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東京都江戸川区がトランス男子高校生の署名提出に応え、制服の選択制を認めました
学校での制服の選択制を求める声や男女別登校への批判の声が高まっていますでお伝えしていた東京都江戸川区在住のトランス男子高校生が8月14日、1万1582人分の署名を斉藤猛区長に提出、受け取った区長は「制服が原因で不登校や自殺を考える生徒がいてはならない」として、制服選択制の速やかな検討を始めることを明言しました。
署名を集めた江戸川区の高校3年生、くろまるさんは、トランスジェンダー男性で「LGBTコミュニティ江戸川」のメンバーでもあります。くろまるさんは一部の区立中が新型コロナウイルスの感染対策で分散登校を行った際、男女別で登校時間を変えたことを知り、「自分と同じように苦しむ後輩を助けたい」と思い、中学時代苦しんだ制服問題に取り組む決心をしました。区立中学に在学中、制服のスカートを穿くのが苦痛で仕方なく、不登校も経験した、「いつも自分の心を押し殺していた。大人になる前に死のうと思っていた」と涙ながらに語り、「かつての自分のように傷つく子を増やしたくない」と訴えました。性的マイノリティへの理解促進のための教員研修の実施や、児童生徒向けの相談窓口の周知なども要望しました。区長は「署名と要望をしっかりと受け止め、実効性のあるものにする」と答えました。
くろまるさんは現在、制服を着なくてもよい定時制高校に通っています。中学時代、自身が着る制服のつらさを3年生になってやっとの思いで担任に伝えたところ、「我慢しよう」と言われたそうです。また、友人の体操着で体育に参加すれば「どうして男の服を借りているんだ。気持ち悪い」と怒鳴られた経験もあるそうです。
くろまるさんは、取材に対して「すごくあたたかい気持ち」「自分も中学時代に制服を自由に選べることができたら、充実した3年間を過ごせたはず。区長に気持ちが伝わったようでよかった」と語りました。
区教育委員会によると、江戸川区では区立中学校全33校で男女別の制服が採用されていて、うち1校で女子生徒はスカートとズボンを自由に選べるものの、他は要望があった場合に個別対応ということになっているそうです。
斉藤区長は区の教育委員会とともに議論をすすめ、各校が検討・議論できる指針を示す意向です。また教職員の理解促進、相談先の掲示についても検討していく方向です。
学校の制服の選択制に関する取組みが始まったのは、2年ほど前からです。
2018年2月、千葉県柏市の柏市立柏の葉中学校が開校と同時に制服選択制を導入すると発表しました。トランスジェンダーの子どもたちへの配慮を、という意見を汲んだものです。
追って3月、東京都世田谷区が全ての区立中学で性別にかかわらず制服を自由に選択できるよう検討をはじめました。
4月には、福岡市の警固中が、次年度から制服(標準服)を見直し、選択制の導入を決めました。
その後も、沖縄県の浦添高校、那覇高校、西原高校、埼玉県戸田市の市立戸田東中学校、岐阜県の県立高校、福岡県みやま市のみやま市立瀬高小学校、熊本県大津町の小通学校、愛知県犬山市の中学校、京都府内の公立高校の8割、沖縄県の糸満中学校、栃木県の県立高校、佐賀県内の3つの中学・高校、宮崎市内の4つの公立中学校、福岡県宗像市立日の里中学校、豊橋市の中学校などでも制服の選択制が導入されています。
なお、現在、宮城県でも学校での制服の選択制を求める署名が行われています。
性別にかかわらず制服を自由に選択できるようにする動きが全国に浸透することを期待します。
参考記事:
性別に関係ない制服選択求める 江戸川区長に1万人の署名提出(共同通信)
https://www.47news.jp/lifestyle-interest/5139412.html
「制服の選択制を早期に」 17歳が署名を区長に提出(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASN8G729FN8GUTIL00T.html
中学制服「性別関係なく」 高校生、江戸川区長に署名提出(産経新聞)
https://www.sankei.com/region/news/200815/rgn2008150002-n1.html
性別に関係ない制服選択求める 江戸川区長に1万人の署名提出(大分合同新聞)
https://www.oita-press.co.jp/1002000000/2020/08/14/NP2020081401002031
制服改善 区長検討へ 東京・江戸川 選択制要請の高校生に(しんぶん赤旗)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-08-15/2020081511_02_1.html