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ファミリーシップ制度導入自治体によるオンラインサミットが開催されました

 今年1月に兵庫県明石市が初めて導入したファミリーシップ制度。現在では全国11の自治体に広がりを見せていますが、12月27日、全国のファミリーシップ制度導入自治体による初のオンラインサミットが開催されました。

 同性カップルだけでなく子どもも公に承認するファミリーシップ制度は、明石市が昨年12月に発表し、今年1月8日から全国に先駆けて導入した制度です。明石市では、医療機関で家族として説明を受けることができたり、市営住宅に同性カップルと子どもが入居できたり、保育園の送り迎えができたり、市営石ケ谷墓園で同じ墓に入れるようにもなりました。
 その後、徳島市が2月1日から、東京都足立区が4月1日から、福岡県古賀市が7月1日から、愛知県豊田市が7月16日から、埼玉県入間市と徳島県三好市が9月1日から、埼玉県川島町が10月1日から、埼玉県狭山市が10月11日から、岡山県総社市と埼玉県鴻巣市が12月1日からファミリーシップ制度をスタートさせました。
 
 今回のオンラインサミットは、ファミリーシップ導入を検討している自治体からの問い合わせも続いているなか、すでに導入した自治体においても制度の効果や課題等を整理していく必要性が高まっていることを受けて、今後さらに多くの自治体にこの制度を広げていくこと、実施している自治体間での情報共有の場を確保していくことを目指し、明石市が企画したものです。12月27日(月)午後、ZOOMを使ったオンラインミーティングのかたちで開催されました。
 参加したのは、明石市の泉市長、徳島市の内藤市長、東京都足立区の近藤区長、福岡県古賀市の田辺市長、愛知県豊田市の太田市長、埼玉県入間市の杉島市長、徳島県三好市の高井市長、岡山県総社市の片岡市長で、埼玉県川島町、狭山市、鴻巣市は担当者の傍聴参加でした。最初に各自治体から事例が報告され、続いて意見交換が行なわれました。
 足立区の近藤区長は、区内でパートナーシップ宣誓した19組のうち2組がファミリーシップ制度も利用したと語り、また、中高年のカップルの利用もあることから、今後は両親やお互いの介護を視野に入れた取組みが必要だと語りました。
 古賀市の田辺市長は、「届け出に踏み切れないとの声がある」と啓発の必要性を指摘しました。
 最後に「ファミリーシップ制度共同推進宣言」が採択されました。宣言文は以下の通りです。

「2015年に始まったパートナーシップ制度は、その後全国に広がりを見せ、現在では140を超える自治体で導入され、多くのカップルが利用しています。
 一方、子どもとともに暮らす制度利用者からは、パートナーであるお二人とともに暮らす子どもとの関係を証明する術がないため、医療機関で関係性を説明する際、苦労することが少なくないという声もありました。
 こうした当事者からの切実な声を受け、子どもを含む家族の関係を届け出てもらい、自治体がそれを証明する「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」が本年1月にスタートし、本日の時点で11の自治体にて同趣旨の制度の導入が確認されています。
 本制度の運用上の課題が解決されることで、その効果がより高まり、制度を利用するすべての人が家族と安心して暮らせるようになるとともに、本制度がより多くの自治体に広がっていくことを願い、導入自治体が必要な情報を共有するなど密接に連携・協力して、積極的な制度運用に取り組むことをここに宣言します。
2021年12月27日 
ファミリーシップ自治体サミット 参加首長一同」

 1年足らずで全国11自治体に広がりを見せたファミリーシップ制度。2022年も全国の自治体で続々と導入されていくのではないでしょうか。
 
 
 
 なお、明石市は同日、徳島市と「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」の連携協定を締結しました。制度利用者が2市間で転居した場合、これまで必要だった転出先への戸籍謄本の提出や受領証の転出元への返還などが不要となり、取得済みの証明書を示すだけで新たな証明書を受け取ることができます(これまで同性パートナーシップ証明制度については、複数の自治体間で連携協定を結ぶケースがたくさんありましたが、「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」に関する連携協定は初めてです)。徳島市が連携を申し入れ、実現したものです。
 徳島市の内藤市長は「徳島は多様性あふれる町を掲げており、明石市の後を追う形で導入した。制度が全国に広がってほしい」と、明石市の泉市長は「明石の翌月に導入した徳島市はいわば最初のお友達。連携できてうれしい」と語りました。


 それから、明石市では、「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」を導入した今年1月から2月にかけて実施した「明石にじいろキャンペーン」の第2弾を、この11月〜12月に実施しました。パピオスあかしの「明石にじいろ階段」を常設化したり、明石の街のシンボルの一つである信楽焼のポン太をレインボーたすきでデコレーションしたり、かずえちゃんを招いてイベントを開催したり、「ソジトモの輪」を広げるため図書館やイオンとコラボしたり、といった内容でした。
 
 明石市でLGBTQのことを担当する職員として活躍する増原裕子さんは、「最近では尼崎市での職員のカミングアウトをめぐる報道が話題となっておりましたが、本市でもすべての職員の理解となるとまだまだ十分とは言えず、これからも取組を積み重ねていくことが大切だと思っております。サミットやキャンペーン等も一過性のものではなく、今後につなげていく点の一つだと思っています」と語っています。
 
 今年はパレードこそ開催されませんでしたが、このように制度面での先進性を見せる取組みや、市民への啓発を着実に進めていることがわかります。優秀な当事者の専門職員を置くことで、明石市が一躍、LGBTQ先進自治体のトップに躍り出たという言い方も変かもしれませんが、ファミリーシップ制度という画期的な制度を生み出したことで日本のLGBTQ史にその名を刻むこととなりました。
 


参考記事:
ファミリーシップ導入自治体によるサミット開催 足立区も参加(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASPDW73K6PDWUTIL049.html

同性カップルと子どもとの「親子認定」制度 明石市と徳島市が協定(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20211227/k00/00m/040/211000c
同性カップルの転居時の手続き簡素化 徳島市と兵庫県明石市が協定へ(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASPDR7RCRPDRPTLC005.html

同性や事実婚カップル、子も「家族」 パートナーシップ・ファミリーシップ制度18組が利用 明石市(神戸新聞)
https://www.kobe-np.co.jp/news/akashi/202111/0014871634.shtml

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