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兵庫県姫路市の中学校が男女共通の制服を導入へ
兵庫県姫路市の市立山陽中学校が、性的マイノリティへの差別のない学校づくりを目指し、生徒の意見を取り入れて来年度からスラックス+ブレザーという男女共通の制服を採用することになりました。
9月28日、姫路市立山陽中学校の校長や教頭、生徒会の子どもたちが記者会見を行い、来年度から制服を男女ともスラックスとブレザーを標準にするとと発表しました。
同校では、これまで男子生徒は詰め襟の上着にズボン、女子生徒はセーラー服にスカートという制服でしたが、周辺校がブレザーを導入したこともあり、生徒会から「今までの制服は束縛されているようだ」という意見や「スカートは冬の時期は寒い」という意見が相次ぎ、2019年にはPTAの保護者らも交えて検討委員会が立ち上げられ、在校生や進学予定の小学生らを対象にアンケートも実施されました。「なぜ女子だけスカートなのか」といった疑問や、「時代に合っていない」との指摘も上がりました。性的マイノリティの生徒への配慮とともに、国連が採択した「30年までの達成を目指す国際目標」(SDGs)でジェンダーの平等が項目の一つに掲げられていることも意識したと言います。また、近年、スカートとスラックスを選択できるようにする学校も増えてきていますが、選択制を導入しても周囲の目が気になって望む制服を着用できない生徒もいるという現状もあるため、同校ではスラックスを標準とすることに踏み切ったそうです。もしスカートをはきたい場合は、年度当初に申請すれば男子も含めて着用が認められます。
長谷川貴久校長は、「社会の理解がまだ十分でなく、性的マイノリティであることを表明しづらい雰囲気がある」「性的マイノリティの生徒にズボンを選ばせる学校もあるが、中学校の段階でカミングアウトするのは難しい」「(今回の見直しにより)男女分け隔てなく着やすい制服になった」「多様なジェンダーを認める学校にしていきたい」と語りました。
兵庫県教育委員会によると、県内の公立中学校で男女が同じ制服を使用するのは珍しいということです。
もしかしたら男女ともスラックスにすることへの違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、学校、生徒、保護者らが実に多様な側面から検討した結果であり、性的マイノリティの生徒へのきめ細かな配慮の結果であるということは間違いありませんので、ご理解ください。
今後、この山陽中学の取組みがモデルケースになっていくのかどうか、注目していきたいと思います。
参考記事:
姫路 中学校で男女共通の制服へ(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20200928/2020010010.html
兵庫・姫路市 公立中学校が男女共通の制服(日テレNEWS24)
https://www.news24.jp/nnn/news88929433.html
学校制服、男女でスラックス標準に 姫路・山陽中(神戸新聞)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202009/0013737981.shtml