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石川大我参議院議員が小泉環境相から「同性婚には賛成だ」との答弁を引き出しました
石川大我参議院議員が24日の参院予算委員会で、同性婚の法整備について小泉進次郎環境相に質問し、「同性婚には賛成だ」との答弁を引き出しました。
「政府は「同性婚を認めるべきか否かは、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題で極めて慎重な検討を要する」との立場をとっており、閣僚が同性婚賛成を明言するのは異例」と報じられています。おそらく自民党政権の閣僚で明確に同性婚への賛成を表明したのは小泉環境相が初めてではないでしょうか。(※追記:2019年参院選朝日・東大谷口研究室共同調査の際、世耕弘成経産大臣が同性婚に賛成との回答を示していたそうです)
石川議員は、病院で同性パートナーの病状説明を受ける権利について田村厚労相に質問し、「同性異性を問わず、同居していたり、その人にとってかけがえのない人であれば病状を教えてもらうことができる」との確証も得ています。
ニコニコニュース「同性婚について国会質疑 麻生副総理、小泉環境相らが答弁」の投稿で、石川議員の質問と各大臣の答弁を全編収めた動画が紹介されています。
これによると、石川議員はまず、(札幌地裁の「同性婚を認めないのは違憲」判決に対し、一部の方から同性婚を実現するためには憲法の改正が必要だとの声が上がっているのを受けてのことだと思われますが)内閣法制局の木村部長と上川法務大臣に対して、「(すでに国会に提出されている)婚姻平等法案が成立すれば、同性婚できるようになるのでしょうか」と質問し、「政府としては国会が制定した法律については誠実に執行することは当然である」との確約を得ました。そして「法律が成立すれば同性婚制度ができるということです。ぜひ与党の皆さんにも婚姻の平等を求める当事者の切実な声に応えて、法案の審議入りをするようお願いします」と語りました。
続いて石川議員は田村厚労大臣に対し、病院での同性パートナーへの病状説明について質問しています。とても大事な話だと思われますので、質問と答弁を全文、ご紹介します。
石川議員
「東京同性婚訴訟の原告である佐藤郁夫さんが1月、亡くなりました。脳出血で倒れ、病院に搬送されましたが、15年以上連れ添ったパートナーの男性には病状説明、ありませんでした。親族だけだと。これはあまりにも残酷ではないでしょうか」
田村厚労大臣
「病院での病状の説明に関しては、個人情報保護法で、第三者に情報を提供することはできないが、本人の同意があれば、情報提供することができる、それは同性異性関係なく伝えることができます。本人の同意を得ることが困難な例外的な状況であれば、身近な方にお伝えすることができます」
石川議員
「その通り。病状の説明はできるわけですね。そういった意味では、全国の病院に、改めて、周知徹底の通達を出していただけないでしょうか」
田村厚労大臣
「医療の現場にはガイダンスで示しています。そういう意味では、より徹底されるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います」
石川議員
「ぜひ通達をお願いします。佐藤郁夫さん、(パートナーの方への)危篤の知らせも、妹さん経由だったそうです。厚労大臣、同性婚があれば、こうした悲しいことは起こらなかったんじゃないでしょうか」
田村厚労大臣
「同性婚があるなし、婚姻関係があるなしに関わらず、本当に事実的に一緒に同居されている、本人にとってかけがえのない人であるということであれば、伝えられてしかるべきであったというふうに思いますけども、今般のことがどういう事情だったのかつぶさにわかっておりませんので、個別具体的なことに関してはコメントを控えさせていただきます」
それから、小泉環境大臣に対しても、同性婚について尋ねました。こちらも質問と答弁を全文、ご紹介します。
石川議員
「大臣は育児休暇を取るなどとても先進的です。お子さんの性的指向はまだ分からないと思いますが、同性だった場合、どう思われるでしょうか」
小泉環境大臣
「仮にLGBTであったら、打ち明けやすい親でありたいと思いますし、そういった社会を実現するために政治家として全力を尽くしたいと、そういう思いです」
石川議員
「そういった意味で、大臣、やはり同性婚必要なんじゃないでしょうか」
小泉環境大臣
「先生が言われる法案については詳細把握しておりませんので、その賛否は今ここで明らかにすることはできませんが、一般論として言えば、同性婚、私は賛成の立場です」
石川議員
「ぜひ小泉大臣と一緒に同性婚を作りたいと思います」
このあと、麻生副総理・財務大臣に対して、同性婚の経済効果について質問しています。
石川議員
「同性婚を認めると経済上のメリットがたくさんあります。海外ではピンクマネーと呼ばれていまして、同性婚を認める、結婚式が増える、式場、ホテル、ケーキ、引き出物…様々ありますが、人口の8%がLGBT、この方たちが(結婚関連で)新しい消費をするというのは、とても魅力的ではないでしょうか」
麻生財務大臣
「ピンクマネーねえ、あまり聞いたことがないんで。私のイメージでは別のイメージしか出てこない(議場から笑い)。ご指摘の効果については、海外でいろいろ言われてるのは知ってますよ、それくらいのことは。議論をなされてることは承知してますけど、今の社会状況とか、どうでしょうね、経済状況、いろいろありますんで。日本において同性婚が認められたらどれくらいの経済効果が出てくるか。現段階では一概に言えるか…ちょっと難しいでしょうね。ちょっといま試算しているわけではありませんので、お答えのしようがありません」
石川議員
「民間ですでに試算が出ておりますので、今度お示しいたします」
最後に、西村経済財政・再生大臣にも「同性婚を認めること、いかがでしょうか」と質問しています。
西村経済財政・再生大臣
「私自身は、LGBTQの方も含め、多様な人材がそれぞれが能力や発想を生かせる社会、包摂的な社会、それぞれが幸せを実現する社会は大事だと思っています。ただ、憲法の規定がありますので、ここは慎重な議論が必要じゃないかと考えております」
石川議員
「月曜日に朝日新聞の世論調査で65%が同性婚を認めるべきと回答したと報じられています。地方紙を読みますと、その地域で活躍されているLGBTQのみなさんの声が掲載されています。こうした全国の皆さんの声に応える責任があるのではないでしょうか」
(ここで時間切れとなっています)
石川大我議員が今回、小泉環境大臣から「同性婚、私は賛成の立場です」との答弁を引き出したことは、本当に画期的です。自民党政権で閣僚が同性婚賛成の立場を表明するのはおそらく初めてのことです。やはり札幌地裁の「同性婚を認めないのは違憲」判決以降、内閣のスタンスに確かな変化が起こっている(頑なだった態度が軟化している)のではないでしょうか。
それだけでなく、佐藤郁夫さんの無念とパートナーのよしさんの悲しみのことを(「弔い合戦」として)田村厚労大臣に問い、「同性異性を問わず、同居していたり、その人にとってかけがえのない人(もちろん同性パートナーも含みますよね)であれば病状を伝えることができる」との確証を得たことも、胸が熱くなる思いです。
西村経済財政・再生大臣の「LGBTQの方も含め、多様な人材がそれぞれが能力や発想を生かせる社会、包摂的な社会、それぞれが幸せを実現する社会は大事」という言葉も素晴らしいですよね。ただ、同性婚については「憲法の規定があるので、慎重な議論が必要」との答弁だったのが残念でした…。
ちなみに、憲法学者の木村草太東京都立大教授は、札幌地裁の判決が出た後に憲法24条(婚姻は両性の合意のみに基いて成立する)を改正しなければ同性婚が認められないと発言している方に対し、「専門家の間では、憲法24条が同性婚を禁止しているという見解は支持されていない」「文言上、異性婚について述べているのが明らかな条文について、専門家の見解に一切耳を貸さずに、あえて同性婚禁止規定との解釈をとる人もいるが、それは差別的態度だ」と述べています(詳細はこちら)
弁護士ドットコムの「同性婚実現のためには「憲法改正が必要」は本当か? 札幌地裁が示した「違憲」の意味」という記事でも、わかりやすく説明されています。
参考記事:
小泉氏、同性婚に賛成 「打ち明けやすい親でありたい」(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE246V50U1A320C2000000/
LGBT、打ち明けやすい親に 小泉環境相(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021032401195
LGBT「打ち明けやすい親でありたい」 小泉環境相(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASP3S6DBLP3SUTFK012.html
子どもがLGBTなら、小泉環境相「打ち明けやすい親でありたい」 参院予算委(神奈川新聞)
https://www.kanaloco.jp/news/government/article-443042.html