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京都府亀岡市が、同性カップルにも家賃や引っ越し代を補助する制度の適用を検討しています
京都府亀岡市は今年度から、新婚世帯向けに家賃や引っ越し代、住宅購入などを補助する結婚新生活支援制度を導入しました。これは国や府の補助事業で、婚姻届が条件の一つになっていますが、市は多様なカップルを承認する「パートナーシップ宣誓制度」を設けていることから、同性カップルなどにも適用する方向で検討を進めているそうです。結婚新生活支援制度を同性カップルに適用することを認めるのは全国で初めてであると見られます。
国が主導し、2018年度に導入された「結婚新生活支援事業(結婚助成金)」は、少子化対策として新婚世帯の生活支援を行なう自治体に国が補助金を出す制度で、全国で300近い自治体が採用しています(採用している自治体の一覧はこちら)。亀岡市でも今年4月から制度を導入しました。対象となるのは、年度中に婚姻届を市に提出し、税滞納のない世帯で、支給される補助金は、夫婦双方が39歳以下で所得合計が400万円未満なら上限30万円、どちらかが39歳以下で所得合計が500万円未満なら上限18万円、住宅賃貸にかかわる共益費や仲介手数料などにも充てられるというものです。
亀岡市では2019年に市議会議員にトップ当選したトランス女性の赤坂マリア市議が、2020年の6月議会で性的マイノリティの課題について質問を行ない、「パートナーシップ宣誓制度」の導入が決定、今年3月からスタートしました。宣誓受領証(パートナーシップ証明書)を提示すれば市営住宅に家族として入居することなどが認められるものの、法的に結婚が認められるわけではなく、婚姻届は提出できません(提出しても不受理になります)ので、現状、結婚新生活支援制度の対象にはなりません。が、亀岡市では、同性カップルも婚姻と同等であると承認する同性パートナーシップ証明制度のスピリットに基づき、今回、結婚新生活支援制度も平等に適用しようという話になったものと思われます。市SDGs創生課は「支給できるよう、前向きに検討を進めていきたい」としています。
そもそも結婚制度に含まれる配偶者控除などのほかに、異性婚カップルには子育て支援事業、今回の結婚新生活支援事業など、様々な補助・助成が自治体によっても適用されてきましたが、同性カップルは(たとえ子育てしていても)そうした制度の埒外に置かれていました。今回の市の判断は、そうした不平等を解消する一歩としてたいへん意義のある、素晴らしいことと評価されます。同性カップルが結婚関連の補助金を受けられるようになるのも初めてではないかと思われます。
亀岡市ではもともと東京からの移住者に対する支援金の交付をはじめ、移住・定住政策に力を入れていますが、今回の結婚新生活支援制度平等化が実現すれば、それをきっかけに、市外、府外から亀岡市に引っ越そうと考える方たちも増えるのではないでしょうか。
実は、上記の一覧を見ると、結婚新生活支援事業を採用している自治体(どちらかというと過疎化が進んでいると思われる自治体です)のほとんどは、まだ同性パートナーシップ証明制度を導入していないのですが、もし亀岡市のケースがうまくいけば、今後、地域活性化のためにも同性パートナーシップ証明制度の導入とカップルの支援を積極的に進めようと考える自治体も増えていくかもしれません。
なお、新婚カップル支援の行政サービスを同性カップルにも平等に適用した初めてのケースは、昨年12月に「パートナーシップ宣誓制度」を導入した群馬県です。宣誓を行なったカップルが希望すれば、県内の協賛店舗で割引やプレゼントを受けられる「ぐんま結婚応援パスポート(通称:コンパス)」を交付してくれるというものです。「コンパス」は国の結婚新生活支援事業に先駆けて2016年に群馬県が地元の商店などと連携して導入したサービスでした。
参考記事:
新婚さんいらっしゃい 家賃や引っ越し代を市が補助 同性カップルも適用検討(京都新聞)
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/563864