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SOGIハラ・アウティング防止策を措置義務とするパワハラ防止法が施行されました

 6月1日、パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が施行され、すべての企業に、SOGIハラアウティングの防止策を講じることが義務づけられました(ただし、中小企業は2022年4月からの施行となります)

 職場でLGBTを差別するような言動やハラスメント、SOGI(性的指向および性自認)を暴露するようなアウティング行為が起こらないよう、対策を講じなさいという法律が、今日から効力を持つようになります(SOGIハラやアウティングを行なった人が罰せられるわけではなく、防止策を怠った企業が罰せられるという法律です)。これまで、職場や飲み会などで「お前もしかしてそっち系?」「ホモじゃねーし」みたいな会話が横行して、居心地が悪かったり、イヤな思いをしたりということがあったかもしれませんが、初めてそういう言動がハラスメントとみなされ、やめさせるべきと法的に認められたのです。
  
 一般社団法人fairの松岡宗嗣さんが、このパワハラ防止法について詳しく解説しています。
 パワハラ防止法では「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」「労働者の就業環境が害されるもの」という3つの要件を満たすものをパワーハラスメントに当たると定義しています。
 そして、「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」というパワハラに当てはまる6つの類型を提示しています。 
 そのなかでも特にSOGIに関係するのは、例えば「精神的な攻撃」という点で、「相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を含む」ことが明記されており、「お前ホモみたいだな」といった、いわゆる飲み会でのホモネタなどが含まれます。こうした言動は、被害者が本当にゲイなのかどうかは関係がなく、侮蔑的な言動自体がハラスメントに該当するとみなされます(「ゲイじゃないんだったら被害者じゃないじゃん」という言い逃れに対して予防線を張る、大事なポイントです)
 また、「個の侵害」では、SOGIに関する情報は「機微な個人情報」であると定められています。例えば「本人から聞いたんだけど、Aさんって実は元女性だったんだって」というような、本人の了解を得ずに他の労働者に暴露する「アウティング」も含まれることが明記されました。
 さらに、「人間関係からの切り離し」という点でも、例えば「君はオカマみたいだから営業は任せられない」というような差別的な待遇もパワハラに該当しうることが国会答弁などで明らかになっています。
 
 こうしたSOGIハラやアウティングが職場で起こらないようにするための対策として、企業は、社内規定でSOGIハラやアウティングの禁止や懲戒規定を明文化することや、相談窓口を設けること、研修などで社内に周知すること等が、「措置義務」として求められています。また、もしSOGIハラやアウティングが職場で発生した場合、その事実を相談窓口に申告した人が解雇や異動などの報復を受けないようにすること、相談した人がゲイだった場合、そのことが勝手に社内に広まらないようにする(アウティングを防ぐ)ことなどもきちんと盛り込まれています。

 もし大企業で上記のような防止策が講じられておらず、職場でSOGIハラやアウティングが発生しても何ら対処が行われない、つまり法律に違反している場合、従業員が各都道府県の労働局に訴えることもできます。労働局から会社に指導が入り、それでも改善されない場合、企業名を公表という制裁措置が取られます(「措置義務」と言います)
 
  
 
 実は今日、6月1日は、緊急事態宣言の解除を受けて、二丁目などのクラブがバー営業を再開し(イベントの再開にはまだ時間がかかりそうです)、ゲイバーも(ビニールやアクリル板などをカウンターに張るなどの対策を取りつつ)再開し、ゲイタウンに音楽や笑い声が戻ってきた日でした。SNSでのお店の投稿や、お店に行ってきた報告などにもたくさんのイイねや応援コメントがつきました。
 LGBT差別が禁止されるようになったということとともに、そんな喜ばしい出来事もあったのです。ある意味、LGBTにとって記念すべき日と言えるでしょう。
 

 
参考記事:
今日から企業の「SOGIハラ」対策が義務に。「パワハラ防止法」施行(Yahoo!)
https://news.yahoo.co.jp/byline/matsuokasoshi/20200601-00181222/


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