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パナソニックがLGBTQなどをフィーチャーしたショートフィルムを発表

 パナソニックが2月24日、ゲイカップルやレズビアンカップル、化粧する男の子、脇毛を剃らない女の子、スケボーを楽しむアクティブな女の子などをフィーチャーし、"普通"を問い直すテーマのショートムービーを公式YouTubeチャンネルで発表しました。
 


 パナソニック株式会社のデザインスタジオ「FUTURE LIFE FACTORY」は、幅広い性のあり方への理解や知識のアップデートに取り組む新しいプロジェクト「YOUR NORMAL」を立ち上げました。
 
 YOUR NORMALプロジェクトとは、ジェンダーロール(性役割)、安全、健康、関係性など 自分らしい人生を生きるために、性の幅広さの理解と知識アップデートに取り組むプロジェクトです。性を考えることへの偏見や障壁を減らし、誰もが最も自分らしく自然体でいられる個“性”のもと、それぞれが自分の選択へ自信を持ち生きていくことができる社会の実現のため、企業として商品やサービスの選択肢をユーザーと一緒に模索する活動として取り組んでいます。
 これまで性に関する話題はなんとなく触れにくいものでした。しかし、ウエルビーイングへの注目が高まる今、性のあり方に関する理解や知識がアップデートされ、企業・教育機関・家庭など多方面で、多様な性がある社会の実現へ向けて様々な取組みが行われており、性の取扱い方は重要な課題の一つになることは間違いありません。しかし、性に関する議論は偏りがあり、未だに十分と言えません。そこで、「これからの豊かなくらしとは何か」を問い直し、具現化することをミッションとしているFUTURE LIFE FACTORYだからこそ、健康や安全も含めて性と向き合うことに意味があると考えました。
 具体的な取組みとしては、発達課題をもとに人生を大きく5つに分類、中でも心身の変化の大きい3つの年代を対象に、個“性”を考えるきっかけとなるプロトタイプを制作しました。このプロトタイプを起点に賛否・意見の収集やコミュニティーの形成を図り、ひとりひとりにとっての“普通”を考えてもらうきっかけを提供します。
プレスリリースより)

 このプロトタイプの主な内容は、
・絵本(幼児期向け):個“性”を育むために、パーソナルな話ができる関係性を保護者と作る
・映像(思春期):個“性”を見つけるために、人それぞれの“普通”にふれる
・コミュニケーションツール(成人期向け):個“性”を労わるために、自分やパートナーとの向き合い方を肯定する
です。

 この映像(思春期)の「個“性”を見つけるために、人それぞれの“普通”にふれる」というコンセプトを体現したのが、今回発表されたショートムービー「Think your normal」(思春期向け)です。

「細い方が可愛い」「背が高い方がモテる」「腕毛はない方がいい」「男だったらこうすべき」
家族や友達、そして自分自身が持っている「普通」との比較で、答えの出ない悩みとぶつかる思春期。
 
家や学校・習い事などの自分を取り巻いているコミュニティから無意識に感じている「普通」と自分との間にギャップを感じて悩んだりした経験がある方もいるのではないでしょうか。
 
このショートフィルムは、5組の「普通」を切り取っています。
誰が決めたわからない「普通」ではなく、
あなたにとって心地よい「普通」を考えるきっかけをお届けします。
(YouTube動画の説明文より)

 ゲイカップルやレズビアンカップル、化粧する男の子、脇毛を剃らない女の子、スケボーを楽しむアクティブな女の子をフィーチャーし、"普通"を問い直す作品で、ナレーション、モデルさん、映像、音楽、すべてが素晴らしいです。

 「YOUR NORMAL」のサイトには、ショートムービーに出演した3人の方へのインタビューも掲載されています。
 1人目のとまっちょさんは、自分は女の子だと感じていたこと、高校に入学してカミングアウトしたら周りの席の子も当事者だったということ、二丁目でコンドーム配りのボランティアを始めたこと、パレードを通じて彼氏さんと知り合ったことなどを語っています。
 2人目のochibaさんは、体についてのコンプレックスのこと、フェミニズムやGUCCIの「My Body My Choice」などに触れて、人と違ってもいい、ありのままの体を受け入れようと思えるようになったこと、などを語っています。
 3人目のKai Miyagiさんは、メイクやネイルをやるようになったきっかけ、ジェンダーに関しての発信などについて語っています。
 

 それから、性教育絵本(幼児期向け)「YOUR NORMAL  きみを かんがえる ほん」も素晴らしいです。
 1章「からだについて」では、多様な人種、ボディタイプ、障がいの有無などが表象(リプレゼンテーション)され、どんなからだでも素晴らしい、というポジティブなメッセージが発信されています。
 2章「プライベートゾーンについて」では、自分自身のプライベートゾーンを知ることで、自分を大事にするための他者との関わり方を学べます。「触られて嫌だと思ったらどうしたらいいか?」ということも教えてくれます。
 3章「すきについて」では、髪型や服装など、性別にとらわれず好きな格好をしていいということ(性表現の自由)を教えてくれます。
 国際的に重要なテーマになっているボディポジティビティ、#MeToo、ジェンダークィアといったイシューも盛り込まれ、親も子どもも一緒に学びが得られるような、たいへん進歩的でグローバルスタンダードな内容でした。

 

 パナソニックは、日系企業としてはかなり早い時期(渋谷区の同性パートナーシップ証明制度以前)からLGBTQ施策を始めていて、2016年2月には社内の同性カップルを結婚に相当する関係として認め、大きな反響を呼びました(詳細はこちら)。きっかけは、2013年6月、ロシアで反同性愛法が制定されてソチ五輪からLGBTが排除されると報じられた頃に、東京五輪最高位スポンサーであるパナソニックからもIOCに働きかけてほしいという声がたくさん寄せられたことなんだそうです。
 そこから10年近くが経ち、パナソニックが社内のLGBTQの支援だけでなく、今回のような先進的で素晴らしい表現を生み出してくれたことに拍手を贈りたいと思います。

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