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【同性パートナーシップ証明制度】福岡県が導入の意向、岡崎市、三原市、飯能市などでも導入へ
福岡県は、同性カップルなどを結婚に相当する関係と認める「パートナーシップ宣誓制度」を導入する方向で検討を進めます。福岡県の服部知事は県議会で「性的マイノリティの人たちは社会生活上の障壁があり、生きづらさを感じている。偏見や差別をなくすことで、安心して生活し活躍できる社会を実現するための環境整備が重要だ」と述べました。県は今後、専門家の意見なども聞いて導入に向けた検討をさらに進めていくことにしています。
実現すれば、茨城県、群馬県、大阪府、佐賀県、三重県に次いで全国で6例目となります。
愛知県岡崎市では、男女共同参画推進条例の一部を改正し、「パートナーシップ制度」を導入する方向で検討を進めています(アウティングの禁止なども盛り込むそうです)。要綱ではなく条例ですので、宣誓方式ではなく、届出を出すと受理証明書(パートナーシップ証明書)を発行するという、たいへんシンプルでわかりやすい制度です。こちらでパブリックコメント(市民の意見)を募集しています。12月15日までです。
広島県の三原市は、「パートナーシップ宣誓制度」を2022年1月1日から始めることを発表しました。宣誓したカップルは市営住宅に入居できるほか、市外から転居してくる場合は住宅新築補助が受けられるそうです。
制度導入は広島市、安芸高田市に続き、県内3例目です。
制度周知に向け、市は人権週間の12月4~10日に市役所をレインボーカラーにライトアップするそうです(広島県では、2017年12月の人権週間に広島城がレインボーカラーにライトアップされたことがありましたが、それに続く2例目となります)
埼玉県飯能市も2022年1月1日から「市パートナーシップ・ファミリーシップ制度」を導入します。所沢市、日高市も同様に1月1日から導入予定だそうです。
「性的マイノリティなど、さまざまな事情を抱えて生きづらさを感じている人たちに寄り添い、悩みや不安を少しでも軽減できるよう支援するとともに、市民一人ひとが多様性を認め合い、互いに尊重しあい、誰もが自分らしく生き生きと暮らせる社会の実現をめざすこと」が制度導入の趣旨です。
パートナーシップ、ファミリーシップの届出をすることで、現在、配偶者や家族などを対象としている行政サービスの一部について、パートナーやファミリーでも対象となるよう、市は関係各課と調整を行なっており、整ったものから順次、実施していく方針だそう。民間事業者についても、▽携帯電話会社の家族割の適用、▽生命保険の死亡保険金の受取人として認められる、▽賃貸住宅などの入居契約が可能となる、▽医療行為などでの同意が認められるといったことがあります。
なお、レインボーさいたまの会によると、2021年10月11日現在、埼玉県内で同性パートナーシップ証明制度を導入した自治体が全国最多の18となったそうです(ファミリーシップ証明制度についても、入間市と川島町で導入されていて全国最多です)
それから、神奈川県二宮町も2022年4月から「パートナーシップ宣誓制度」を導入します。県内16例目です。
今月1日から12月3日まで制度概要案への町民の意見を募集しているそうです。
ほかにも同性パートナーシップ証明制度関連のニュースがいくつかありました。
滋賀県彦根市「パートナーシップ宣誓制度」の第一号カップルとなったお二人へのインタビューがこちらやこちらに掲載されていました。
和歌山県が10月から同性カップルも法律婚と同様に取り扱う運用を始め、同性カップルが県営住宅に入居できるようになったそうです。和歌山県ではまだ同性パートナーシップ証明制度が導入されていませんが、生活実態を把握したうえで県が用意する二人の婚姻意志がわかる書類を提出することで入居できるそうです。これまで別居していて、新しく共に生活を始める場合には、県が発行する婚約証明書で対応するとのこと。このほか、弁護士による犯罪被害者法律相談、パートナーからの暴力に関する相談、心身障害者扶養共済制度への加入も法律婚や事実婚と同様に取り扱うそうです。担当者は「多様性を認め合い、県の行なうサービスでの不利益や不便を解消したい」と話しています。
同性カップルも法律婚と同等に扱おうとする県の姿勢は素晴らしいのですが、和歌山県営住宅募集要項によると、婚約証明書には「双方の父母等の証明」が要るそうで、両親にカミングアウトしていないと婚約証明書を作ることが難しそうです…。であれば、二人が役所で登録すれば発行してもらえるパートナーシップ証明のほうが現実的ですし、わざわざ新しく共に生活を始める場合に婚約証明書の提出を求めるという手続きにしなくても、一律パートナーシップ証明書で入居をOKにするほうが行政対応としてもスムーズでしょう。しかし、県は、「国が議論して法整備につなげるべき課題であり、県としては現時点で導入の検討はしていない」そうです(なお、和歌山県では、橋本市が2022年度中の導入に向けて議論しているものの、まだ県内で導入した自治体はありません)
LGBTQを支援するNPO法人「チーム紀伊水道」の倉嶋麻理奈理事長は、今回の県の見直しを「前進」と評価しつつ、「制度も作らず、どうやって同性カップルであると認めるのか矛盾を感じる」と指摘します。「カップルの関係の基本的な証明である同性パートナーシップ制度は、精神的な安定につながるとも聞いたことがある。導入に向け、真剣に取り組んでほしい」と訴えています。
それから、神戸市に住む21歳の大学生が、神戸市での同性パートナーシップ証明制度の導入を求めて署名を立ち上げました。
「2021年春、初めて神戸市議会を傍聴したときに、本制度の導入に消極的な態度を示した神戸市福祉局に言葉を失いました。私の大好きな神戸は、こんなにも生きづらい街だったのかと、あまりにショックでした」
全国の政令指定都市でまだ制度が導入されていない(検討も進んでいない)のは神戸市と仙台市だけです。この署名が何万、何十万に達したら、市もその声を無視できなくなるのではないでしょうか。ぜひご協力をお願いいたします。
参考記事:
「パートナーシップ宣誓制度」福岡県が導入方向で検討へ(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20211112/5010013887.html
パートナーシップ 来年、三原市が制度化(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20211112/ddl/k34/040/364000c
二宮町、来春に「パートナーシップ宣誓制度」導入へ(神奈川新聞)
https://www.kanaloco.jp/news/government/article-732752.html
飯能市がパートナーシップ制度 同性カップルの関係を公認 来年1月1日導入
http://www.bunkashinbun.co.jp/wp/2021/11/17/飯能市がパートナーシップ制度%E3%80%80同性カップルの/
当たり前の祝福に笑顔 彦根市のパートナーシップ宣誓制度利用の第1号(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/367881
県営住宅 同性カップル入居可に 県、行政サービス適用拡充(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20211118/ddl/k30/040/390000c