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全米で黒人トランスジェンダーへの暴力に抗議する集会やパレードが行われました
6月14日(日)、NYやLAなど全米各地で黒人トランスジェンダーへの暴力に抗議して公正な扱いを求める「BLACK TRANS LIVES MATTER(黒人トランスジェンダーの命は大切)」の集会やパレードが開催されました。
ロサンゼルスでは大規模な「ALL BLACKS LIVES MATTER」のパレードが行われ、推定2万5000人の参加者が、レインボーフラッグやプラカードを掲げて、ハリウッドのチャイニーズシアター前からゲイタウンのウェストハリウッドまで行進しました。このコースは50年前に初めてLAでプライドパレードが開催された時のコースだそうです。
この日はもともと50周年を記念するLA PRIDEが開催される予定だった日で(パンデミックの影響で延期されることが決まっています)、有色人種のLGBTのリーダーたちが結成した「Black Advisory Board」が急遽、トランスジェンダーも含めた黒人への暴力に抗議する趣旨で、このようなパレードを開催しました。
ロサンゼルスを代表する観光スポットであるハリウッド大通りに「ALL BLACKS LIVES MATTER」の文字が描かれ、アカデミー賞などが開催されることで有名なチャイニーズシアターのスクリーンにジョージ・フロイドのポートレートが映し出され、マスクを着けた参加者たちが、警官によって射殺された黒人トランス男性のトニー・マクデードらを追悼し、「公正さがなければ平和は訪れない!」とチャントしました。
デモに参加した黒人ゲイ男性のグレッグ・オースティンは、「この大きなデモは、警官がずっとやってきたことに対する変化の渇望の証拠だ」と語りました。「すべての警官が悪い奴だとは思っていない。ただ、異なるメソッドで動いてほしいと思っているんだ。みんな目を覚ますと思う。警官がより良いトレーニングを受けるようになることを望むよ」
サンセット大通りを歩いていたAmmie Robinsonは、黒人のクィア女性として「三重苦」を味わっていると語りました。「LGBTQコミュニティにあってもなお、白人の声が優勢で、差別は存在する」「時々、そこは黒人のための場所じゃないと感じる。そのコミュニティの中で居場所を作るための努力をしなくてはいけない」
AmmieのパートナーであるKimiko McCarthyは、友達が「このマーチは白人の場所だから自分は歓迎されないと思った」と言ってマーチに参加しなかった黒人クィア女性がいると語りました。Kimikoは「わかった。あなたの気持ちを尊重する。どんなだったか、あとで教えるね」と言ったそうです。いざ参加してみて、参加者の多様さや、「(『ルポールのドラァグレース』でルポールがよく使う「モデル歩きでお引き取りください」という意味の)Sashay away、人種差別主義者さん!」といったプラカードが印象的だったと語っていました。
25歳で同性のパートナーがいるAmris Mendozaは、「このマーチは歴史的だ」と語りました。「ここにいるみんなが多様性を支持している。人種とか関係なく。私たちはみんな一緒にやれる」
ニューヨーク市ブルックリンでは、黒人トランス女性活動家で『Out』誌前編集長のラケル・ウィリスがブルックリン博物館のデッキに立ち、集まった数千人で声を合わせて「私は自分の力を信じる」「あなた方の力を信じる。私たちの力を信じる。黒人トランスジェンダーの力を信じる」と声を上げました。
今回の抗議デモの発端は、ペンシルベニア州フィラデルフィアのドミニク・フェルズと、オハイオ州シンシナティのリア・ミルトンという2人の黒人トランスジェンダー女性が数日前に殺害されたことでした。
2020年、トランスジェンダー(ノンバイナリーの人を含む)が殺害された事件は、この2人を含め、すでに14件に上ります。しかし、トランスジェンダーの死者数は過少集計されている可能性が大きいといいます。2人のように、殺害されたトランスジェンダーのほとんどは黒人トランス女性でした。2019年に殺害されたトランスジェンダーのうち91%が黒人トランス女性で、81%は30歳未満だったそうです。
シカゴで組織された集会では、警察の暴行によって死亡した犠牲者のための正義を訴えるとともに、トランスジェンダーに対する暴力をヘイトクライム(憎悪犯罪)と認定するよう訴えました。
ボストンでは、トランスジェンダーに対する暴力の撲滅を訴えて数千人が市内をデモ行進したそうです。
デモ参加者の一人は、「黒人は危険にさらされやすい人たち。特に黒人のトランスジェンダーは脆弱。だから私たちみんなが参加して連帯することが大切だと思う」と語りました。
なお、同日、東京でも「Black Lives Matter」のデモが、東京レインボープライドと同じ代々木公園〜渋谷〜原宿で開催され、雨模様のなか3000名以上の方たちが参加しました。メインテーマは人種差別と暴力への抗議(有色人種の人々への連帯)でしたが、LGBTQの方たちも参加していて、様々な差別に反対し、市民の権利を求めるものになっていたそうです。
参考記事:
黒人トランスジェンダーへの暴力に抗議、全米で集会(CNN)
https://www.cnn.co.jp/usa/35155311.html
ハリウッド道路に「全ての黒人の命は大切」(日テレNEWS24)
https://www.news24.jp/articles/2020/06/15/10661688.html
Thousands march in Hollywood for LGBTQ rights and racial justice(LA Times)
https://www.latimes.com/california/story/2020-06-14/protesters-march-hollywood-to-west-hollywood-call-for-racial-justice
屋台、自撮り、生演奏からコラボまで…ホントは楽しい?米国の抗議デモ(Yahoo!)
https://news.yahoo.co.jp/byline/inosehijiri/20200615-00183457/
東京で差別に反対の平和的デモ行進(スプートニク)
https://jp.sputniknews.com/opinion/202006157538989/