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規模を縮小しつつも、シドニーのプライドパレードがリアル開催されました
シドニーのマルディグラのパレードといえば、世界中の何千ものパレードの中でも最もショーアップされた華やかなパレードとして有名です。例年3月第1土曜日に数十万人の観客を集める大規模なパレードが開催されますが、今年はコロナ禍の影響で、例年の大規模なパレードの代わりに、クリケット競技場でのパレード・イベントと、ごく小規模なデモ行進が行なわれました。
1978年、ソドミー法廃止など同性愛者差別への抗議デモとして始まったシドニーのプライドパレード。最初は逮捕者が出るなどしましたが、地元のゲイ&レズビアンコミュニティの尽力により、『プリシラ』のようなド派手なドラァグクイーンのフロートや、お揃いの衣装でダンスを踊ったりする集団パフォーマンスのフロートなど、人々の目を楽しませるような華やかなパレードに進化していき、今ではカイリー・ミノーグなどの世界的アーティストやイアン・ソープのような五輪のヒーローなども参加し、警察官や消防士、軍人、宗教人、政治家、そして多くの企業のフロートも出るような、大規模で華やかなショーアップされたパレードになっています。このパレードとアフター・パーティはシドニー・ゲイ&レズビアン・マルディグラという1ヵ月近くにわたるLGBTQの祭典のフィナーレとなっていて、世界中から数十万人の観光客を呼び込み(日本からも何度もツアーが組まれています)、全豪オープンやF1グランプリと肩を並べるような国を挙げてのイベントとなっています(ニューサウスウェールズ州がバックアップしています)
そんな「オージー自慢の」華やかなパレードも、今年はコロナ禍の影響で規模を縮小し、3月6日土曜日、36,000人収容のシドニー・クリケット・グラウンド(SCG)でフロートがクリケット場を一周し、観客が楽しむというスタイルで行なわれました(それでもマスクレスで大勢が楽しんでいましたので、オーストラリアのコロナ対策は本当に優秀だと言えます。うらやましい…)。先頭は恒例のダイクス・オン・バイクス(レズビアンの方たちのバイク集団)と、ファースト・ネーション(先住民族の方たち)が飾ったそうです。
一方、シドニー随一のゲイタウンであるオックスフォード・ストリートでは、間際にブラッド・ハザード保健相が特別許可を出し、少人数によるデモが行なわれました。これは、最初の抗議デモを敢行した人々が警察官に暴力的な検挙を受け、実名が報道されたために解雇されるなどの被害を受けた、その勇気ある闘いへのリスペクトとして行なわれる記念行事だそうです。
なお、昨年は台湾を除く世界中ほとんどの国・地域でプライドパレードが中止またはオンライン開催となってきましたが、今年はどうかというと、例えば6月末のニューヨーク・プライドはバーチャルで開催だそうですが(一部、リアル開催のプログラムもありますが、パレードや大規模なイベントは全てバーチャルで)、例年7月に行なわれるロンドン・プライドは、先日ジョンソン首相からイングランドのロックダウン段階的緩和のロードマップが発表され、順調にいけば6月には大規模イベントも解禁となるという話を受けて、9月にリアルで開催する予定だそうです。
感染対策がうまくいったり、ワクチン接種がいち早く進みそうな国・地域では今年、パレードが再び戻ってきて、人々が喜びに沸く姿がニュースで報じられることになりそうです。
なお、日本でも4月の京都、5月の秋田、岩手はリアル開催予定です(スケジュールはこちら)
参考記事:
2021年マルディグラはシドニー・クリケット・グラウンドで(日豪プレス)
https://nichigopress.jp/ausnews/203957/
「ゲイ・レズビアン・マルディグラ」のパレード、豪シドニーで開催(AFP)
https://www.afpbb.com/articles/-/3335292/