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尼崎市のラブホテル2軒が男性カップルの利用を断り、市の行政指導を受けました
男性カップルの宿泊を断ったとして、兵庫県尼崎市が市内の2軒のラブホテルに対して、旅館業法に基づく行政指導をしたことが明らかになりました。
旅館業法では、暴力団関係者や賭博を行う者など「違法行為または風紀を乱す行為をするおそれがあると認められる」場合を除き、「宿泊を拒んではならない」と定められています。2018年には厚生労働省が旅館業における衛生等管理要領を改正し、「性的指向、性自認等を理由に宿泊を拒否することなく、適切に配慮すること」と明記、全国の自治体に通達を発しています。
尼崎市内に住む30代の男性は5月5日14時頃、一緒に暮らし、同性パートナーシップ宣誓もしているパートナーの男性と、市内にあるラブホテル2軒を訪れましたが、どちらも断られました。
市は7日に相談を受け、8日に2軒とも立ち入り検査を実施。「性的指向を理由に宿泊拒否はできない」として行政指導を行いました(迅速な対応、素晴らしいです)。うち1軒のホテル業者は「今後このようなことがないように注意する」としていますが、もう1軒は「別の理由で断った」と話しているそうです。
朝日新聞が取材したところ、1軒めのホテルAの担当者は「業界では男女の利用を想定し、男性二人は断るのが通例だった。法律や人権に関わる問題なので、今後の対応を検討する」と反省しているのに対し、2軒めのホテルBは「会社として性的マイノリティの支援を掲げ、同性カップルを受け入れてきた。今回断った理由は同性カップルだからではない」と説明したそうです。
では、どのような理由で断ったのでしょうか?
断られた当事者(被害者)の方のお話が掲載されているこちらの記事によると、ホテルBは行政指導に対して「彼らが男二人で来て、あとから女性も来ると言っていて、輪姦するような犯罪的な危険性があったので、断った」という口から出まかせ的な嘘をついたそうです。それを市の方から聞いた被害者の方が、改めてホテルBに連絡し、「当日は同性パートナーシップ証明カードも見せているし、そんなこと言うはずがない。デタラメを言わないでください」と問いただしたものの、全く聞く耳を持たなかったといいます。
被害者の方は、「2軒とも、とにかく不誠実で、ひどい対応だった」と語っています。
「僕らは今年から尼崎市で始まった同性パートナーシップ証明制度の登録もしていて、尼崎市はLGBTに理解がある自治体になったのかな、とうれしく思っていましたが、今回のことで、まだまだ根深い差別があるということを身をもって体験しました」
「まだまだ全国にこのようなホテルがあると思うのですが、僕らのようにひどい対応を受けて、不快な思いをしたり傷ついたりする人がこれ以上増えないように願います。そのために、できることをしていきたいと思っています」
同性カップルのラブホテルの利用をめぐっては2016年、大阪府池田市のラブホテルでゲイカップルが宿泊を拒否され、同市の保健所がホテルに行政指導を行っています(こちら)
「通例」などの言い訳を持ち出しても、旅館業法に違反し、あからさまに同性カップルを差別することは許されるものではありません。
今後同じことが繰り返されないよう、行政のさらなる対応が求められるのではないでしょうか。
参考記事:
男性カップル宿泊、ホテル2軒が断る 尼崎市が行政指導(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASN5J5QKSN5GPTIL00T.html
男性カップルの宿泊、ラブホテルが拒否 尼崎市が行政指導(神戸新聞)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202005/0013348546.shtml
尼崎市のラブホテル2軒が男性カップルの利用を断り、市の行政指導を受けました(g-lad xx)
https://gladxx.jp/news/2020/05/6379.html