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スイスの国会で婚姻平等法が採択、世界で29番目の同性婚承認国へ
12月18日、スイスの国会で「Marriage for All」法案が採択されました。約7年にわたる同性婚法制化の議論ののち、スイスがついに結婚の平等を承認し、世界で29ヵ国目の同性婚承認国になったのです。
スイスでは2007年にシビルユニオンが実現したものの、結婚の平等の実現は、他の欧州諸国に比べ、ずいぶん遅れをとってしまいました。
同性婚法案は2013年に緑の党によって初めて国会に提出されましたが、その後、たくさんの修正案が協議されてきました。そして今年6月、国会で保守派が多数を占めているにも関わらず、下院(国民議会)が同性婚法案を可決、12月18日、上院(全州議会)でもめでたく採択されました(下院では136対48、上院でも24対11の賛成多数で可決されました)
「Marriage for All」法案は、同性カップルに結婚の権利を認めることに加え、レズビアンカップルが子どもをもうけるために精子バンクにアクセスすることを保障します。また、以前は結婚したカップルしか養子縁組ができなかったのですが、今回、同性カップルも結婚が認められたため、養子縁組も可能になるとみられています。配偶者の連れ子の養子縁組の可否については、まだ保留だそうです。
「今日、LGBTQコミュニティにとって歴史的な日になりました」と、Marriage for All Committeeのサロメ・ジマーマン代表は声明で述べました。「スイス国会がレインボーファミリーを承認し、同性カップルも異性ファミリーと同等の権利を受けるに値すると見なしたのです」
「今日の決定は、若い世代にとっても、同性カップルも結婚して家族を持つことができるとのメッセージになると思います」と、Marriage for All Committeeのジャン・ミュラーは述べました。「明らかにこれは、新時代の始まりを告げるものです」
アムネスティ・スイスも、「LGBTQコミュニティにとって歴史的な勝利だ」と述べ、この法案の採択を歓迎しました。
しかし、これで結婚の平等が実現するかと思いきや、新たなハードルが立ちふさがりました。
キリスト教系保守のスイス連邦民主同盟が、法律が成立する前に国民投票にかけることを要求したのです。これにより、同性カップルが結婚できるようになる日は先延ばしされることになりました。スイスの法律では、規定数を超える数の署名が集まれば国民投票を実施することが可能です。
LGBTQ団体「レインボー・ファミリー」は、国民投票の「準備はできている」としています。スイスではすでに同性婚が広く支持されているからです。
LGBTQ団体「ピンク十字」が11月に発表した最新の調査では、82%もの国民が同性婚を支持しており、72%が養子縁組を支持、70%がレズビアンカップルの精子バンク利用に賛成しているという結果が出ていました。
ILGA-Europe(国際LGBTI協会ヨーロッパ)のアドボカシー・ディレクターを務めるケイトリン・フーゲンドゥーベルは、「レインボー・ファミリーがまだ困難に直面している」「私たちはスイスでの国民投票における闘いを支援する」と表明しました。
参考記事:
Switzerland Passes Marriage Equality With Huge Public Support(Out)
https://www.out.com/news/2020/12/18/switzerland-passes-marriage-equality-huge-public-support
Swiss parliament finally approves same-sex marriage in stunning victory for queer love – but opponents plot one final hurdle(Pink News)
https://www.pinknews.co.uk/2020/12/18/switzerland-same-sex-marriage-referendum-christian-federal-democratic-union-party/
Switzerland ‘Marriage for All’ bill passes in historic vote(Washington Blade)
https://www.washingtonblade.com/2020/12/18/switzerland-marriage-for-all-bill-passes-in-historic-vote/