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米国の同性カップル世帯数が98万に達したことが明らかになりました
2019年のアメリカン・コミュニティ・サーベイ※の調査結果が発表され、米国の同性カップル世帯が98万に上ることが明らかになりました。
※アメリカン・コミュニティ・サーベイは、米国国勢調査局が実施する人口統計調査プログラムで、祖先、市民権、学歴、収入、言語能力、移住、障害、雇用、住宅の特徴など、以前は国勢調査にのみ含まれていた情報を毎年収集するようにしたものです。全世帯ではなく、年間300万人をサンプルとして調査します。
昨年のアメリカン・コミュニティ・サーベイによると、同性カップル世帯であると自認している世帯の数は約98万世帯に上り、そのうち58%は結婚しています。女性カップルの方が男性カップルより少しだけ多くなっています。
この数は、すべてのLGBの人々を表しているわけではありません。一人暮らしの人、実家で暮らしている人、ルームメイトがいる人、なかにはホームレスの人もいます。さらに詳しい情報は…2018年、トランプ政権によってブロックされました(トランプ大統領は2018年、アメリカン・コミュニティ・サーベイで性的指向を尋ねないよう指示を出しました)。しかしそれでも、今回の情報は、LGBTQコミュニティの中の1つのセグメントの規模を明確にしました。
年収についてのデータも明らかになりました。
平均すると、同性カップル世帯の年収は年間$107,210で、異性カップル($96,932)よりも収入が多いことがわかりました。しかしジェンダー別に見ると、男性カップルは$123,646なのに、女性カップルは$87,690で、明らかに女性の方が収入が少ないという不平等も浮き彫りになりました。
ほかにこのデータからわかったのは、男性と結婚している女性より、女性と結婚している女性の方が、働いている人が多いということ、逆もまた真なりであるということでした。
それから、同性カップル世帯の密度が最も高いのは、ワシントンD.C.(全体の2.4%)であることが明らかになりました。次いでデラウェア州(1.3%)、オレゴン州(1.2%)、マサチューセッツ州(1.2%)、ワシントン州(1.1%)となりました。
米国勢調査では、1990年の時には、同性カップルは(日本と同じように)誤記とされていましたが、2010年から同性パートナーを配偶者またはパートナーと書くことができるようになりました(それでも、同性カップルの7分の1が「同性パートナーがいる」とうまく回答できなかったといいます)
2014年には、アメリカン・コミュニティ・サーベイで、同性結婚したカップルの世帯が(ただの同居人ではなく正式に)家族としてカウントされるようになりました(詳細はこちら)
2012年の調査では同性結婚したカップルの数は18万2000組だったそうですが(同)、2015年6月にアメリカ全土で同性婚が認められたこともあり、全国的に同性婚世帯も増えていき、今や約57万(10年足らずで3倍強)になりました。結婚はしていないものの共に暮らしている同性カップル世帯も含めると、その数は100万に届こうとしています(これはもちろん、ゲイやレズビアン、バイセクシュアルの人たちの数が増えたのではなく、安心してパートナーと同居できるようになった人たちが増えたということです)
国勢調査で家族と認められること、法的に結婚が認められることで、愛する人と一緒に暮らし、家庭を築くことができる人たちがこんなにも増えるのだなぁ、ということがまざまざと実感できる、目に見えるようになりました。
国勢調査といえば、9/14から国勢調査のインターネット回答ができるようになっています。
先にお伝えしたように、今回の国勢調査で同性カップル世帯の集計・発表を実現することを求める運動が立ち上がり、レインボー国勢調査プロジェクト9団体が総務省に要望書を提出したり、国会の超党派LGBT議連でも話し合われました。
日本でも、自治体の同性パートナーシップ証明制度どまりではなく、国としても(国勢調査100周年の記念すべき時に)同性カップル世帯を正式にカウントし、その権利の擁護(不平等の解消)に向けて大きな一歩を、と願うものです。
なお、こちらの投稿によると、トランスジェンダーの方が国勢調査窓口に問い合わせたところ、「性別欄は戸籍と関係なく、性自認や生活実態に基づいて入力して下さい」との回答があったそうです(素晴らしいですね)
参考記事:
Census Data Reveals Area With Highest Percentage of Same-Sex Couples(Advocate)
https://www.advocate.com/news/2020/9/17/census-data-reveals-city-most-same-sex-couples