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今年のコーポレート・イクオリティ・インデックスが発表され、ウォルマート、アップル、アマゾンなどが100点を獲得しました
米国の企業LGBTQ施策評価指標「コーポレート・イクオリティ・インデックス(CEI)」の2020年度版が発表され、過去最多の686社が100点満点を獲得しました。
CEIは、PRIDE指標の策定にあたって参考にされた米国の企業LGBTQ施策評価指標です。LGBTQも働きやすいような職場環境の改善が進められる(LGBTQ施策が推進される)ようになることを目指して2002年に人権団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン(HRC)」が策定し、毎年国内の企業に対して評価を行ない、結果を発表しています。
以下のような評価項目に基づいて、0点から100点まで採点します。
・性自認や性的指向に基づく差別の禁止を明文化しているか
・LGBTQのインクルージョンに関する社内教育を実施しているか(従業員への研修など)
・福利厚生などにおいてLGBTQを平等に扱っているか(同性パートナーへの待遇、トランスジェンダーが必要とする医療待遇の有無など)
・LGBTQコミュニティに対する適切でリスペクトを持った宣伝(LGBTQコミュニティへの支援、LGBTQ企業との取引など)
・LGBTQの平等の権利を弱体化させるようないかなる活動も拒否しているか(アンチLGBTQ組織や取引先への寄付を禁じるガイドラインの設定など)
見事に100点を獲得した企業は、以下のような「Best Places To Work For LGBTQ Equality」の認定マークを使用することが可能になります(『Out』などLGBTQマガジンに「Best Place To Work」のマークを誇らしげに掲げる企業広告が掲載されるようになり、LGBTQの消費者行動にも影響を及ぼしました)
『DIME』誌の記事によると、2020年は1059社が参加し、過去最多となる686社が100点満点のトップスコアを得る快挙となりました。フォーチュン1000企業で今年100点を獲得した企業は20社あり、ウォルマート、アップル、ユナイテッド・ヘルス、マッケソン、アマゾン、AT&T、アメリソース・バーゲン、シェブロン、カーディナルヘルス、ベライゾン・コミュニケーションズ、クローガー、ウォルグリーン、JPモルガンなどが含まれるそうです(順番は、フォーチュン1000のランキング順です)
米国商工会議所財団の報告書「Business Success and Growth Through LGBT-Inclusive Culture (LGBTインクルーシブカルチャー·ビジネスの成功と成長)」によると、CEIでの得点の向上を目指している企業での78%は、LGBTQ支援活動をしているNPOの協力を得ながら、職場でのダイバーシティ人材育成やグローバル・イクオリティな環境づくりに力を注いでいるそうです。
以前、「米ウォルマート社がLGBT支持に傾いた理由」という記事でもお伝えしましたが、今年「Best Place To Work」に認定され、LGBTQインクルージョンにおけるトップ・リーダー企業に君臨しているウォルマートはもともと保守的な企業の代表選手と見なされてきた企業で、その変化は「米企業のLGBT擁護の姿勢の変遷に重なる」と評されています。CEIが始まった2002年には、ウォルマートの評価はわずか14点でした。2014年にCEOに就任したダグ・マクミロンは「われわれは、多様性と一体性が同僚や顧客、社会にもたらす恩恵を日々、店舗で直に感じている」と語り、同社のLGBTQインクルージョン施策を後押ししました。結果、2016年にはCEI90点にまで上昇し、現在は100点を獲得するまでになったのです。
日本でも、PRIDE指標が策定されてからわずか5年で、外資系企業のみならず日系企業(大手企業から中小企業まで、業種も幅広く)ゴールドを目指し、社内LGBTQ施策を推進するように変わってきたことはみなさんご存じの通りです。今年のPRIDE指標では過去最多の183社がゴールドに輝いています(素晴らしいことです)。先月には、欧米と同様に日本でも、同性婚(婚姻の平等)の実現に向けて賛同企業を可視化するキャンペーン「Business for Marriage Equality」が立ち上がり、ネクスト・ステージに上がった感があります。パートナーが同性である従業員やトランスジェンダーの従業員を本当の意味で支援できるアライ企業が今後も増えていくことを期待します。
参考記事:
フォーチュン1000にランクインしたLGBTQが働きやすい13の企業(DIME)
https://dime.jp/genre/1037363/