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フジテレビでまたもや同性愛差別的な番組が放送され、「保毛尾田保毛男事件から何も学んでない」と炎上しています

 4月18日に放送された「さんまのFNSアナウンサー全国一斉点検2020」(フジテレビ系)は、同局系列のアナウンサーたちの“ヤバい疑惑”を取り上げる番組でしたが、その中に、2人の男性アナウンサーのプライベートの旅行を隠し撮りし、仲よくしている様子をスタジオで「ヤバい」と茶化す場面があり、SNSなどで「保毛尾田保毛男事件から何も学んでない」などと非難の声が上がっています。
 
 
 問題となったのは「上司と部下とで距離感が異常に近すぎる、おっさんずラブ状態のアナウンサー…ヤバくない!?」というコーナー。プライベートでも旅行に行くほどの仲だという佐野瑞樹アナウンサー(48)と倉田大誠アナウンサー(38)が、2人きりで食事や温泉に行くシーンの隠し撮りが放映されました。
 食事の場面では、佐野アナが嫌いなものを倉田アナに食べてほしいとお願いしたところ、「どこか上司と部下のソレではない」というナレーションと「奇妙な距離感」というテロップが入ります。ケーキを持って2人で佐野アナの自宅を訪れた際には、スタジオで「うわ」「マジ?」という声も漏れました。さらに、別の日に撮影された温泉のシーンで、倉田アナが佐野アナにみかんを差し出したところ「夫に尽くす新妻感が溢れ出す」というナレーションが。2人で風呂に入っているシーンにはスタジオで悲鳴も上がりました。
 VTRが終わると、山崎夕貴アナ(32)は「衝撃映像でしたよね」といい、ハライチの澤辺佑(33)が仲良く入浴していたことに対して「『アッ』てなった※」「2人お幸せに、ってことでいいんですよね」とコメント。明石家さんま(64)が「結婚すればいい」とはやしたてたところ、陣内智則(46)が「イヤやな、『佐野倉田熱愛』って出たら」と発言。すると、スタジオでは拍手と笑いが起こりました。

※「アッ」は、ニコニコ動画を起源として、20年近くネット上で男性同性愛を嘲笑する意味で用いられてきた、「保毛尾田保毛男」と同じくらい当事者がいやがる侮辱表現です(もし周囲で「アッー!」とか「ウホッ」などの侮蔑表現を目にしたら、絶対に友達になれないし、カミングアウトしたくないと思う人が多いです)
 
 All Aboutのフジ「保毛尾田保毛男」クレームや謝罪の流れと考察でも丁寧に解説していますが、男どうしで愛しあったり(ゲイでないにせよ)仲良くしすぎるのは「気持ち悪い」から、「ヤバい」から、バカにしていい、だって「気持ち悪い」し、「ヤバい」から、という理屈にもなってない世間の同性愛嫌悪(ホモフォビア)に長い間、お墨付きを与えてきたのが、テレビや雑誌の「ホモ」ネタや「おかま」ネタでした。テレビを真似て、学校や職場で、ゲイやMtFトランスジェンダー、あるいはそれっぽい男の子たちは、侮辱のターゲットとされ、からかわれたり、いじられたり、いじめられたりしてきました。これがスティグマ(負の烙印)となり、当事者の自尊感情(セルフ・エスティーム)を低下させ、学校に行けなくなったり、自殺未遂を考えたり(本当に自殺してしまう方も…)、世間のストレートの人たちを信頼できず、職場でカミングアウトできない、メンタルヘルスやセクシュアルヘルスも悪化…という悪循環につながるのです。
 フジテレビは2017年、この「保毛尾田保毛男」事件での非難を受けて、社内でも研修を行い、改善に務めたそうですが、今回の件で、実は何も変わっていなかったということを露呈させました。
 また、昨年、パワハラ防止法が制定され、すべての企業がSOGIハラやアウティングの防止に取り組むことが措置義務と定められましたが(直接LGBTの社員に向けた言動でなくても、差別的言動はSOGIハラに該当します)、影響力の大きいテレビ番組で、最もやってはいけないSOGIハラやアウティングの典型例をやってみせ、推奨していまっているわけで、その罪は非常に重いと言えます(しかも盗撮という犯罪も推奨してしまっています。テレビの中でやるのはよくて一般市民はダメという話は、子どもたちには通用しません。アメリカでは性行為を盗撮された10代のゲイが自殺し、社会問題になっています
 たいへん遺憾です。

 
 この番組を見た方たちはさっそくSNSにコメントし、「2人の男性アナが仲良くて何が悪いの?それをスタジオ全員で笑いものにするって普通にヤバくない?同性愛とかLGBTとかそういう概念がお台場には存在しないんですか?」「ゲイでないことを前提に「ホモネタ」で遊んでいる地獄の状況」「男同士の同性愛を茶化してアナウンサーみんなで笑ってて、そんな人たちが真面目な顔して読むニュース聞けなくね笑」「二人がたとえそれ以上の関係だったとしてもそれはそれで普通に素敵なことじゃないの…?まだLGBTへの偏見はなくならないのかなあ」などと投稿しています。
 ドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)のファンからは、「おっさんずラブはそういう愛の形もいいよねみたいなんを世間に提示してくれたのに今回のアナウンサーのやつみたいな使い方されんの違うやろ」「おっさんずラブという作品を本気で愛してたからこんな風に使って欲しくない、、てか男同士仲良くて何が悪いん?」などと批判されています。

 また、佐野アナと倉田アナの様子をヤバイと表現する番組に批判殺到 #さんまのFNSアナウンサー全国一斉点検というTwitter投稿のまとめサイトには、「倉田アナと佐野アナのリアル『おっさんずラブ』ホント好き…可愛すぎ」とか「倉田アナと佐野アナ仲良しでいいなぁ。ほっこりする」といった2人の仲の良さを愛でる投稿とともに、「倉田アナと佐野アナの件、もし自分がされたらと思うと怖すぎる。アウティングされるのとか想像するだけで血の気が引く」「男同士で仲良くしてるだけでおっさんずラブとか言って編集するテレビ最悪だわ」「これ普通の男女や女同士なら入浴盗撮のあげく「一緒にお風呂入るこの2人やばくないですかー!?」ってノリがいかに程度が低いものかわかってるはずなのに」「フジも終わったなぁー感」「最近フジを見なくなったけど、ダイバーシティも理解していない局だってのが良くわかったから、いっそう見なくなるな」「だからフジは嫌い」といった批判や非難のコメントがたくさん見られます。

 テレビでは近年、『弟の夫』や『おっさんずラブ』や『きのう何食べた?』など、男性同性愛を肯定し、それまでのように侮辱したり嘲笑するのではなく、親身に寄り添い、丁寧に擁護し、好意的に描く良質なドラマが次々に制作され、世間の理解や支援につなげてきたわけですが、こうした流れを一気に台無しにするような番組をまたしても放送する「事故」を起こしてしまったフジテレビ。この差別案件で地に堕ちた名誉を挽回するためにどう対処していくのでしょうか…なぜ「保毛尾田保毛男」事件後の社内対応が十分でなかったのかを分析し、再発防止策を講じることが求められるのではないでしょうか。
 
 
 
参考記事:
男性仲良すぎはヤバい?フジ番組が「同性愛差別では」と波紋(女性自身)
https://jisin.jp/entertainment/entertainment-news/1853041/

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