NEWS
ビリー・ポーターが14年前にHIV陽性だと診断されていたことをカムアウトしました
ドラマ『POSE』でHIV陽性者の役を演じていたビリー・ポーターが、自身も2007年にHIV陽性だと診断されていたことをカムアウトしました。ビリーのお母さんは「このことを14年も黙っていたの? 二度とそんなことはしないで。私はあなたの母親よ。何があってもあなたを愛している」と言ってくれたそう…(感涙)。俳優仲間たちもサポートしてくれたそうです。
ビリー・ポーターは2013年にブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』のローラ役でトニー賞に輝き、2018年にドラマ『POSE』に主演、2019年のアカデミー賞授賞式では、見事なまでの素晴らしいタキシードドレス姿でレッドカーペットの主役となり(以降、あらゆるアワードのレッドカーペットで素敵な衣装を披露し、ファッション・アイコンともなり)、また、エミー賞でオープンリー・ゲイとして初めて主演男優賞を受賞し、歴史に名を刻みました。
ビリー・ポーターがHIV陽性であることを知るきっかけになったのは、お尻にできた吹き出物で、悪化して座れなくなったことから病院へ行ったところHIV検査を受けたいかどうかを尋ねられたんだそうです。その前から半年ごとに検査を受けていたビリーは、検査を快諾。結果は陽性でした。
「2007年6月、私はHIV陽性だと診断されました」と、ビリーは『ハリウッド・リポーター』5月19日号のインタビューで語りました。
「この病気を抱えてきて、私はいつも『なぜ私は生きているの?』と問いかけていました。そう、私はこの話をするために生きているのです。先人たちにならい、大人らしく口を開く時が来ました。私は(HIVについて)もっとよく知っておくべきだった世代の人間ですから」
「2007年は最低の年でした。2月に2型糖尿病と診断され、3月に自己破産の書類にサインし、6月にHIV陽性と診断されました。私の人生においてすでに蓄積されていた恥の意識にさらにそれらが加わったことで、私はカムアウトすることができず、その恥とともに14年にわたって生きてきたのです」
「知らせておかなくてはならない人たちにはずっと前に知らせていた、母をのぞいて。私はこれまで自分の人生とキャリアを築こうと頑張ってきた。もし間違った人にこのことを知られていたら、それができたかどうかわからない」
ビリー・ポーターは1980年代にゲイであることをカムアウトしています。とても信心深い家庭で育ったため、「私がクイアであることが理由で母はたくさんのつらい経験をしてきた」と語ります。
「信仰の仲間たちから様々な反響があったんだ。彼らから『だから言ったでしょ』って言われながら生きなくてはいけない状況に母を置きたくなかった」
こうした思いから、HIV陽性であることも、お母さんが亡くなるまでは公表しないと決意したそうです。
ビリーのお母さんは5年前に擁護施設に入りました。当初ビリーは、そう長くはないだろうと思っていたそうですが、今もご存命です。今年、彼はついに母にHIV陽性だったことカムアウトしました。お母さんは「このことを14年も黙っていたの? 二度とそんなことはしないで。私はあなたの母親よ。何があってもあなたを愛している」と言ってくれたそうです。
ビリーは「何年にもわたる心の傷は人を臆病にする。でも真実は人を自由にする」と語りました。
「心が解放されたような気持ちになった。これまでずっと心臓を強く握られているような気持ちだった。でもそれがすべてなくなった」
お母さんが受け入れてくれたことで、14年間の沈黙を破ることができたビリー・ポーターは、HIV陽性者としてのリアリティ、そしてPRIDEについて語りました。
「これがいまの時代のHIV陽性者の姿です」
「51歳の黒人男性の私は、3ヵ月ごとに病院に通っています。私のコミュニティでは珍しいですね。彼らは医者を信用していませんから。でも私は通います。自分の身体の中で何が起きているのかわかっていますし、人生で一番健康だと感じています」
「私はもう十分すぎるほど長く恥を感じながら生きてきました。HIV陽性であることは、これから私に付きまとうことでしょう。みんなが私について最初に言うことは『HIVの人』ということになるでしょう。だけど私はそれだけの人間ではありません。この診断以上の人間なんです。だからもし、私がHIV陽性だから一緒に仕事をしたくないという人がいるのならば、その人は単に私に相応しい人間ではないというだけです」
「もう、偏見はなくしましょう。そういう時期です」
ビリー・ポーターはその後、TVインタビューにも応じ、さらに赤裸々な思いを語りました。
「羞恥心は弱くなってきている…。一方で、羞恥心は私を包み込んだ。私は14年間、胃に問題を抱えていたけど、誰も原因や理由を突き止めることができなかった」
「毎日、毎朝、心臓が手で握られ、絞られているような感じだったよ…。恥というのは破壊者だ。すべてを破壊してしまうから」
また、ドラマ『POSE』でプレイ・テルを演じたことについて、「代理人(プレイ・テル)を通して言いたいことすべてを言える機会だった」と語っています。シーズン1第4話、恋人がエイズで入院してしまったプレイ・テルは、自分自身も検査を受け、その結果、HIV陽性であることを知り、「これは最も恐れていた瞬間。そして避けてきた。何年もね。何年も避けてきたが、ついにあの野郎が追いついた。ああ、子どもたちに会うまでに自分を落ち着かせなくちゃ」と語ります。このシーンについてビリーは、涙を流しながら「これは単なる演技ではなく、実生活と役柄の両方を表現したんだ」と語りました。
そして、マット・ボマー、ニア・ロング、ナオミ・キャンベル、レスリー・ジョーダン、ビッグ・フリーディア、MJ・ロドリゲスなど多くの共演者や俳優仲間たちからサポートを受けていることを感謝したそうです。
ある関係者は「この経験は、彼に無限の可能性をもたらしました。彼はもう恥じることはないのです。彼は、自分のセクシュアリティがマイナスのように感じていた時期があったと言っていましたが、その後、HIVと診断され、今ではその経験をオープンにしていて。彼は今、完全に『本物の自分』なのですよ」と語りました。
GLAADは、「ビリー・ポーターのようなアイコン的存在が、HIVは健康的な生活や成功の障害にはならないということを世界に示すことは、ひどい屈辱を味わってきたHIV陽性者たちの汚名返上につながります」と讃えています。
参考記事:
ドラマ「POSEポーズ」のビリー・ポーター、14年前にHIV陽性だと診断されたことを告白(ELLE)
https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/a36479642/billy-porter-hiv-positive-210520/
「キンキーブーツ」俳優、HIV陽性を公表(シネマトゥデイ/ BANG Media International)
https://www.cinematoday.jp/news/N0123550
HIV感染者であることを明かした「POSE/ポーズ」ビリー・ポーター、初のTVインタビューを受ける「毎日、毎朝、心臓が絞られているような感覚」[動画あり](TVGroove.com)
https://www.tvgroove.com/?p=68268
ビリー・ポーター「もう、偏見はなくしましょう」 14年前にHIV陽性の診断を受けたことを公表(CinemaCafe)
https://www.cinemacafe.net/article/2021/05/20/72902.html