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コロナ禍の影響を探るLGBTアンケートに続々と回答が寄せられ、さまざまな問題が明らかに
4月6日、一般社団法人「Marriage For All Japan」が、新型コロナウィルス感染拡大によってLGBTQやその家族、同僚や友人などにどのような困難が起こっているのかを把握し、国や各種団体、メディア等に届けるためのアンケート調査を開始しましたが、12日までに150件を超える回答が寄せられ、さまざまな問題が明らかになってきました。ハフィントンポストの記事からご紹介します。
「勤務先には同性パートナーと同居していることは隠して、一人暮らしだと伝えています。もしパートナーが感染したら、私は濃厚接触者になる。そうなったら会社にパートナーのことも、同性愛者だということもカミングアウトしなきゃいけないのかな…」
「パートナーが感染しても、同性愛者だという秘密を守るために真実を話せるかわからない。社内の人にうつしてしまうかもと不安を抱えながら、出社することを選んでしまうかも」
(※「」内は実際に上がってきた声です)
これは多くの方が感じていることかもしれません。
現状、在宅ワークに移行できず、通勤を余儀なくされている方も少なくありませんが、感染した可能性が高い場合、会社に言わなくてはいけないのに、本当のことを言えないという苦しみを抱えることになります。LGBTへの差別的言動が横行している、LGBTへの支援体制が整っておらず、仲間外れにさせたりクビになったりするかもしれないような職場では、当事者はカミングアウトできないからです。
「勤務先にはパートナーと一緒に暮らしていることを隠している。まもなく在宅ワークが始まるが、オンライン会議で一人暮らしではないことがばれてしまうのでは…」という声もありました。
これも同様に、たくさんの方が不安に感じていることでしょう。
厚生労働省のクラスター対策班の方針により、感染が明らかになると、自治体などで行動歴を聴き取る疫学調査が行われています。しかし、その感染ルートが特定される過程で、意図しないカミングアウト(アウティング)の危険にさらされるのではないかという不安の声もありました。
「同性のパートナーが感染して入院した時、医師から病状を教えてもらえるのかわかりません。意識が無くなった時、家族とは認められず、治療内容の決断もさせてもらえないかも」
たとえ同性パートナーシップ証明制度を利用していても、証明書に法的効力はなく、「役所以外での証明制度の認知度はほぼゼロ。病院で宣誓したことを伝えても、家族と認めるかは病院次第。効果があるかはわかりません」
すでに「パートナーが入院した病院で居場所や安否を教えてもらえなかった」という方もいらっしゃるそうです。法的に家族と認められないがゆえの悲劇です。
万が一、自身やパートナーの方が亡くなってしまった場合、共有財産はどうなるのか、今の家に住み続けられるのか…という問題もあります。
「今の状態で私にもしものことが起こったら、パートナーに財産を残せる保証は何もないんです」
アンケートを実施しているMarriage For All Japanのメンバーである森あい弁護士は、「職場でセクシュアリティをカミングアウトできないことや、医療機関で家族と認められない可能性があることなどは、新型コロナで新しく出てきた問題ではなく、そもそも平常時から存在している。当事者たちが直面するそうした問題が、感染拡大によってより露わになったと言えます」と語っています。
「同性婚が法的に認められることで、二人の関係に対する社会の理解も変わる。今回新型コロナで表に出てきた困難を解決する上で、緊急連絡先カードの携帯などの自衛策はもちろん大切ですが、同性婚の制度化も求められます」
さらに、新型コロナウイルスに関連する政府の支援策をめぐって、同性カップルも利用できることが認識されていない課題もあるといいます。
例えば、小学校などが臨時休業した場合の支援としては、子どもの保護者に有給の休暇を取得させた企業に助成する「小学校臨時休業等対応助成金」と、委託を受けて個人で仕事をするフリーランスワーカーを支援する「小学校休業等対応支援金」があります。
厚生労働省によると、いずれの支援制度も「子どもを監護する者」であれば同性パートナーも対象となります。
しかし、厚労省の公式サイトに同性カップルの場合の記述はなく、アンケートでも「同性パートナーは対象にならない」と誤解しているケースもあったそうです。森弁護士によると、「さまざまな制度で想定されず、除外されてきているので、同性だと制度は利用できないと最初からあきらめていることもある」といいます。
このアンケートは、4月末まで実施されます。さらにさまざまな声が上がり、LGBTとしての課題が見えてくるのではないでしょうか。
また続報をお伝えします。
参考記事:
差別の恐怖に襲われるLGBTQの人々の暮らし「同性パートナーとの同居、職場にさらされる?」「病院では?」新型コロナの影響、ここにも(ハフィントンポスト)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5e952b54c5b63e2705cb1118