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ラグビー女子日本代表の村上愛梨さんがレズビアンであることをカミングアウト
ラグビー(15人制)女子日本代表で国際試合出場の経歴を持つ村上愛梨さん(横河武蔵野アルテミ・スターズ所属)が、同性のパートナーがいること(レズビアンであること)をカミングアウトしました。
村上愛梨さんはプライドハウス東京の支援を受けて22日、朝日新聞社の取材に答えました。
「同性愛を隠し続けた時期もあるが、自分を受け入れてくれる人に出会えて、本当の私を出したい、知ってもらいたいと思うようになった。男子でも女子でも、今度は私が悩んでいるアスリートのスイッチになりたい」
村上さんは東京・共栄学園高でバスケットボールを始め、東日本地域リーグの秋田銀行で3年間プレーし、2015年にラグビーを始め、日本ラグビー協会の女子7人制種目転向者向けトライアウトに合格、2019年、女子15人制の豪州遠征で1試合に出場しました。
高校2年のとき、チームメートと交際していたことを部活の同級生に集団でとがめられ、彼女のお母さんも巻き込まれたといいます。
「1人で呼び出され、部員11人に囲まれた。『気持ち悪い』『一緒にいたくないから部をやめたい』と言われた。つきあっていたことは否定するしかなかった。いじめられないように、男の子とつきあうように努力した」
その経験から、本当の自分を隠すようになったそうです。気持ちが変わってきたのは20代後半のときです。秋田銀行を退社し、ラグビーに転向したことがきっかけでした。
「SNSで情報を得て、本当の自分のままでいいと思えてきた。ラグビーの所属チームの、うそをつかなくていい雰囲気にも支えてもらっている」
そうして、女性と交際を始め、現在所属しているチームや15人制女子日本代表のヘッドコーチにカムアウトすると、喜んで受け容れてもらえたそうです。
日本ラグビー協会は昨年、7人制と15人制の女子選手を対象にジェンダーなどの勉強会を開催しています。講師を務めた谷口真由美理事との質疑応答で村上さんは「(性的少数者の)当事者ですが、できることはありますか」と質問。「あなたがいてくれるだけでいい」という助言に勇気づけられたそうです。
谷口理事は「身近に性的少数者がいると自覚できたことはラグビー界にとって幸運なこと。性的少数者が安心してカミングアウトできる環境を作るため、学びの機会にしていきたい。カミングアウトされた時にどうしたらいいか迷う人が少なくないので、本人だけでなく所属チームも模範を作っていってほしい」と語っています。
プライドハウス東京の松中権代表は、アスリートのカミングアウトを支援するのがこれで3例目になります。
「特別なことではなくなってきたと思う。ジェンダー平等に取り組んでいる企業からの問い合わせもあり、関心の高さは感じている。カミングアウトは世界的に見ても、女子で競技をしている選手の事例が多い。男子でもカミングアウトしやすい環境を作っていきたい」と語ります。
22年開幕に向けて準備が進むラグビー男子の新リーグは、SDGsへの取組みが参入の条件になっています。ジェンダー平等への関心も高いそうです。
このニュースが報じられた今日、4月26日は、「Lesbian visibility day(レズビアン可視化の日)」に当たります。レズビアンや多様なセクシュアルマイノリティの女性たちが、セクシュアリティを肯定し、自尊心をもち、隠すことなく生きていける社会を実現することをミッションとするレインボーコミュニティ「coLLabo」は、「LGBTの中でも、Lはその「見えづらさ」が課題だといわれています。その一因は、ステレオタイプを押し付けられ、実際のありようが不透明になってしまうことではないでしょうか。そして、その「見えづらさ」と合わせて浮かび上がってくるのは、社会の中で女性として生きている人が抱える寄る辺なさです」として、L+(バイセクシュアル女性やトランス女性のレズビアンの方などもいらっしゃいます)のリアルなメッセージを発信しています。「世の中の誰もがそうであるように、私たちもいまを生きていることを伝えています」
参考記事:
ラグビー女子代表が同性愛を公言 助言に勇気づけられて(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASP4R6TSJP4QUTQP020.html