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都内の同性パートナーシップ証明制度導入自治体が連携、都営住宅入居などを都に要請へ
東京新聞によると、同性パートナーシップ証明制度を導入する東京都内の12市区が5月19日、情報交換や利便性向上に取り組むネットワークを結成しました。都営住宅への入居や都立病院での家族としての扱いを求め、都に訴えたりもしていくそうです。
結成された「東京都パートナーシップ制度導入自治体ネットワーク」には、2015年に初めて制度を導入した渋谷、世田谷両区のほか、中野、江戸川、豊島、港、文京、足立の計8区、府中、小金井、国分寺、国立の4市の全12市区と、制度導入を検討中の数自治体が参加したそうです。
昨年10月、区議会での同性愛者への差別的発言が問題になった足立区が、制度導入に向けて渋谷区や世田谷区に問い合わせたことがきっかけで、この3区が他の市区に呼びかけて実現したんだそう。
渋谷区男女平等・ダイバーシティ推進担当課の永田龍太郎課長は「パートナーシップ制度は、新しい課題のため、国の主管官庁がなく、自治体担当者は孤立しがち。庁内に相談できる人がいなかったり、施策の進め方や当事者との連携の取り方に悩んだりしている人も多い」と語ります。
今後は、定期的な情報共有や交流のほか、民間企業に商品やサービス、社内福利厚生の面で同性パートナーシップ証明を活かしてもらうような対応を求めたり、都営住宅の入居を認めたり都立病院で家族として扱ってもらえるよう都に訴えたりするなど、制度の利便性の向上にも動くそうです。
4月に制度を始めた足立区の担当者は、「横のつながりをつくり、周知啓発を進められたら」と、永田さんは「性的少数者の日常生活での困り事がなくなるよう、制度に実効性を持たせるため束になって声をあげていきたい」と語りました。
複数の自治体が協定を結び、転居先でも再登録なしで制度を利用できるようにする取組みは、2019年、福岡市と熊本市が初めて行ない、以後、岡山市と広島市、神奈川県横須賀市・鎌倉市・逗子市・葉山町・三浦市の4市1町、兵庫県尼崎市・西宮市・芦屋市・伊丹市・宝塚市・川西市・三田市・猪名川町の7市1町などでも実施されてきました。
今回のお話は、そのような相互利用の協定ではなく(東京都の場合、渋谷区は条例で定めた公正証書の提出を必要とする制度で、港区は、区が提供する標準様式をもとに契約書を準備したのち、公証役場で契約書(公正証書)を作成してもらうか、契約書(私製)の私文書認証を受けて、これを戸籍関連書類・本人確認書類と一緒に提出するという独自の制度で、世田谷区などは要綱で定めた宣誓方式で、というふうに、制度の内容が自治体によってかなり異なるため、相互利用は難しいでしょう)、自治体間でネットワークをつくって情報交換を行なったり、制度をもっと都や民間に使ってもらえるよう働きかけを行なうという趣旨で、全く新しいパターンです。
特に都営住宅への入居や都立病院での家族としての扱いを都に要請していくというところは、非常に心強く感じます。東京都は人権尊重条例でLGBTへの差別の解消を謳っているにもかかわらず、都としての同性パートナーシップ証明制度の導入も認めず、都営住宅への入居も認めず、同性パートナーを持つ都職員の待遇の平等化も認めず、条例が有名無実化しています(頑なに同性パートナーシップの承認を拒んできたように見えます)。こうした自治体が連携して働きかけを行なっていくことで、都の態度も変わっていくのではないかと期待します。
そして、足立区での出来事がきっかけとなり、また一つ、素敵なことが実現しました。雨降って地固まるというか、虹が出た感がありますね。
参考記事:
足立区議の差別的発言が契機に…同性カップルらを公的に認める「パートナーシップ制度」導入12市区の連携実現(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/104754