチャーされていた台湾人の信奇(シンチー)さんとマカオ籍の阿古(アグー)さん。二人は2019年10月、中正区戸政事務所に婚姻届を提出しましたが、戸政事務所はマカオで同性婚が認められていないことやアグーさんの独身証明書の有効期限が切れていたことを根拠に婚姻届を受理しませんでした。アグーさんは2017年に台湾へ移住し、シンチーさんと共に暮らし、二人でケーキ屋を営んでいました。『愛で家族に』では、もし事業が失敗するとアグーさんの就業ビザが切れてしまい、マカオに帰らなければいけなくなる…という不安を抱え、結婚に希望をつなぎながら暮らしている様子が描かれていました。
 
 台湾では2019年5月、同性婚を認める特別法が施行されましたが、台湾人が同性の外国人と結婚する場合は、相手の外国人が同性婚を認める国・地域の出身者でなければならないとの規定が設けられているため、アジア諸国の方が台湾人と同性婚することはできずにいました(今年1月、裁判所が国際結婚の制限を撤廃する法改正案をまとめたのですが、まだ閣議での承認を待っている段階で、国会に送られていないそうです)

 判決は中華民国の国際私法の反致条項を根拠に、台湾に居住するアグーさんには中華民国の国内法を適用すべきだと指摘、特別法が同性婚を認めているうえに裁判所の審理期間にアグーさんから有効期限内の独身証明書が提出されたとして、原告が19年10月に提出した婚姻届を受理するよう戸政事務所に命じました(ただし、戸政事務所は上訴できますので、まだ確定判決ではありません)

 アグーさんは判決後の記者会見で「今回の勝訴は二人の人生において非常に重要」と喜びを語り、「今回の判決によってより多くの国際同性カップルが結婚できるようになれば」と期待を寄せました。
 
 国際同性カップルの結婚をめぐっては、今年3月、台湾のLGBT解放運動の先駆者・祁家威(チー・ジアウェイ)氏がマレーシア籍の男性との結婚を受理するよう求めていた訴訟でも、国際同性カップルの結婚の権利を認める判決が出されていたといいます。

 なお、台日同性カップルである阿樹(アシュー)さんとAZさんは7日、婚姻の平等を推進する市民団体とともに台北市大安区戸政事務所を訪れ、婚姻届を提出しましたが、受理されなかったそうです。戸政事務所は、6日の判決の内容は理解しているものの、窓口担当者は決定を下せないと説明し、二人からの申請を特別案件とし、内務省に指示を仰ぐ方針を示しました。

 


参考記事:
台湾とマカオのカップル、同性婚訴訟で勝訴 台北高等行政裁判所判決(中央社フォーカス台湾)
https://japan.cna.com.tw/news/asoc/202105070009.aspx
台湾とマカオの男性、同性婚裁判で勝訴(TAIWAN TODAY)
https://jp.taiwantoday.tw/pics.php?unit=7187&post=35552&fbclid=IwAR2BPJsqGxRwP9V06DfSreZcvknTNDwQqLPQHuCbU7bPu5FvAWzhM9XqW60


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