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新たなドラァグクイーン番組の制作が決定、その司会&審査員に抜擢されたタレントがカミングアウト

 『エンジェルス・イン・アメリカ』や『ノーマル・ハート』など意義深いドラマを多数、手がけてきたテレビ局「HBO」で、ボールルームカルチャー※をフィーチャーし、ドラァグクイーンがダンスやファッションを競うという内容の新番組『Legendary』が制作されることが発表されました(『ル・ポールのドラァグ・レース』に続く、ドラァグクイーンのオーディション番組として人気が出そうです)
 しかし、ジャミーラ・ジャミルがその司会と審査員を務めることが発表されるや、「司会にふさわしいのはLGBTQだ」と非難を浴び、ジャミーラはクィアであることをカミングアウトしました。
 
※映画『パリ、夜は眠らない』やマドンナの「Vogue」、ドラマ『POSE』、映画『サタデーナイト・チャーチ』などでフィーチャーされてきましたが、ニューヨークのハーレム地区を中心に、主に有色人種のゲイ(ドラァグクイーン)やトランスジェンダーたちが半世紀にわたって、Vogueをはじめとするダンスやウォーキング、ファッションを競うボール(舞踏会)と呼ばれるイベントを開催し、独自のシーンやカルチャーを築いてきました。

 
 ジャミーラ・ジャミルは、イギリス出身で南アジアにルーツを持つモデル/女優/テレビ司会者です。
 ジャミーラ・ジャミルはボディ・ポジティブな「I weigh」ムーブメントの火付け役です。2018年、SNSで『カーダシアン家のお騒がせセレブライフ』に出演するカーダシアン家の女性たちの集合写真にそれぞれの体重が(自慢げに)記載されているのを見て疑問を持ち、自身のインスタグラムに、ありがちな自撮り写真とともに「I weigh(私の重さをはかる)」と題して、「大好きな友だちがいる」「毎日笑う」「仕事が大好き」「正直に生きている」「経済的に自立している」などと自分自身のいいところを並べて、最後に「くたばれ!キログラム」と大きく書いた投稿をして、賛同した女性たちが次々に同様の投稿をするようになり、この「I weigh」ムーブメントは海を渡ってアメリカにも上陸しました。さらに昨年、ジャミーラは、インスタグラムで『I Weigh Interview』というインタビュー・シリーズを開始し、その第1回に(自身の体型やジェンダーに悩んでいた)サム・スミスを登場させ、サムは、その時初めて、自身がノンバイナリー(Xジェンダー)であるとカミングアウトしたのでした。
 
 こうしてジャミーラ・ジャミルは、ボディ・ポジティブ・アクティヴィストとして女性の間で支持を広げ、また、LGBTアライとして認知されたこともあって(あるいは、制作サイドにはカミングアウト済みで)『Legendary』の司会&審査員に抜擢されたのではないかと思われますが、たくさんいるゲイ(ドラァグクイーン)やトランスジェンダーのタレントを差し置いて、なぜジャミーラが?と感じた人たちから「司会にふさわしいのはLGBTQだ」「LGBTQのタレントに譲るべき」との意見がSNS上に大量に上げられ、炎上状態になったそうです。
 これを受けてジャミーラは、「Twitterは残酷。だから私はこれまで自分がクィアだと公にしなかった」とカミングアウトしました。「数年前、心の準備ができたと思ったとき、私はプロフィールにレインボーフラッグを加えた。南アジアのコミュニティに受け入れてもらうのは簡単なことではないから」。ジャミーラはイギリス出身ですが父親はインド系、母親はパキスタン系です。「Twitterで直接このことについて聞かれたときにはいつも正直に答えてきた。でも声高に言わなかったのは、見せびらかすように流行に乗っていると批判されることが怖かったから」「私の家族には、カミングアウトをした人は誰もいない。それに俳優として、特に30代で肌が褐色の女優として、自分のセクシュアリティを公にすることは怖いことでもある。こんな形で公表することになるとは思ってもみなかった」 
 また、「私は審査員の1人」で、テレビ局が言ったようなメインの司会ではないとも語り、さらに「クィアであることがボールルームカルチャーの担い手としての資格にならないとわかっている。でも私には有名人としての力があり、この番組や美しい出場者たちに注目を集めることができる」「名声を得るべきなのに社会に無視されたスターたちの立場を押し上げ、彼らにチャンスを与えるためにはそういう力が必要なこともある」と語っています。

  
 近年、クィアであるとカミングアウトするセレブ(俳優、ミュージシャン、司会者など)は本当に多くなっており、また、映画やドラマなどに登場するクィアのキャラクターはクィアが演じるべきだという声も高まっています(スカーレット・ヨハンソンがトランスジェンダー役を演じると発表されて非難を浴び、降板騒ぎになったこともありました)
 こうした問題は当分、続きそうです。
(日本ではカミングアウトしている俳優、ミュージシャン、司会者などがほとんどいないため、こうした議論が起こるのは、だいぶ後のことになりそうです)


参考記事: 
LGBTQ番組への出演を批判されたジャミーラ・ジャミル、クィアだとカミングアウト(ELLE)
https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/a30798291/lgbtq-jameela-jamil-200207/
ジャミーラ・ジャミル、クィアであることをカミングアウト(MTV)
http://www.mtvjapan.com/news/7etc7d/200207-02
人気ミュージシャンと熱愛中の女優「ツイッターは残酷」とは?(女子SPA!)
https://joshi-spa.jp/985453?cx_clicks_art_mdl=2_img
女性たちが“本当の体重”明かす新ムーブメント「#I Weigh」の狙いって?(フロントロウ)
https://front-row.jp/_ct/17196811

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