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鹿児島県指宿市が同性パートナーシップ証明制度導入へ、県内初
NHK鹿児島のニュースによると、鹿児島県指宿市が、同性パートナーシップ証明制度を来年4月から導入する方針を固めたことがわかりました。鹿児島県内の自治体としては初めてです。
指宿市の「パートナーシップ宣誓制度」は、法律上は結婚できない同性どうしなど性的マイノリティのカップルがお互いを「人生のパートナー」として宣誓すれば、市が証明書を発行するものです。法的な効力はありませんが、証明書があれば、保険会社がパートナーを生命保険の受取人として認めたり、携帯電話会社が家族割引を適用することもあります。
指宿市は、この制度を来年4月から導入する方針を固め、9月1日、市議会議員に対して伝えました。説明資料によると、制度を利用するには、成人で少なくとも一方が市内に住んでいるか、原則14日以内に転入を予定していることなどが要件になります。
市は、今月上旬から市民からも意見を募ることにしています。
市に対して要望を行なってきた県内のLGBT団体「レインボーポート向日葵」は、「非常に嬉しいことだ。指宿市だけでなく県内の他の自治体にも導入の動きが広がってほしい」とコメントしています。
レインボーポート向日葵は、LGBT交流会を鹿児島市と指宿市で行なってきたほか、鹿児島県内の市役所や小学校などに出向いて講演や研修を行なってきました。
昨年9月、鹿児島市議会でLGBT施策が議題に上った際、とある市議が「(同性パートナーシップ証明制度の)ニーズはほとんどない」「地方都市がLGBT施策を推進すべきでない」「自然の摂理に合った男女の性の考えを強調すべき」などと発言し、問題視されました。レインボーポート向日葵は「当事者を傷つける内容が多数含まれている。差別を助長する内容で、当事者の計り知れない精神的なダメージを強く懸念する」として議長あてに質問の取り下げを求めました。その後、発言の撤回と謝罪・LGBTへの正しい知識の習得を求める署名運動が起こり、鹿児島県弁護士会もLGBT支援の声明を発表したり、議会内でも撤回と謝罪を求める声が上がるなどした結果、市議は発言の一部だけ撤回しましたが、内容はほとんど変わらず、謝罪もしませんでした。
昨年10月末、レインボーポート向日葵は、改めて、鹿児島市と指宿市に、同性パートナーシップ証明制度の導入を求める要望書を提出しました(詳細はこちら)
その結果、指宿市では、今年7月に「市人権教育啓発事業推進委員会」において同制度導入が承認され、8月に「市男女共同参画推進懇話会」からも「積極的に導入すべきであり、より良い制度となるよう進めていただきたい」との回答をいただき、8月12日に庁議において承認されました。
今後は、9月上旬からパブリックコメントの募集が行われ、第4会市議会定例会と議員懇談会で制度導入の説明が行われ、来年4月1日に施行予定だそうです。
鹿児島は、九州のなかでも(上記のような発言が出るくらい)保守的な地域と見られますが、こうして当事者団体の方が声を上げ、粘り強く活動してきたおかげで、指宿市で同性パートナーシップ証明制度が認められたことは、本当に素晴らしいです。レインボーポート向日葵のみなさんの尽力に敬意を表します。
参考記事:
指宿市が県内初PS制度導入へ(NHK鹿児島)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20200901/5050011760.html