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国会で尾辻かな子議員が同性婚について質問、菅首相は「根幹に関わる、極めて慎重な検討が必要」と答弁

 2月17日、衆院予算委員会の集中審議があり、菅首相と与野党の間で論戦が交わされました。そのなかでレズビアンであることをカミングアウトしている尾辻かな子衆議院議員が、東京五輪が理念の一つに掲げる「多様性と調和」を取り上げ、日本で認められていない同性婚について菅首相に「息子さんが同性のパートナーと一緒になりたいと言われたら何と答えますか」と尋ねました。
 首相は「仮に自分の家族がそういう状況にあったとしても、当事者双方の性別が同一である婚姻の成立を認めることはまだ我が国では憲法上想定されていない」と述べ、同性婚を認めるか否かについて「我が国の家族のあり方の根幹に関わることなので、極めて慎重な検討をする必要がある」と答弁しました。
 尾辻議員が「それは子どもが同性愛者であるということを受け止めるということなのか、受け止めないということなのかどちらでしょう」と重ねて問うと、首相は「仮のことにお答えするのは控える」としつつ、「非常に複雑な心境の中で、検討に検討を重ねる立場になるだろうと思う」と述べるにとどめました。

 ご自身のお子さんがもし同性婚を望んでいたとしても、それでも結婚の権利を認めないのですか?という問いに対してすら、認めるとも、検討を始めるとも言えないなんて…当事者だけでなく、自分の子どもが同性愛者である方や、同性愛者の親族や友人・知人を持つ方(おそらく全国に何千万人もいらっしゃると思います)の「結婚させてあげたい」と願う気持ちにも水を差すものでしょう。
 SNSでは早速、「なら早く検討してください」「なぜ子どもが同性婚したかったら親が検討に検討を重ねる必要があるの?」「同性婚や夫婦別姓婚で幸せになれる人がいるなら、人の幸せを反対する権利はないよ」「多様性を認めない総理」「結婚を邪魔する合理的な理由があるのなら説明してほしい」「現実に同性婚を望んで声を上げている人々がいる。それに対し国は不誠実な態度を続けている」などの声が上がっています。
 
 今回の首相の答弁は、松岡宗嗣さんが指摘しているように、同性婚は憲法上想定されておらず、家族のあり方の根幹に関わるため慎重な検討が必要だとする従来通りの回答であると言えるでしょう。これまでも何度か同性婚に関するやりとりが国会でありましたが、政府の答弁は「慎重な検討が必要だ」の一点張りでした(2019年10月23日には「いつから同性婚導入の検討を始めるのか」と尋ねられた河井克行法務大臣(当時)が「検討するか否か、そのこと自体を含めて検討が必要」と答弁。また、2020年2月14日の閣議で、初鹿明博衆院議員の「同性婚が法律で認められていないことは憲法が定める『法の下の平等』などに違反しているのではないか」との指摘に対し「現時点で同性婚導入を検討していないため、憲法に適合するか否かの検討も行っていない」とする答弁書を決定しています)
 国が一向に同性婚について検討を始める姿勢を見せないため、(海外でもそうされてきたように)全国の同性カップルたちと支援者たちが、国に対して結婚の不平等(構造的差別)を正すよう求める「結婚の自由をすべての人に」訴訟という権利擁護運動を立ち上げ、今も進めているところです。
 
 2月14日には「結婚の自由をすべての人に」訴訟が2周年を迎え、オンラインで2周年イベントが開催されました。
 共同代表の寺原さんが、DV家庭に育ったなかで無力さを痛感し、「法的な知識があれば母親を助けられた」という思いから弁護士になり、女性問題とともに性的マイノリティの支援にも取り組みはじめたという感動的なお話、全国の弁護団や原告の方々のメッセージ、レスリーさん&ジョシュアさんなどの応援メッセージとともに、新しい試みとして同性婚・多様な家族についての短歌を公募するという企画もありました。
 歌人の鈴掛真さんは、「以前は独りでいいと思っていましたが、去年、人に会えないストレス、孤独がすごく体に悪いと実感し、家族がいてくれたらと切実に感じました。同性婚が認められてるなかで自分が結婚するしないを選ぶのと、そもそも選択肢がないというのは全く別のこと」と語り、文筆家の牧村朝子さん、司会のエスムラルダさんとともに、300作も集まった短歌を選びました。お三方が3首ずつ選んで紹介した短歌、どれも素晴らしかったです(最優秀作品はこちら)。カミングアウトして原告になることができない方、当事者の子を持つ親の方なども短歌という形で想いを表現でき、それを代わりに読んであげることの祝福感や優しさが、とても沁みました。
 清貴さんの弾き語りライブも、歌はもちろん、ナチュラルな雰囲気で同性婚への想いを語る姿も素敵で、とてもよかったです。
 本当に素晴らしいイベントでした。
 「結婚の自由をすべての人に」訴訟の全国で初となる判決は1ヶ月後、3月17日に札幌地裁で出される予定です。きっと画期的な判断が下され、みんなが歓喜する光景がニュースになるのではないかと思います。そう信じます。
 
 

参考記事:
同性婚「根幹に関わる、極めて慎重な検討が必要」菅首相(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASP2K52SCP2KUTFK01B.html

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