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日弁連が、事実婚の関係にある同性カップルが異性カップルと異なる扱われ方をされる正当な理由がないとして「法の平等適用」を求める意見書を国や都道府県に送付しました
日本弁護士連合会(日弁連)は2月24日、事実婚の関係にある同性カップルについても、法令における「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」として、法の平等な適用を求める意見書を国や自治体などに提出したことを明らかにしました。意見書は2月18日付で、翌19日付で内閣総理大臣や都道府県知事などに送付したそうです。
日弁連は2019年7月、政府や国会に対し、同性婚を認めるよう速やかに法改正すべきとの意見書をまとめていますが(詳細はこちら)、今回はそれとは別に、事実婚の関係にある同性カップルがいることに着目し、異性カップルの事実婚と異なる取扱いが許される理由はないとして平等な取り扱いを求めるものになっています。
日弁連「両性の平等に関する委員会」委員の本多広高弁護士は24日、東京・霞が関で会見し、「男性と男性、女性と女性でも、その生活実態は法律婚と変わるところはない。憲法に定める平等原則に基づいた取扱いを求めていきたい」と語りました。
異性カップルの事実婚については、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」として、200以上の法令で法律婚と同様に扱われています。具体的には、遺族厚生年金や遺族補償年金の受給権、公営住宅へ入居する際の親族としての扱い、DV法における保護、受刑者の処遇などがあげられます。判例も、「いわゆる内縁」について、「婚姻関係と異るものではなく、これを婚姻に準ずる関係というを妨げない」として、いくつかの場面で婚姻と同様の保護を認めています。
今回の意見書では、「いわゆる内縁」と「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」は実質的に同様の関係だとしたうえで、異性カップルには各種の法令や判例法理が適用されるのに、同性カップルには適用がないとすれば、「性的指向で差異を設けるもの」だと指摘されています。
本多弁護士は、「どの性別の人を好きになるのかは、本人の意思で変更することは高度に困難。また、同性を好きになることは、歴史的に強固な差別を受けてきた」と指摘。性的指向を理由に異なる取扱いをするためには、よほど強い正当化事由がない限り許されないと述べました。
日弁連は、代表的な法令や判例法理について検討したところ、強い正当化事由は見当たらなかったとしたうえで、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に対して利益を与える法令は、当事者の性別に関わりなく適用されるべきだと主張しています。
法の番人として、同性カップルが異性カップルと異なる扱われ方をされている現状に異議を唱え、平等を求めてきた日弁連。2月24日は東京地裁で「結婚の自由をすべての人に」訴訟の口頭弁論が開かれ、「死ぬまでに愛する人と結婚したい」との願いが叶う前に亡くなってしまった原告の佐藤郁夫さんの思いを永野弁護士が裁判官に伝えるとともに、原告の思いを直接法廷で聞く「本人尋問」を行なう必要はないとの態度を示している東京地裁に「原告が直接語る機会を奪わないでください」と訴える1万8000筆超の署名が届けられました(詳細はこちら)。これと足並みを揃えるように公開された日弁連の意見書は、同性婚訴訟を後方支援しようとする意図を感じさせます。
参考記事:
同性カップルの事実婚「異なる扱い理由なし」 日弁連が「法の平等適用」求める意見書(弁護士ドットコムニュース編集部)
https://www.bengo4.com/c_18/n_12551/