NEWS

映画『マトリックス』にトランスジェンダーの寓意が込められていたことをリリー・ウォシャウスキー監督が明らかにしました

 1999年〜2003年にキアヌ・リーブス主演で3作が公開され、世界を熱狂させた映画『マトリックス』シリーズ。その共同監督の一人であるリリー・ウォシャウスキーが、『マトリックス』はトランスジェンダーのアレゴリー(寓話)であったことを明らかにしました。リリー・ウォシャウスキーはNetflixのインタビューで、多くの人たちが『マトリックス』をトランスジェンダーのストーリーではないかと語っていることに触れ、「元々の意図が明らかになってよかった」「当時、世界や企業社会はまだ用意ができていなかった」と語りました。
 
 『マトリックス』は、キアヌ・リーブスが演じる主人公のネオが、自分の生きていた世界が仮想現実であることに気づき、現実世界を支配するコンピュータ(AI)に戦いを挑み、人類を解放しようとする物語です。
 『マトリックス』を監督した当時、ラリー&アンディ・ウォシャウスキーという兄弟だった二人は、二人ともがトランスジェンダーであることをカムアウトし、のちにラナ&リリー・ウォシャウスキーという姉妹に改名しています(ラナは2008年に性別適合手術を終え、2012年、『クラウド アトラス』を監督した際に初めて女性として公の場に姿を現しました。リリーは2016年に性別適合手術を終えてリリーと名乗ることを表明しました)
 ウォシャウスキー姉妹がトランスジェンダーをカミングアウトした後、ファンや批評家たちの間で「心が体を超越し、自分のことを自分で決める『マトリックス』のストーリーは、トランスジェンダーのアレゴリー(寓話)なのでは?」という議論が広がりました。リリーはそのように捉えられていることについて「うれしく思う」と語りました。
「『マトリックス』シリーズが、トランスの人たちにとって重要な意味を持ち、そしてトランスの人たちが『この映画シリーズは私を救ってくれた』と私に言ってくれるのをとてもうれしく思います」
「変化、特にサイエンスフィクションの世界での変化は、想像力であり、世界を作り、一見不可能なことを可能にします。だからこそ、この映画シリーズは、トランスジェンダーの人たちにとって大きな意味があるんだと思います」
 リリーはさらに、『マトリックス』の登場人物スウィッチ(モーフィアスたちとともにAIと戦う人物)が、オリジナルの脚本ではトランスジェンダーのキャラクターとして描かれる予定だったと明かしました。
「『マトリックス』は、変わりたいという願いを描いた映画です。しかしそれは、秘められた視点から語られています。だから私たちはスウィッチという、現実世界では男性でマトリックスでは女性のキャラクターを作ったのです」
 そして、脚本を書いていた時に自身のトランスジェンダーとしての性自認が頭脳の中でどれくらい存在していたかはわからないが、ストーリーは自分たちの情熱から生まれたと語りました。
「トランスの人々は、言葉が存在しない場所に存在しました。私たちはいつも、想像の世界に住んでいました。だから私はサイエンスフィクションやファンタジーに引かれ、ダンジョンズ&ドラゴンズで遊んでいたのです。それは私たちにとって、世界を作るということでした」
「映画の作り手として、私たちは自由でした。当時は必ずしもスクリーンではうつらないものを想像できたからです」
 
 『マトリックス』は、2022年に4作目の公開が予定されています。監督はラナ・ウォシャウスキーが務め、主演のキアヌ・リーブスや当時のスタッフが再結集して製作されます。ストーリーなどは未発表ですが、LGBTQがより前面に出てくる作品になるのでは?と期待されます。


 
参考記事:
マトリックスは元々、トランスジェンダーの物語だった。監督が明かす「私たちはいつも想像の世界に住んでいました」(ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/he-matrix-was-a-trans-allegory_jp_5f2b73bcc5b64d7a55ee966d?utm_hp_ref=jp-homepage
Lilly Wachowski confirms 'Matrix' series is a transgender allegory(NBC)
https://www.nbcnews.com/feature/nbc-out/lilly-wachowski-confirms-matrix-series-transgender-allegory-n1235927

ジョブレインボー
レインボーグッズ